- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042501107
作品紹介・あらすじ
19世紀ロンドン、科学者より鋭敏で幅広い知識を持ち、犯罪者より危険で変装の名手、警察をも出し抜く捜査方法で数々の難事件を解決し、王族からも絶大な信頼を得ていた人物がいた。その名はシャーロック・ホームズ。医師にして著名な推理作家コナン・ドイルが世に送り出した、不世出の名探偵とその助手ワトスンの活躍が、色恋にはまったく無関心なホームズも唯一特別と認めた人物の事件を含め、12の事件で描かれる傑作集。
感想・レビュー・書評
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初コナン・ドイル。
これがシャーロック・ホームズとワトソンか。やっと本物に会ったみたいで感動。
1892年なのに新訳のおかげで全く古さを感じない。クリスティーが生まれた頃の時代で同じイギリスが舞台なので、パディントン駅が出てきたりして、すんなりと世界観に入り込めた。
今まで探偵ものがそんなに好きじゃなかったけど、ホームズ&ワトソンコンビは短編なのにどれも面白かった。
ホームズがワトソンに「君は見てるだけで観察してない」と言っていたのが印象的だった。
私もいつもぼやーっと見てるだけだな。
観察眼と洞察力を鍛えたいので、ホームズの言ってた「袖、膝、靴」などに注目して電車などで観察と推理をしてみようかな^_^
12の短編の中でも江戸川乱歩が選んだ海外ミステリーの『赤毛連盟』『唇のねじれた男』はやっぱり面白かった。
「赤毛連盟は解散します」が、後からジワジワきてる笑
あと、『まだらの紐』『ぶな屋敷』も面白かった。
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ホームズの短編集。陰惨な殺人事件の犯人を推理するというものではなくて、ホームズの元へ、依頼が持ち込まれて、それを解決していくというものです。依頼内容は、失踪した夫、あるいは妻を探して欲しいとか、ある国王が、今度、結婚するので、昔、知り合いの女性に出した手紙を取り返して欲しいなど。不明な点を問い合わせるのに、電報を使うところは、時代を感じさせます。ワトソン博士の、ホームズと共に事件を解決した回想録、という形で書かれています。
今から約150年前のイギリスが舞台。その時代の風景を、頭に描きながら読めます。衛生状態のよくない街並み、ガス灯に照らされた街を行き交う馬車、アヘン窟でアヘンを吸う人達も出てきます。船や鉄道が、当時の主な交通手段のせいか、港や、駅がよく出てきました。現代の作品ばかり読んでいる私には、逆に新鮮で、興味をそそられました。 -
ホームズを読みだすにあたり、
どの順番で読むのがベストなのか…
身近なホームズファンに相談したところ、
めっっちゃ悩まれたけど(笑)
出版順に!ということで今回3作目で初の短編集と相成りました。パチパチパチ〜
いや、やっぱり面白いですね。
ホームズが言うように「残ったものが、いかにありそうもないことでも事実である」ってお話が散りばめられてて。短編ならではの少ない登場人物であっても、いかにも犯人なAではなくBが犯人だ!っていう展開がお見事。
各話の締めくくりにホームズの一言が格言のように入るのもまた楽しい。
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ホームズが唯一勝てなかった女性アイリーン・アドラーの登場や赤毛のトリックの元ネタなど結構有名な短編が多くて嬉しい一冊。
現代の捜査技術があれば割とすぐ解決しそうじゃね?って事件も多いのがまた当時の風情を感じて良いですね。 -
とにかく読みやすい翻訳!ほとんど不自然さもなくスラスラ読める。
私は推理力がないので素直にワトソンと一緒にホームズの推理に時には驚き、感心し、とても楽しめた。
「花婿の正体」はタイトルの通り、そうきたか!と驚きがあったし、「技師の親指」は依頼人の不思議な状況に先が気になって夢中で読んだ。他の短編もどれも、なんで?どういうこと?と疑問符がつくような依頼ばかりで、ホームズの推理によってその疑問符がとれたときの爽快感は多くの人に感じてもらいたいなと思った。 -
100年前に書かれた推理小説の新訳です
原作を読むのは初で、翻訳日本語でありながらも読みやすいほうでした
事件のネタは因習モノが多かったです。人種差別団体とか、政略結婚とか、そういった風習に巻き込まれた被差別者が登場し、頼るすべがなく藁に掴む思いでホームズのもとを訪ねする流れでした
あの時代にしてはですが、ホームズの魅力は奇抜なアイデアというより、身分の区別なく相談にのる優しさが魅力だと思いました
個人的には「五つのオレンジの種」、「青いガーネット」が好きです
依頼人が殺されてしまい、手遅れになってしまい一族が壊滅してしまった「五つのオレンジの種」はドキドキしました
差別団体に呪い返しのように一矢報うも、悪事は海の藻屑に潰えてしまうラストもおもしろかったです
法に裁かれることなく自業を終えてしまい償わせることができず、ホームズとワトソンと読者しか知らない真実をシェアしたような読み心地でした
「青いガーネット」は、呪われた青いガーネットと、ガチョウの内臓袋がグチャグチャに混ざったイメージが対比的でよかったです
家禽の臓物にガーネットを隠すも、市場に流れてしまい慌てふためく宝石泥棒がおもしろかったです
訳者あとがきの総括が読後感を整えてもくれて、推理の流れにセンスがある小説だなと思えました -
子どもの頃に読んだホームズを新訳で再読!1冊に12もの事件が収められた短編集。40ページほどの作品なのにスリリングでテンポが良く、ボリュームもすごい。ホームズの推理は魔法みたいでワクワクする。読みながら推理を入れる隙がないほど鮮やかに真相へと近づくスピード感。それでいてどの事件も個性的で、ホームズたちの冒険に立ち会ってるようなドキドキ感が楽しい。
話の筋を覚えていたのは『まだらのひも』くらいで、ほぼまっさらな状態で読めて新鮮だった。あのトリックは忘れられないインパクトがある。しかも密室とダイイングメッセージというミステリの定番を19世紀後半で織り込んであるのも面白い。
一番好きだったのは『赤毛連盟』。赤毛の人を対象においしい仕事を斡旋してくれたはずが、とんでもない犯罪へと結びついているという落差とユーモアがいいよね。「赤毛連盟は解散します。」の文言がシュールで笑ってしまう。
『ボヘミア王のスキャンダル』でのアイリーン・アドラーの見事な立ち回りも見惚れる。
『花婿の正体』は真相と幻想をたゆたう人間模様が興味深い。
『ボスコム谷の惨劇』の丁寧に証拠を積み上げて解決していき、子どもたちのもとから過去を拭い去る結末が見事。
『五つのオレンジの種』はなんとも意味深な種が絡む事件にハラハラ。最後は皮肉なラストでほろ苦い味わい。
『唇のねじれた男』もホームズの変装が活きた話で楽しい。
『青いガーネット』はガチョウが巻き起こす波乱がユニークで好き。
『技師の親指』の告白はスリル満載でよかった。ぼくだったら絶対に受けないな(笑)
『独身の貴族』は思いもよらぬ展開で驚いた。サイモン卿にとっては災難…。
『エメラルドの宝冠』は宝冠という目を惹くアイテムの裏で繰り広げられる人間関係の機微がいい。
『ぶな屋敷』の不可解な仕事の謎から始まる奇妙な冒険にドキドキした。
あと、このホームズの言葉が好き。まさにこの哲学が活きた作品たちだと思う。
「不思議な現象や異常な出来事を求めるなら、実際にそこらにある人生を見なければならない。人生というのは、いかなる想像力も及ばないほど衝撃的なものだ、と」 -
シャーロックホームズの冒険
なんだか本格的な推理小説を読んでみたかったのでまずはシャーロックホームズシリーズを読んでみようと思った。物語はパターン化できそうだが、目を引くのはホームズの推理の精密さと観察力。ワトソンやクライアントの様子を一目見ただけでそこに至るまでの状況を言いあててしまう。からくりは実に簡単だが、聞かれるまでは思い浮かばない。そのような観察力は日ごろから物事に対して観察し、答えを出すところまでを訓練しているからであるとか。多くの人は観察こそしているが自分で答えを出すという習慣がない。かつて僕に運転を教えてくださった教習所の教官は危険予測ということではまるでホームズのようだったことを思い出した。彼は毎回の教習で答えを出すところまで脳内で訓練をしているといっていた。日ごろの訓練が天才を生み出す好例だ。バレーの球の軌道の予測もそうだが、万人に共通する上達の秘訣なのだろう。そんなホームズのロジカルシンキングを象徴する言葉がこれだ「不可能なことを除去していけば、残ったものがいかにありえなそうなものでも、真実である」。ホームズシリーズはまだまだ読み進めたい。 -
シャーロック・ホームズの短編集。
海外の人命や地名などに耐性がまだ付いていないのと、
短編と言えど一つひとつの情報がぎっしり詰まっているので、
非常に楽しく読むことができた。
名前をちらちらと聞いた事のあったアイリーン・アドラーが出てきて興奮。
他の方も書いてらっしゃったが、見るのと観察するのは全くの別物、というホームズの言葉は刺さった。
トリックもいいが、その見せ方や描き方が素晴らしく、
発想もこの時代にして素晴らしいものだと感じた。