Zの悲劇 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2011年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784042507178

作品紹介・あらすじ

黒い噂のある上院議員が刺殺され刑務所を出所したばかりの男に死刑判決が下されるが、彼は無実を訴える。サム元警視の娘で鋭い推理の冴えを見せるペイシェンスとレーンは、真犯人をあげることができるのか?

みんなの感想まとめ

物語は、上院議員の刺殺事件を巡るサスペンスで、サム元警視とその娘ペイシェンスが中心となり、真相を明らかにする過程が描かれています。ペイシェンスの一人称視点で進むストーリーは、前作に比べてスラスラと読み...

感想・レビュー・書評

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  • バーナビー・ロス(=エラリー・クイーン)によるシリーズ3作目。
    ドルリー・レーンによる推理が光る『Zの悲劇』

    X・Yに比べ、とてもスラスラ読め、分かりやすい印象でした。
    というのは、レーンのいつもの、シェイクスピア云々の引用が少なめだったのが原因のひとつ(私にとってはw)
    もうひとつは、サム警視の娘のペイシェンス・サムが語り手となり、一人称で物語が進んでいくという所にあるようです。

    舞台はアルゴンキン刑務所。
    サムは警視引退後、私立探偵業に従事していた。
    エリヒュー・クレイという実業家から、共同経営者の不正を暴いてほしいという依頼を受ける。
    サムとサムの娘ペイシェンスは、彼の家に泊まり込み捜査をするが、捜査対象の悪徳議員ジョエル・フォーセットが何者かに殺害される。
    残された手がかりから、刑期を終え釈放されたばかりのエアロン・ダウが容疑者に。
    どうしても彼が犯人だと思えないサムとペイシェンスは、レーンに捜査の助言を依頼する。

    『Yの悲劇』から10年後の話で、レーンは70歳の年齢で登場する。
    以前のような若々しさは衰えて見るからに身体が弱ってしまっているが、洞察力は変わらない。
    ペイシェンスはレーンを敬愛する、聡明で洞察力に優れた美しい探偵。
    『レーン最後の事件』にも出てくるのかなぁ。

    年老いたレーンも、魅力は変わらないです!
    安定の面白さでした♪

  • やっとX~Zの悲劇を読了。

    割と時間がかかってしまった。
    物語は全作通してハードボイルド感が漂っている。
    情景描写や比喩多めで物語のスピード感はどちらかというとゆっくり。
    物語はゆっくりとしたペースで進んでいく。
    次から次へと事件が巻き起こりというわけでもなく、
    じわじわと事件が起こる。これは3作ともそのような印象を持った。

    このZの悲劇だけはサム警視の娘、ペイシェンスの一人称で語られている。
    前2作と比較すると、ほんの少しだけ女性向けかもしれない。

    3作とも読者が推理するには少し無理がある感じだが、
    推理を読んでなるほどなぁと思うタイプの読者には楽しめる作品だろう。

    私はある程度犯人を自分で探しながら読む為、
    これら3作とも全部外し、それはないだろ~と凹む結果ばかりだった(笑)

    しかし3作とも読むことが出来て大満足。

    • todo23さん
      あれ、「最後の悲劇」には行かないのですか?
      ドルリー・レーンシリーズはX・Y・Z・最後の4部作ですよ
      あれ、「最後の悲劇」には行かないのですか?
      ドルリー・レーンシリーズはX・Y・Z・最後の4部作ですよ
      2017/10/07
    • bmakiさん
      そうだったのですか!?知らなかったです(^_^;)いや、確か前書き的なところに書いてあったかも、、、
      見て見ぬ振りをしておりました(笑)
      ...
      そうだったのですか!?知らなかったです(^_^;)いや、確か前書き的なところに書いてあったかも、、、
      見て見ぬ振りをしておりました(笑)
      またいつの日か読んでみます(*^^*)
      2017/10/07
  • ラストの鮮やかな推理に感動する素晴らしい作品!
    そこにたどり着くまでの長くて憂鬱な展開を心地よく蹴散らしてくれた。
    読んで良かった。

    『Xの悲劇』、『Yの悲劇』とはかなり印象の違う作品。
    何よりも大きいのはペイシェンスの存在。
    彼女の語りは時に思わせぶりで、「はっきり言ってくれ!」と苛だ立つ場面もあった。
    (最後まで読んだ今は彼女の気持ちがよく分かる。あのタイミングでほのめかしたのは、むしろお手柄だ)
    けれど、彼女の存在がなかったらこの物語は陰鬱な印象を払拭出来なかったかもしれない。
    たとえ最後の素晴らしい推理にたどり着けたとしても。

    それにしても、サム警視のサムがファミリーネームだったとは…。
    本題には全く関係ないことだけど驚いた。

  • サム警視の娘が語り手となるストーリー。
    古い小説だから古風な女性になるのは仕方ないけど、やっぱり現代の感覚ではイライラする…
    そして前回に引き続きどころか更にダメダメになっていくレーン…かっこよくない。
    利き手と利き足の関連性ってそんなに正確に分類できたっけ?と謎解きにもモヤモヤ残る。

  • 元警視サムは引退、ブルーノ検事は知事になり、レーン氏は老い。
    X,Yからかなり時間がたった今回の事件は語り手がサムの娘ペイシェンス。
    殺された上院議員の事件を追って、ペイシェンス、サム、レーンが動く。無実の男を処刑の電気椅子から救えるのか。

    というあらましなんですけども、うーん、X,Y,Zを読み終わりましたが、面白さの順位を個人的につけるなら、X,Y,Zでした。
    作者であるエラリィ・クイーンは二人共著のペンネームで、どういう風にかき分けていたのかははっきりしないらしいがX,Y,最後の事件とこのZはメインで書いた人が違うという説があるらしいです。その説に一票です。
    内容が違い過ぎる。完成度とか文章の表現とかそういうことではなく、手掛かりの公平さという部分で。

    順番に読んだった!という征服感は味わえました。
    「最後の事件」をどうするかなー・・これも評価がわかれるみたいなのでぇ・・・。(悩)

  • X,Yに続いて読みました。ガサツな印象だったサムは父として登場。なかなか頼りになるお父さん。
    女性主人公の一人称描写なこともあって前作までとはだいぶ違った印象。男性作家の描く(ややステレオタイプな、想像や願望も入っていそうな)女性像と、この時代のジェンダー観の描写が少々ノイズになっている感じがある。
    頼みのレーンさんは中盤から登場するが明らかに精彩を欠いており、大丈夫か……?と思いながら読んでたらラストで一気に捲ってきた。これまで出てきた要素を全部おさらいして、消去法であっという間に犯人を導き出す様子はお見事。クリップ跡が2つあるという描写も、見返したら確かにさりげなく言及されていて、「これか!」となった。面白い。
    解説に『羊たちの沈黙』と本書との比較がされていて、『羊たちの沈黙』も読んでみたくなった。

  • ☆4.0

    『Yの悲劇』から十年、ニューヨーク市警を退職したサム元警視は私立探偵として今も犯罪事件と戦っている。
    長年ヨーロッパ各地を旅した娘のペイシェンスが帰国し、父娘の生活を楽しめるようになった頃、ある依頼を受けて州北部へと向かった。
    調べようとしていた黒い噂を持つ医師アイラ・フォーセットには、同じく黒い噂ばかりで選挙を控えた州上院議員の弟ジョエルがいる。
    難しい調査になるかと思われたが、ある夜、ジョエルが刺殺されてしまい、捜査経験をかわれたサムとペイシェンスも呼ばれ、事件に関わることとなる。
    ジョエルに脅迫の手紙を刑務所から送っていたエアロン・ダウが捜査線上にあがり、しかもダウは事件当日にアルゴンキン刑務所を出所していたことも判明する。
    容疑者となったダウが発見されそのまま逮捕されてしまうが、ペイシェンスは鋭い推理でダウの無実を導き出す。
    しかしその推理は物証がなく、受け入れられなかった。
    ペイシェンスとサムの二人は、無実を訴えるダウを救うためドルリー・レーン意見を聞こうとハムレット荘へと向かう……

    ペイシェンスの一人称で書かれているので、前二作と少し雰囲気が違うかもしれない。
    前半はペイシェンスがどんな人なのかがわかるようになっている。
    客観的にも美人で頭の回転が速く、生意気に思われようとも言うべきは言う気概を持つ女性で、レーンの存在感に負けない輝きを持っている。
    七十歳になり、少しだけオーラの勢いに衰えが見えたかに思われたレーンも、また事件に関わることで目のきらめきを取り戻していく。
    のだけども、レーンさん、ここで大失敗をしてしまうんです。
    精彩を欠くレーン、やはり寄る年波には勝てないのか。
    ペイシェンスも頑張りますが必要な物証が見つからず、ついにはダウに死刑判決がくだってしまう。
    ここからはタイムリミットサスペンスの如く、死刑執行までに真実を解き明かすことができるのかとスピード感が出てくる。
    ここからが今作一番の見せ所ですね。
    レーンの行う消去法推理の綺麗で見事なことったら。
    端的に容疑者を減らす指摘をし、そこに疑問を挟ませない。
    熟練の技を見せられた感じ。

    前作の終わりから私の中で、もにょもにょしてるところがあるので、『Zの悲劇』でもちょっともにょもにょしてるんです。
    レーンがしてしまった大失敗、あれ本当に失敗だったの?って。
    わざとじゃないよね?って。
    だって、エアロン・ダウって、殺してはいないけど、脅迫はしてたじゃん。
    ちゃんと事件は解くからちょっとの間くらいヒヤヒヤしてなよ、って思ってなかったかなぁって。
    ペイシェンスの一人称のせいか、いつもにも増してレーンの思いがわかりにくい。
    もにょもにょする。

    次はついにこの四部作の完結編。
    『レーン最後の事件』に向かおうと思う。

  • 元シェークスピア劇俳優の「探偵」ドルリー・レーンが難事件に挑む。「Yの悲劇」につづく、シリーズの3作目(ちなみに、本作では、レーンが現場に合流するのは作中の途中から。)
    NYPDの警部だったサムは、その後市警を退職して探偵事務所を開業しており、探偵として登場。
    さらに、その娘パティも登場。父の「捜査」を手伝う。ちなみに、シリーズ前2作と異なり、本作はパティの一人称で語られる。

    小説の舞台はアメリカNY州の北部。刑務所がある小さな町だ。ここで連続殺人事件が起こる。上院議員と、悪徳医師の兄弟が凶刃の犠牲となる。

    このつまらなさは、なんだろう。

    真犯人の意外性は十分で、終幕の真相解明のパートに少々のカタルシスはある。
    だが、この部分の醍醐味をもってしても、全編の冗長さ退屈さの読後感は依然として残る。

    犯人の動機もまた納得のいくものではない。これがありなら、誰でもありという気がする。

  • 推理の説得力が弱い。終盤の刑務所の死刑数秒手前で起こるドラマは素晴らしい。犯人のバックボーンはあまりにも薄いしありきたりでつまらない。エアロン・ダウとフォーセット兄弟との過去・弱みも陳腐だ。
    推理が主眼でも説得力が弱くて論理的であろうとスッキリしない。ペイシェンス・サムの前半の活躍は素晴らしいが後半はヒステリックになるのを必死に抑えているよくある弱いヒロインになっている。
     次の「ドルリー・レーン最後の事件」は未所持なので図書館で予約をした。明日取りに行く。

  • ドルリーレーン三作目。サム警部の娘のペイシェンスの視点で進む。
    知的で自分に自信のあるペティの解釈はたまに高慢にも思えるときがあるけど、高齢になったレーンのゆったりとした流れといい感じに静と動のテンポがあると思う。

  • X・Yときて いよいよのZの悲劇。前のとはあまり関連性がなく、レーンが一人で解決するわけでもないのだが、女性のペイシェンスの大活躍が読んでいて胸のすく思いにさせられる。今の時代でさえそうなのだから、エラリークイーンがコレを発表当時は世の女性たちの快哉を浴びたのでは。

  • 最後の謎解きは鮮やか

  • エラリー・クイーン作の一九三三年に出版された本格推理小説。ドルリー・レーンを探偵役とする作品としては三作目。
    鮎川信夫訳で以前に読んだことがあるものを、今回、越前敏弥訳で読んだ。以前に読んだのは中学生の頃で、その時には重厚で面白い作品と感じ感銘を受け、本作に対する過去の評価は不当に低いのではと思っていた。
    だが今回読んで、そこまでのものでもないか、と少し軌道修正。いや、解決の論理には今回も非常に感動し、そこはやはり素晴らしいと思うのだけれど、物語の過程が今一つ盛り上がりに欠けるようだ。若い女性の一人称の語り口や、彼女の探偵活動はどうもノイズのように感じられたし、独創性も感じない。
    そう言えば最後の解決のロジックでも気になるところはあって、あれ、中盤の利き手に関する議論が正しいことを前提にしてその上に構築されていると思うんだよ。私自身その主張が全面的には信じられなくて、瑕疵だと感じられたのだが、果たしてどうか。

  • 結局美味しいところは老優が奪っていく

  • かなり久しぶりに読んだので、何も覚えて無かったのですが中々面白かった。
    XやYと比べると話題には余りなりませんが、語り手のペイシェンスが面白いし、レーンの最後の畳み掛ける推理にスカッとします。

  •  『Xの悲劇』で登場した俳優にして名探偵、ドルリー・レーンを軽視していたサム警視やブルーノ地方検事もそれぞれに出世を果たした。ブルーノは州知事になり、サムは警察を引退して探偵になった。そしてサムの愛娘ペイシェンスは、名前の意味=根気強さと、父親譲りの推理力を持つ美しい女性に成長する。とはいっても、彼女は本編初登場。なんでも、仕事で忙しい父が、家族を顧みられなかったそうだ。

     父に連れられてハムレット城を訪れたペイシェンス=パティは、さっそく彼がタイプで自伝を執筆中であると見抜き、その推理力を賞賛される。大理石探掘会社経営者エリヒュー・クレイから、共同経営者で上院議員の兄ジョエルを持つアイラ・フォーセットが怪しいと相談されたサムは早速アイラに接触しようとするが、その矢先ジョエルが刺殺され、彼等を脅迫していたアルゴンキン刑務所の元受刑者エアロン・ダウが都合よく出所していた。彼が犯人だと警察は決めつけたがるが、サムとパティは反対。パティに気があるエリヒューの息子ジェレミーも巻き込んで捜査が始まる。

     サムもパティも、そしてドルリー・レーンもエアロン・ダウが犯人ではないと確信しているが、ダウは逮捕され、死刑執行のリミットが迫ってくる。タイムリミットがある中で、まだ見ぬ真犯人をあぶりだすことができるかがポイント。

     

  • 解説のとおり「意外な推理」が見どころ。
    ロジックには気になるところがあるが。

  • エラリー・クイーンのドルリー・レーン4部作のうちの3作目。本作で一番目新しいのは新しい語り手の登場である。警察を退職して私立探偵になったサム元警視の娘、ペイシェンスの一人称で語られていく。若い女性が語り手であるというだけではなく、クイーンの長編で、全編にわたって一人称が採用された作品は本作だけであるらしい。事件は、州上院議員が刺殺され、その犯人と疑われるアルゴンキン刑務所を出所したばかりの元受刑者、エアロン・ダウが逮捕され、死刑判決が下される。ダウは自分が犯人ではないと強く主張。ペイシェンスとレーンは論理的な推論からダウの無罪を固く信じ、その証拠探しに奔走する。刑執行のカウントダウンが始まった。電気椅子に掛けられ、黒焦げの死体になる前に2人はダウの無罪を証明することができるのかー。といったところだが、X,Yの悲劇と読んできて前2作と比べると本作では幾分トリックが小粒で、サプライズも少なく思われた。とはいえ最終幕の消去法推理のキレと鮮やかさは読者を興奮させはするのだが。次のクイーン作品は『レーン最後の事件』にするか。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou17404.html

  • X、Y、Zと順番通りに読んでみたが、今作Zは、人気が出た映画の続編を無理矢理作ってみたけど面白くなくなっちゃった、感がすごくした…。
    主人公のパティが諸悪の根源だと思う。昔の小説だから仕方ないのだろうけど、女の武器を使ってるわたしすごいって自信満々なのが、寒いしイタかった…。あれは寒い、イタいと感じて正解なのか?
    X、Yと比べて、謎解きパートもいまいち腑に落ちず、淡々と終わってしまい、本編の大半がパティとジェレミーのイチャイチャ、もしくはパティの自己満日記で終わったように思う。カイザーが出頭した理由もなんだか薄いし…。
    これから本シリーズを読む人には、Zは読まなくてもいいかもと言ってしまいそうなくらいには、私にとっては面白くなかった。

  • 2024.8.18読了

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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