Xの悲劇 (角川文庫)

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本棚登録 : 920
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042507154

作品紹介・あらすじ

満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。群衆ひしめく巨大なニューヨークで続く第2、第3の大胆な殺人にも、目撃者はいない。この難事件に、聴力を失った元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンが挑み、論理的で緻密な謎解きを繰り広げる。20年ぶりの決定版新訳でよみがえる、本格ミステリの不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだエラリー・クイーンの作品。
    主人公のドルリー・レーン氏は風変わりな屋敷に住む引退した老俳優で、耳が聞こえないながらも読唇術で違和感なく会話出来る多彩な人物。
    第一の殺人では話を聞いただけで犯人を突き止めたほどの推理力で、協力を依頼したサム警視たちと同じくポカーンとなった。
    ただし、本当に最後まで犯人を教えてくれなくて、そのまま殺人が続くから早く捕まえて!って思った。

    傑作ミステリでの犯人はやっぱり頭が良い。
    衝動的にミスを犯すことも無く、緻密な犯行だった。
    これをあっさりと見破るレーン氏、格好いいなぁ。

    情景描写が多く、レーン氏の元職業柄シェイクスピア等の引用がたくさんされている。
    そのせいでちょっと最初の方は読み進めるのが遅かったけど、半ばから段々と熱中できた。
    アガサ・クリスティのポアロシリーズの方がクスッとできたなぁとは思うけど、こちらも本格ミステリって感じで良かった。

  • さすがの本格ミステリ。不朽の名作でした。
    本書を読むと、ミステリって本来は知的でエレガントなものなんだろうなってことが、よくわかります。グロテスクな描写や、衝撃的な殺害方法がなくても、十分魅力的でワクワクする時間を与えてくれるんですもの。

    『Xの悲劇』タイトルはとても有名なので聞いたことはありましたが、実際に読んだのはこれが初めてです。初E・クイーンでもあります。
    全く犯人には辿り着けませんでした。ドリル・レーン氏の『不埒にも楽しんできたことばの曲芸』についての説明を、サム警視とブルーノ地方検事とともにハムレット荘で耳を傾け、なるほど!お見事!となりました。ムムム、しっかりとヒントは与えられていましたね。悔しいっ!

    登場人物の中では、サム警視が一番お気に入りですね。仕事熱心な彼のレーン氏に対する剽軽な言動や、六十歳のレーン氏の裸体と五十四歳の自分を比べて、「わたしなんてぶよぶよの老体だ!」と恥ずかしがる姿にお茶目だなって。当初はレーン氏のことを胡散臭そうにしてたのだけれど、信用に足りる奴と確信したのでしょうか、最後には全面的に信頼を寄せていました。(出されたカナッペもすっかりお腹におさめるほどにね)
    レーン氏に向かって、「……あんたのことを大ぼら吹きの化石じじい……」なんて言えるのは彼しかいないんじゃないのかしら。

  • 人生初のエラリー・クイーン作品。
    『Yの悲劇』を読む予定だったのだけど、四部作になっていることを知って四冊全部読むことにした。
    解説は読むきっかけのひとつを作ってくれた有栖川有栖さん。
    何やら運命的なものを感じてとても満足。

    もちろん物語にも満足。
    探偵役のドルリー・レーンさんも魅力的。
    「レーンは独特の身のこなしで肘掛け椅子から立ちあがった ーすばやく滑らかで、筋肉を使っているようには見えない。」
    レーンさんの美しさ、優雅さを表現する記述は全てこの調子。
    妄想が膨らみます。
    レーンさんの扮装係のクエイシーさんも、サム警視も好き。
    四部作全てに登場してくれることを願う。

    そして、レーンさんが挑む事件は、一見すると簡単に片付きそうな印象だった。
    なにしろ周囲の人間が怪しい。
    誰でも殺せたんじゃないの?などと思ってしまった。
    レーンさんが語るように自明の理に気付かなかった。
    ブルーノ検事とサム警視と同じように。

    犯人の思惑に最後までまんまと乗せられ、レーンさんの鮮やかな推理に目から鱗。
    こんなに複雑な仕掛けたっぷりな事件だったのにそれを見抜けなかったなんて…。

    次は大本命(?)の『Yの悲劇』。
    ドキドキ…。

  • 満員の電車の中、一人の男が殺された。
    ポケットの中には猛毒の濃縮ニコチンに浸された針が多数飛び出たコルク玉。解決の糸口を見つけ出せない地方検事ブルーノとサム警視は過去に鮮やかな推理で事件を解決に導いた老俳優ドルリー・レーンを訪ねる。

    ドルリー・レーン氏初登場の作品。
    かなり久々に読みたくなって、でもどれが読んだ作品がわからなかったので、X,Y,Zまとめて買ってみました。
    どうやら昔読んだのは「Yの悲劇」だった模様。せいぜい小学生だったのに、なんでこんな本格派を選んだのか謎。たぶん母の蔵書。
    ひさびさのエラリー・クイーンで「あぁ、そうだった。本格派ってこうやって読むものだった」って思い知りました。
    レーン氏の洞察力と判断力が素晴らしすぎて脱帽。
    どんだけかっこいいじいちゃんだよ・・・。
    そして、たまに脱ぐwww なんで脱ぐのwww
    面白い人だったんだな。小学生ではこれは味わえない。
    サム警視がすっかりレーンファンになっちゃって微笑ましい。っていうか、状況証拠に頼りすぎでコワイ。

  • 初エラリークィーン。いつも通り最後まで誰が犯人だか全くわからず。探偵役の元俳優ドルリー・レーンの推理がすごい。証言や、動作、状況を細かく見ていて様々な仮定の上で推理を組み立てる。少し頭が疲れた。。
    最初の事件で犯人がわかったと言いながら、警察には最後の最後まで隠す。そこがなんでよーっとイラッとしたり、もっと早く知らせていれば次の事件も起こらなかったんじゃとか…色々思うことはあるけど、休日を使って一気に読んで楽しめた!

  • エラリー・クイーンの「ドルリー・レーンシリーズ」の第1弾!

    満員の電車の中で起こった殺人事件の解決のため、警察から協力を依頼される元俳優のドルリー・レーン。

    以前にも警察に事件解決の助言をしており、一目置かれる存在です。

    彼は一風変わった環境で暮らしており、その捜査方法も独特のスタイル。

    警察関係者を戸惑わせ、時に苛立たせながらもその実力を見せつけていきます。

    最初の殺人に端を発し、次々に事件が起こっていく中、最終的にたどり着いた驚きの犯人とは・・・?


    初めてエラリー・クイーンの作品を読みましたが、おもしろかったです。

    論理的に組み立てられていく推理は、読んでいて気持ちがよく、思いもよらぬ伏線に驚かされました。

    読者も推理を楽しめるよう、すべての情報が開示されているのですが最後まで犯人はわかりませんでした。

    これぞミステリという感じで楽しかったです。

    ドルリー・レーンさんのキャラクターが濃すぎて、最初はどうしていいかわかりませんでしたが、最終的にはクセになっていますw

    早くシリーズの次の作品が読みたくなる素晴らしい一作目でした◎

    ◇おすすめポイント
     ・独特のキャラクターがクセになる、主人公ドルリー・レーン
     ・緻密な論理で展開される推理が爽快
     ・すべての情報が与えられ、読者も推理を楽しめる

    ◇こんな方におすすめ!
     ・これぞ推理小説という作品を読みたい
     ・エラリー・クイーンの代表シリーズを読んでみたい
     ・自分も推理を楽しみたい

  • ★★★☆☆ 3.2くらい
    超ロジックな推理が気持ちいい。名作だとは分かっているけれど個人的にはモヤモヤした。というのも、最初でレーン氏が犯人の検討がついてると言いながらも終盤まで発表しないから。天才的な推理力が逆にモヤモヤした気持ちになります。

  • エラリークイーンの超有名作。
    オランダ帽子は以前に読んだことがあり、かなり論理が緻密で読むのに苦労した記憶があるも、タイトルの不思議さに惹かれ挑戦。

    犯人をわかっていながら敢えて焦らしているように見えない主人公の元俳優、なかなか本音を言わない有力容疑者などモヤモヤがずっと続いたが最後の最後でスッキリ。相変わらずの緻密な論理立てに若干お腹一杯になるも確かに納得。

    Xは、犯人を示す記号だとずっと思っていたが最後の方でちょっとしたおまけが。

  • 色々なミステリを読んでいると、兎に角よく出てくるエラリークイーン。
    どんな作品なのか気になって、気になって。。。
    Amazon でポチっと手に入れた。

    訳者の所為なのか、エラリークイーンの特徴なのか?
    結構なハードボイルドタッチの作品で、想像とは乖離していたが、
    それはそれでとても楽しめた。

    文章の重厚感も良かったのかなぁ。
    人物名がカタカナで読むのに時間がかかったが、
    色々な本を読む前に、この作品に出会えていたら随分楽しめたんじゃないかと
    思う。現代はこういうパターンというかトリックというか、
    結構真似されちゃっていると思うので。

  • The Tragedy of X(1932年、米)。
    レーン4部作、1作目。元シェイクスピア俳優の素人探偵ドルリー・レーンが活躍するシリーズで、クイーンの代表作。

    ニューヨークを走る満員電車の中で、ある男が毒殺された。凶器は毒針を仕込んだコルク球。独創的かつ大胆な犯行はしかし、第二、第三の事件の序曲に過ぎなかった…。

    倒叙に比べて本格推理小説は、書き手と読み手の情報量の差が大きく、後で見直しても、「この時点で気付くのは無理」と思うことも多い。でもこの作品では、決定的なヒントは間違いなく与えられていて、それでもしっかり騙されてしまう。もっとも印象に残ったのは死体検案書のヒントで、こういう使い方があったのか、と感心することしきり。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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