Xの悲劇 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042507154

作品紹介・あらすじ

満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。群衆ひしめく巨大なニューヨークで続く第2、第3の大胆な殺人にも、目撃者はいない。この難事件に、聴力を失った元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンが挑み、論理的で緻密な謎解きを繰り広げる。20年ぶりの決定版新訳でよみがえる、本格ミステリの不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 901冊目、悲願の「Xの悲劇」。ようやく読めた!クリスティー・ポアロシリーズとクィーン・ドルリー・レーンが若干似ていた。ドルリー・レーンは元俳優で変装上手。ここがポアロとは異なる。ドルリー・レーンの洞察力はすさまじく、序盤から犯人像を推察していた。電車内のロングストリート殺し、フェリー内のチャールズ・ウッド殺し、電車内のドウィット殺しは共犯か?単独犯か?過去のウルグアイでの殺人事件、鉱山発見、復讐。色んな出来事がピースとして埋まっていく。すべてのトリックもきちんと説明があり、納得のミステリーでした。⑤

  • うわぁぁぁ〜
    面白かった!!!
    本格ミステリーは頭使って注意深く読むから消耗するけど、読後感爽快!

    電車内での殺人事件。
    ニコチンの塗られた無数の針が刺さったコルク球をポケット内で握り毒がまわって死亡。
    混雑する電車内で、目撃者もいない。
    警視は、元シェイクスピア俳優のドルリー・レーンに捜査協力を依頼する。

    私、エラリー・クイーン初挑戦なんです。
    もっと早くに手をつけても不思議ではなかったのでは?と自問w
    十角館を読んだ時に、登場人物のあだ名に使われている全作家の作品読みたいって思っていた。
    ひょっとして、各作家の作品の特徴やクセのようなものもヒントとしてあったのではないか?と疑ってもみた。

    何にせよ、ミステリー好きと言うからには絶対読みたいなと、手始めにTwitterのフォロワーにお薦めされた『Xの悲劇』を手に取りました。

    ドルリー・レーンがめっちゃカッコいい。
    白髪の60歳のおじさんなのですが、若々しい体躯と明晰な頭脳の持ち主。
    元俳優なので変幻自在。
    惚れますな(  ૢ⁼̴̤̆ ꇴ ⁼̴̤̆ ૢ)~ෆ

    フーダニット(Who done it?)と呼ばれる誰が犯人かを推理していく形式。

    レーンシリーズは4部作あるそうなので、全部読みたい!

  • さすがの本格ミステリ。不朽の名作でした。
    本書を読むと、ミステリって本来は知的でエレガントなものなんだろうなってことが、よくわかります。グロテスクな描写や、衝撃的な殺害方法がなくても、十分魅力的でワクワクする時間を与えてくれるんですもの。

    『Xの悲劇』タイトルはとても有名なので聞いたことはありましたが、実際に読んだのはこれが初めてです。初E・クイーンでもあります。
    全く犯人には辿り着けませんでした。ドリル・レーン氏の『不埒にも楽しんできたことばの曲芸』についての説明を、サム警視とブルーノ地方検事とともにハムレット荘で耳を傾け、なるほど!お見事!となりました。ムムム、しっかりとヒントは与えられていましたね。悔しいっ!

    登場人物の中では、サム警視が一番お気に入りですね。仕事熱心な彼のレーン氏に対する剽軽な言動や、六十歳のレーン氏の裸体と五十四歳の自分を比べて、「わたしなんてぶよぶよの老体だ!」と恥ずかしがる姿にお茶目だなって。当初はレーン氏のことを胡散臭そうにしてたのだけれど、信用に足りる奴と確信したのでしょうか、最後には全面的に信頼を寄せていました。(出されたカナッペもすっかりお腹におさめるほどにね)
    レーン氏に向かって、「……あんたのことを大ぼら吹きの化石じじい……」なんて言えるのは彼しかいないんじゃないのかしら。

  • 私、初エラリー・クイーンございます。
    ダイイングメッセージの生みの親とも言われるクイーンの、現代なら他の作家も普通に使っているトリックや、少し間の抜けた警察と真相を出し惜しみし、最後にどーんとぶちまける推理スタイルは、あぁ探偵小説を読んでいるんだなと幸福感を感じられました。
    レーンの全裸シーンはびっくり。
    何をやるかではなく、誰がやるか論は演劇だけでなく現代にも蔓る問題であって、その理論は昔と何も変わってないのだなと痛感しました。
    古典ミステリの王道を堪能しました。

  • 初めて読んだエラリー・クイーンの作品。
    主人公のドルリー・レーン氏は風変わりな屋敷に住む引退した老俳優で、耳が聞こえないながらも読唇術で違和感なく会話出来る多彩な人物。
    第一の殺人では話を聞いただけで犯人を突き止めたほどの推理力で、協力を依頼したサム警視たちと同じくポカーンとなった。
    ただし、本当に最後まで犯人を教えてくれなくて、そのまま殺人が続くから早く捕まえて!って思った。

    傑作ミステリでの犯人はやっぱり頭が良い。
    衝動的にミスを犯すことも無く、緻密な犯行だった。
    これをあっさりと見破るレーン氏、格好いいなぁ。

    情景描写が多く、レーン氏の元職業柄シェイクスピア等の引用がたくさんされている。
    そのせいでちょっと最初の方は読み進めるのが遅かったけど、半ばから段々と熱中できた。
    アガサ・クリスティのポアロシリーズの方がクスッとできたなぁとは思うけど、こちらも本格ミステリって感じで良かった。

  • エラリー・クイーン。
    これまで何度も「完璧で美しいミステリー」と聞いてきた名作中の名作を、ついに手に取るに至りました。
    ラストの謎解きでは「あっ」と声を上げること二回。先日読んだ『書きたい人のためのミステリ入門』では、エラリー・クイーンが美しいと評される所以は「10の可能性をあげてそのうちの9を潰していくから」とされていました。
    読んで納得。これは数学の証明問題のような謎解きでした。想像しうる全てを網羅する丁寧な描写にも驚き。おかげで角川文庫の文字の小ささには少し閉口しましたが。。

    そもそもシェイクスピアに触れてこなかった身としては、ドルリー・レーンをなんとか映像で見られないものかと願ってしまいます。「中世の領主館風の」屋敷ってどんなものなんだろう……?
    ミステリーの歴史に燦然と輝く『Yの悲劇』はもちろん、探偵エラリー・クイーンの国名シリーズも気になります!

  • 警察・検察捜査が陥りやすい仕掛けは、犯罪となる証拠が関係者が犯人となり、犯人と思われる関係者も殺害されることで「手詰まり」状態を仕組んだ巧みな犯罪だ。謎を解く鍵、警察(読者)の目を最後まで欺き続けさせるこの小説は素晴らしいの一言に尽きる。(最後まで犯人が特定できない謎) 人は遠く昔の事でも裏切られることへの恨みがいつか仕返しとなって起こってもおかしくないと思うばかりだ。

  • 満員の電車の中、一人の男が殺された。
    ポケットの中には猛毒の濃縮ニコチンに浸された針が多数飛び出たコルク玉。解決の糸口を見つけ出せない地方検事ブルーノとサム警視は過去に鮮やかな推理で事件を解決に導いた老俳優ドルリー・レーンを訪ねる。

    ドルリー・レーン氏初登場の作品。
    かなり久々に読みたくなって、でもどれが読んだ作品がわからなかったので、X,Y,Zまとめて買ってみました。
    どうやら昔読んだのは「Yの悲劇」だった模様。せいぜい小学生だったのに、なんでこんな本格派を選んだのか謎。たぶん母の蔵書。
    ひさびさのエラリー・クイーンで「あぁ、そうだった。本格派ってこうやって読むものだった」って思い知りました。
    レーン氏の洞察力と判断力が素晴らしすぎて脱帽。
    どんだけかっこいいじいちゃんだよ・・・。
    そして、たまに脱ぐwww なんで脱ぐのwww
    面白い人だったんだな。小学生ではこれは味わえない。
    サム警視がすっかりレーンファンになっちゃって微笑ましい。っていうか、状況証拠に頼りすぎでコワイ。

  • 人生初のエラリー・クイーン作品。
    『Yの悲劇』を読む予定だったのだけど、四部作になっていることを知って四冊全部読むことにした。
    解説は読むきっかけのひとつを作ってくれた有栖川有栖さん。
    何やら運命的なものを感じてとても満足。

    もちろん物語にも満足。
    探偵役のドルリー・レーンさんも魅力的。
    「レーンは独特の身のこなしで肘掛け椅子から立ちあがった ーすばやく滑らかで、筋肉を使っているようには見えない。」
    レーンさんの美しさ、優雅さを表現する記述は全てこの調子。
    妄想が膨らみます。
    レーンさんの扮装係のクエイシーさんも、サム警視も好き。
    四部作全てに登場してくれることを願う。

    そして、レーンさんが挑む事件は、一見すると簡単に片付きそうな印象だった。
    なにしろ周囲の人間が怪しい。
    誰でも殺せたんじゃないの?などと思ってしまった。
    レーンさんが語るように自明の理に気付かなかった。
    ブルーノ検事とサム警視と同じように。

    犯人の思惑に最後までまんまと乗せられ、レーンさんの鮮やかな推理に目から鱗。
    こんなに複雑な仕掛けたっぷりな事件だったのにそれを見抜けなかったなんて…。

    次は大本命(?)の『Yの悲劇』。
    ドキドキ…。

  • 初エラリークィーン。いつも通り最後まで誰が犯人だか全くわからず。探偵役の元俳優ドルリー・レーンの推理がすごい。証言や、動作、状況を細かく見ていて様々な仮定の上で推理を組み立てる。少し頭が疲れた。。
    最初の事件で犯人がわかったと言いながら、警察には最後の最後まで隠す。そこがなんでよーっとイラッとしたり、もっと早く知らせていれば次の事件も起こらなかったんじゃとか…色々思うことはあるけど、休日を使って一気に読んで楽しめた!

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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