天国の囚人 (角川文庫 赤 ハ 8-3)

  • KADOKAWA
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042466031

感想・レビュー・書評

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  • アクの強いバークの作品は、はっきりと好き嫌いが分かれるだろう。「文学畑出身者が書いたミステリ」そのもので、時に物語の展開を妨げるほど、自然描写や郷愁にまつわるエピソードが挿入されていく。そもそも文体が異質で、過度に情感を滲ませ、客観的/簡潔なハードボイルドのスタイルとは程遠い。要はテンポが悪いのだが、俺の世界が解らなければ読まなくてもいい、というバークの姿勢は、或る意味潔いともいえる。翻訳は途絶えているが、本国では今も変わらずシリーズは続いており、独自のポジションを確立しているようだ。
    プロット自体は複雑な謎解きはなく、ルイジアナ南部のバイユー地帯で、しがない貸し船屋を営む元警官デイヴ・ロビショーの不器用な生き方を主軸に描く。猪突猛進型なために自らトラブルを引き寄せ、そこから物語が動くという屈折した構成なため、「主人公」主体で引っ張る連作といっていい。マット・スカダーやC・W・シュグルー顔負けのアル中ぶりや、衝動的な暴力志向は、通常であれば本筋と直接関係の無い枝葉となるところだが、メインプロットよりも力を入れて印象深いシーンに仕上げているところがバーク流といえる。
    本作は1988年発表の第二作で、ロビショーは自らの無鉄砲な行動によって案の定災厄を招き寄せてしまう。麻薬の絡む不法入国を発端に裏組織への接触を図るロビショー。無謀なアウトサイダーとしての行動は、当然のこと身内に犠牲者を出し、身勝手ともいうべき私闘へと変わっていく。
    擬似的な家族の在りようなど新しい試みも取り入れているのだが、濃密な文章とマイペースな主人公を受け入れられるかどうかで、評価は違ってくるだろう。

  • 圧巻の物語でした。
    主人公のロビショーは、暴走気味ですが情緒豊かな表現がそれを和らげているかんじです。
    それにしても、ロビショーはタフ過ぎる。

  • 「ネオン・レイン」に続く、ロビショー・シリーズ第2弾。刑事を辞めたロビショーは、現在は生まれ育った土地で貸しボート屋を営んでいるのだが、中米からの飛行機墜落に居合わせたことから、事件に巻き込まれる。


    いやいや、事件に飛び込んでいるとしか思えないのだ、ロビショー。飛行機事故の唯一の生存者である少女を勝手に連れ帰ってしまうし、愛妻・アニーの懇願にも関わらず、刑事でもないのにあちこち捜査をして、結局アニーを殺されてしまうし。これがタフガイってやつなんだろうか。こんなタフガイは、ちょっとそばにいてほしくない。


    今回も、重要人物は潔くどんどん死んでいく。もちろん真相は、ロビショーの推測で語られる。スケールはでかいのだが、なんだか大味な感じ。…やっぱり、わたしのアタマが悪いのかも。

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