Zの悲劇 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042507178

作品紹介・あらすじ

黒い噂がつきまとう州上院議員の刺殺事件。アルゴンキン刑務所を出所したばかりの元受刑者が逮捕され、死刑判決が下された。サム元警視の魅力的な娘で鋭い推理の冴えを見せるペイシェンスと、元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンは、無実を訴える男を救い、真犯人をあげることができるのか?刑執行へのカウントダウンが始まった!最高の新訳が名作の隠れた魅力に光をあてる疾走感溢れる傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • バーナビー・ロス(=エラリー・クイーン)によるシリーズ3作目。
    ドルリー・レーンによる推理が光る『Zの悲劇』

    X・Yに比べ、とてもスラスラ読め、分かりやすい印象でした。
    というのは、レーンのいつもの、シェイクスピア云々の引用が少なめだったのが原因のひとつ(私にとってはw)
    もうひとつは、サム警視の娘のペイシェンス・サムが語り手となり、一人称で物語が進んでいくという所にあるようです。

    舞台はアルゴンキン刑務所。
    サムは警視引退後、私立探偵業に従事していた。
    エリヒュー・クレイという実業家から、共同経営者の不正を暴いてほしいという依頼を受ける。
    サムとサムの娘ペイシェンスは、彼の家に泊まり込み捜査をするが、捜査対象の悪徳議員ジョエル・フォーセットが何者かに殺害される。
    残された手がかりから、刑期を終え釈放されたばかりのエアロン・ダウが容疑者に。
    どうしても彼が犯人だと思えないサムとペイシェンスは、レーンに捜査の助言を依頼する。

    『Yの悲劇』から10年後の話で、レーンは70歳の年齢で登場する。
    以前のような若々しさは衰えて見るからに身体が弱ってしまっているが、洞察力は変わらない。
    ペイシェンスはレーンを敬愛する、聡明で洞察力に優れた美しい探偵。
    『レーン最後の事件』にも出てくるのかなぁ。

    年老いたレーンも、魅力は変わらないです!
    安定の面白さでした♪

  • ラストの鮮やかな推理に感動する素晴らしい作品!
    そこにたどり着くまでの長くて憂鬱な展開を心地よく蹴散らしてくれた。
    読んで良かった。

    『Xの悲劇』、『Yの悲劇』とはかなり印象の違う作品。
    何よりも大きいのはペイシェンスの存在。
    彼女の語りは時に思わせぶりで、「はっきり言ってくれ!」と苛だ立つ場面もあった。
    (最後まで読んだ今は彼女の気持ちがよく分かる。あのタイミングでほのめかしたのは、むしろお手柄だ)
    けれど、彼女の存在がなかったらこの物語は陰鬱な印象を払拭出来なかったかもしれない。
    たとえ最後の素晴らしい推理にたどり着けたとしても。

    それにしても、サム警視のサムがファミリーネームだったとは…。
    本題には全く関係ないことだけど驚いた。

  • 元警視サムは引退、ブルーノ検事は知事になり、レーン氏は老い。
    X,Yからかなり時間がたった今回の事件は語り手がサムの娘ペイシェンス。
    殺された上院議員の事件を追って、ペイシェンス、サム、レーンが動く。無実の男を処刑の電気椅子から救えるのか。

    というあらましなんですけども、うーん、X,Y,Zを読み終わりましたが、面白さの順位を個人的につけるなら、X,Y,Zでした。
    作者であるエラリィ・クイーンは二人共著のペンネームで、どういう風にかき分けていたのかははっきりしないらしいがX,Y,最後の事件とこのZはメインで書いた人が違うという説があるらしいです。その説に一票です。
    内容が違い過ぎる。完成度とか文章の表現とかそういうことではなく、手掛かりの公平さという部分で。

    順番に読んだった!という征服感は味わえました。
    「最後の事件」をどうするかなー・・これも評価がわかれるみたいなのでぇ・・・。(悩)

  • サム警視の娘が語り手となるストーリー。
    古い小説だから古風な女性になるのは仕方ないけど、やっぱり現代の感覚ではイライラする…
    そして前回に引き続きどころか更にダメダメになっていくレーン…かっこよくない。
    利き手と利き足の関連性ってそんなに正確に分類できたっけ?と謎解きにもモヤモヤ残る。

  • やっとX~Zの悲劇を読了。

    割と時間がかかってしまった。
    物語は全作通してハードボイルド感が漂っている。
    情景描写や比喩多めで物語のスピード感はどちらかというとゆっくり。
    物語はゆっくりとしたペースで進んでいく。
    次から次へと事件が巻き起こりというわけでもなく、
    じわじわと事件が起こる。これは3作ともそのような印象を持った。

    このZの悲劇だけはサム警視の娘、ペイシェンスの一人称で語られている。
    前2作と比較すると、ほんの少しだけ女性向けかもしれない。

    3作とも読者が推理するには少し無理がある感じだが、
    推理を読んでなるほどなぁと思うタイプの読者には楽しめる作品だろう。

    私はある程度犯人を自分で探しながら読む為、
    これら3作とも全部外し、それはないだろ~と凹む結果ばかりだった(笑)

    しかし3作とも読むことが出来て大満足。

    • todo23さん
      あれ、「最後の悲劇」には行かないのですか?
      ドルリー・レーンシリーズはX・Y・Z・最後の4部作ですよ
      あれ、「最後の悲劇」には行かないのですか?
      ドルリー・レーンシリーズはX・Y・Z・最後の4部作ですよ
      2017/10/07
    • bmakiさん
      そうだったのですか!?知らなかったです(^_^;)いや、確か前書き的なところに書いてあったかも、、、
      見て見ぬ振りをしておりました(笑)
      ...
      そうだったのですか!?知らなかったです(^_^;)いや、確か前書き的なところに書いてあったかも、、、
      見て見ぬ振りをしておりました(笑)
      またいつの日か読んでみます(*^^*)
      2017/10/07
  • 元シェークスピア劇俳優の「探偵」ドルリー・レーンが難事件に挑む。「Yの悲劇」につづく、シリーズの3作目(ちなみに、本作では、レーンが現場に合流するのは作中の途中から。)
    NYPDの警部だったサムは、その後市警を退職して探偵事務所を開業しており、探偵として登場。
    さらに、その娘パティも登場。父の「捜査」を手伝う。ちなみに、シリーズ前2作と異なり、本作はパティの一人称で語られる。

    小説の舞台はアメリカNY州の北部。刑務所がある小さな町だ。ここで連続殺人事件が起こる。上院議員と、悪徳医師の兄弟が凶刃の犠牲となる。

    このつまらなさは、なんだろう。

    真犯人の意外性は十分で、終幕の真相解明のパートに少々のカタルシスはある。
    だが、この部分の醍醐味をもってしても、全編の冗長さ退屈さの読後感は依然として残る。

    犯人の動機もまた納得のいくものではない。これがありなら、誰でもありという気がする。

  • 推理の説得力が弱い。終盤の刑務所の死刑数秒手前で起こるドラマは素晴らしい。犯人のバックボーンはあまりにも薄いしありきたりでつまらない。エアロン・ダウとフォーセット兄弟との過去・弱みも陳腐だ。
    推理が主眼でも説得力が弱くて論理的であろうとスッキリしない。ペイシェンス・サムの前半の活躍は素晴らしいが後半はヒステリックになるのを必死に抑えているよくある弱いヒロインになっている。
     次の「ドルリー・レーン最後の事件」は未所持なので図書館で予約をした。明日取りに行く。

  • ドルリーレーン三作目。サム警部の娘のペイシェンスの視点で進む。
    知的で自分に自信のあるペティの解釈はたまに高慢にも思えるときがあるけど、高齢になったレーンのゆったりとした流れといい感じに静と動のテンポがあると思う。

  • X・Yときて いよいよのZの悲劇。前のとはあまり関連性がなく、レーンが一人で解決するわけでもないのだが、女性のペイシェンスの大活躍が読んでいて胸のすく思いにさせられる。今の時代でさえそうなのだから、エラリークイーンがコレを発表当時は世の女性たちの快哉を浴びたのでは。

  • Zの悲劇という題が適切か疑問に思った。面白かったけど、Yの悲劇には届かないな

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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