レーン最後の事件 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042507185

作品紹介・あらすじ

サム元警視を訪れ大金で封筒の保管を依頼した男は、なんとひげを七色に染め上げていた。折しも博物館ではシェイクスピア稀覯本のすり替え事件が発生する。ペイシェンスとレーンが導く衝撃の結末とは?

感想・レビュー・書評

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  • 【シリーズ】というものの醍醐味が初めて分かった気がします…(´;︵;`)

    全てがあって完成品。
    これはもう芸術です!
    ドルリー・レーンシリーズ最終巻。

    私立探偵となったサムの元に、カラフルな付け髭で変装した怪しい男がくる。
    その男は、ある封筒を預かって欲しいと依頼。
    一定期間自分から連絡がこなければドルリー・レーン立ち合いの元、封筒を開封しろと言う。
    この奇妙な依頼を皮切りに事件に巻き込まれるサム元警視とペイシェンス。
    レーン四部作の完結編。

    「好きだから早く読みたい」気持ちと「好きだから最終回は読みたくない」気持ちが鬩ぎ合う。

    昔ポワロ(私の読んでたシリーズはポアロではなくポワロだった)の最終巻「カーテン」を読むのが悲しくて、でも好きだから読みたいけどでも…と、未だに読めていない(^▽^;)

    数年前に観ていた大好きな米ドラマも、最近ようやく最終回観たくらい。

    話を元に戻して、
    思えば「Xの悲劇」からこの完結編に向かう要素はあったのかもしれない。
    「X」「Y」「Z」があっての「最後の事件」だ。

    全てに共通しているが、細かく散りばめられた疑問点全てに意味がある。
    その「意味」の傾向にとてもセンスがあり、もうすっかりエラリー・クイーンの虜になってしまった…(′;ω;`)
    ミステリだけではなく、様々な観点から総合して最高傑作です。

    私の目の奥にはハムレット荘の美しい光景と、庭園で日光浴をしているレーン。
    傍に立つサム警視とクエイシー。
    走り寄るペイシェンスの笑顔。

    すごく愛おしい作品に出会えました。
    私の好きな小説10選に入ります。

    ネタバレしたくないから多くは語りません。

    私が言いたいのはひと言。

    「最初から全部読んで。絶対後悔しないから!」
    (>□<)

    • Kaniさん
      111108さん、こんにちは!!
      コメントありがとうございます^ ^

      葛藤しますよね〜( ´•௰•`)
      続編を読むという事はそこに愛が芽生...
      111108さん、こんにちは!!
      コメントありがとうございます^ ^

      葛藤しますよね〜( ´•௰•`)
      続編を読むという事はそこに愛が芽生えたという事で…♡
      いつまでも終わらないでほしい欲が湧きます。
      ですが、完結してこその愛もありますもんね。

      ぜひぜひ、堪能してください!

      そしてこの行き場のない気持ちをここへ共有しましょう!!(∩´∀`∩)
      2022/06/01
    • 111108さん
      Kaniさんお返事ありがとうございます(^-^)

      なるほど〜続編を読むという事は愛が芽生えたって事なんですね!そうそう、無理とわかってても...
      Kaniさんお返事ありがとうございます(^-^)

      なるほど〜続編を読むという事は愛が芽生えたって事なんですね!そうそう、無理とわかっててもずーっと続いてほしいと思ってしまいますよね!

      あと2冊堪能したらまたKaniさんに報告しますね。おねがいします♪
      2022/06/01
    • Kaniさん
      111108さん、お待ちしてます(∩´∀`∩)♡
      111108さん、お待ちしてます(∩´∀`∩)♡
      2022/06/01
  • 頭が真っ白になる衝撃の結末。
    まさか、、、、

    『Xの悲劇』、『Yの悲劇』、『Zの悲劇』、『レーン最後の事件』の順にあまり間をおかずに読めたことを嬉しく思う。
    前の3冊はタイトル通りの「悲劇」だった。
    たぶんもう読み返さないだろうと思っていた。
    面白かったけど、結末が分かっていて読みたい類の本じゃないと。

    でも、『レーン最後の事件』を読んで、主人公について私が信じていた人物像が粉々に砕けたことで、このシリーズがより恐ろしく、だからこそより魅力的なものに感じられるようになってしまった。
    「あれ」もそうだったんだ…。
    「あれ」も演出だったのか…。
    シリーズ全体の色合いが、レーンの推理と言葉から受ける印象が、ガラリと変わってしまった。
    頭がぼーっとしてしまう。

    たぶんまた読んでしまう。
    このシリーズの輝かしい探偵役である名優は、今度は全く違う顔を私に見せてくれるだろう。

  • ☆4.0

    X、Y、Z、最後の事件と必ず順番通りに読むことをおすすめいたします。
    そしてできれば、あまり間を置かずにシリーズ一気読みが推奨であります。
    ああ、なんと静かな幕切れだったことか。

    私立探偵として活躍するサム元警視と娘ペイシェンスの事務所に奇妙な依頼人が訪れた。
    帽子をかぶり、黒や青や緑の濃淡の付いたおかしな顎髭と、青いサングラス。
    明らかに変装している痩身長躯な男だ。
    その男は現在巨額の価値を持つ秘密を探っており、その手がかりを入れた封筒を預かって欲しいと言う。
    そして自分の無事を知らせる定期連絡がなかった場合に開けてほしいと。
    千ドルもの依頼金を提示され、受けることにはしたものの、なんとも怪しい依頼に戸惑い、いたずらの可能性も考えたサムとペイシェンスだが、一度目の定期連絡も無事に終えたので、そのまま依頼を続行することにした。
    同じ頃、サムの知り合いの元警察官で今はブリタニック博物館で警備員をしているドノヒューが、行方不明になっているので探してほしいとの依頼が舞い込む。
    調査のために訪れたブリタニック博物館では改修工事をしており、新しく寄贈されたシェイクスピアの稀覯本を展示する部屋が作られていた。
    置かれているガラスケースの破損から、稀覯本のすりかえが発覚。
    しかし、おかしなことに元の稀覯本よりも価値の高い貴重な稀覯本がそこには残されていた。
    おそらくドノヒューはすりかえた犯人を追って行方不明になったと思われた。
    サムから協力を要請されたドルリー・レーンも加わり事件を負うのだが……

    ドノヒューの行方不明が不穏だけど、前半はわりと軽やかに進む。
    ペイシェンスとロウ青年のロマンスとか。
    その軽さに騙されちゃうと、後々の展開でウグッてなっちゃう。
    読み終わって二周目はもう、部屋が斧でめちゃめちゃなところからずっとウグウグしてた。
    二周目、どこまでも心がつらい。
    サム元警視がどこまでもサム元警視で、安心するような悲しいような。

    どうしてレーンはこの最期なのか。
    多分それは、ペイシェンスにわかってしまったから。
    推理で完全に説明できてしまう証拠があったから。
    なのだと思う。
    Yの時には読んでいて確定できる描写がなかったから平気だっただけで(やってる前提で書いちゃってますけど)、行動すること自体にはそんなにもう葛藤はなかったんじゃないかな。

    "これがやりたかったんだ"という思いは受け取った。
    そして"これに関してグチグチ言わんぞ"という強さと潔さを感じさせるラストだった。

    シリーズ通して、わからないことが多い話だったかもしれない。
    もちろん事件やトリック、犯人などはすっきりなるほどと面白く読んだけど、精神面では読み取れない部分が自分にはすごく多くて、戸惑いも大きかった。
    自分の読解力が足りないからのか、それとも元々そこに力点がないからなのかはちょっとわからん。
    お詳しい方々に解説してもらいたい欲がすごく出た作品群だった。
    そして何よりとにかく楽しんだ時間だった。

  • 自分の中で大切なモノは何か?その大切なモノを守るための選択が、時に過ちを犯してしまうのかもしれない。

  • 「X」「Y」「Z」につづく最後。アラ、本当に最後なのね・・・
    泣けてしまうわ、一途さに。
    ペイシェンスってこんなにいい子でしたっけ?一緒に泣きました。

    古書をめぐる学術的な記述など、シェークスピアネタが調所に。
    深身のある一冊でした。

  • ドルリー・レーン氏に敬意を表して。

    四部作最後の作品ということで、感慨深かった。ラストにも、うーん。。。と、しばし浸ってしまったし。
    謎解きも比較的馴染みやすかった(真相にはたどり着けなかったけど)し、カップルの微妙な関係とお父さんの困惑っぷりが大変微笑ましかった。
    エラリー・クイーンの描写は繊細にして余すところがなく、知的な文章であると思う。読むのに時間がかかるけど(クリスティーはわりとさくさく進む)


    【以下ネタバレ】
    レーン氏の犯罪に対する捉え方は、現代の警察的思考とは一線を画すものであるように思う。独自の善悪基準があり、裁くのもまた自分自身であったりする。それは、長くシェイクスピア劇の中に生きてきた中で培われたもので、最後まで貫き通した姿は、劇的な神々しさを放っていた。とはいえ、実際にレーン氏が生きているのはシェイクスピアの時代ではないのであって、そこに周囲の人々との感情的な齟齬も生まれてしまうのだろう。あんなに可愛がり、その知恵を賛美していた、愛すべきペイシェンスに、つらい思いをさせるべきではないと思う。彼女なら真相にたどり着くと、きっとわかっていたはずなのに。

  • 最後の展開はなかなか衝撃でした・・・
    レーン4部作をもう一度読みたくなりました。

    こんな展開を考えたエラリー・クイーンは素晴らしい!!

  • シリーズを読み始める前はこんなに凄まじいシリーズだとは全く予想してなかった

    他の三作品に比べると登場人物が少ない

  • ペイシェンスの仮説に助けられながら、自分なりの推理を進めたが、まさかの結末。

    終盤でペイシェンスが、(伏線として仕込まれていた)事実を一つずつ挙げていく中では、サム警視よりは早く気付いたものの、驚きは半端ないです。

    終わり方が美しいのには、気持ちが救われました。

  • 呆然とする結末。

    あくまで第三者として事件に関わる探偵に慣れていたのですが…
    2作目で、おや?と感じた主人公像。
    集結で確信に変わり、愕然。
    信念を通すために、手段を選ばないんだなあ。。
    お別れが寂しい読者のために、主人公が舞台を降りる最終回の場面を、最小限にしてくれた作者に感謝です。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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