笑う警官 (角川文庫 赤 520-2)

  • KADOKAWA
3.61
  • (14)
  • (36)
  • (43)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 312
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042520023

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最近北欧ミステリーずいていて、マルティン・ベックシリーズを読むことができた。

    1967年11月13日、午後11時3分、ストックホルム市内の二階建てバス、乗客と運転手9人が射殺されて歩道に突っ込んだ。その中には非番の若き刑事ステンストルムがいた。なぜこんな路線に乗っていたのか、ほかの乗客はどういう人達なのか?

    捜査を始めるストックホルム警察の刑事マルティン・ベック、相棒コルベリ、ほか刑事の面々。刑事たちの捜査の進展具合が細かくテンポよく描かれ、1967年が舞台なのに古さは感じなかった。考えてみるとドラマ・刑事モースの若き日の頃と同じだなあ。ベトナム反戦デモに対応したり、第二次世界大戦帰りの同僚がいたり、地域柄、フィンランドの冬戦争にも行ったことがある、などという事が出てきたり、67年時点でアラブとかそこらへんからの流入者がいたり、スウェーデン事情をかいまみられました。

    また重大事件ゆえほかの警察署からも応援が来て、北部からの者が話すと「あなた北部の人ね」というセリフがあったり、言葉のなまりはどこにでもあるんだなあ、などと思った。ただカギとなる16年前の事件、これがなんだかなあ、という感じだった。



    1968発表 スウェーデン
    1972.7.20初版 1983.11.20第23刷 図書館  
    翻訳:高見浩 英訳本からの翻訳とあった。

  • しっかりと筋立てが通っているミステリー。
    最後まで納得しながら読み進めることができた。
    登場人物がとても個性的。

  • こういう話だったのか

  • バスの運転手、乗客9名が殺される事件が起きた。その中にはマルティン・ベックの部下も含まれていた。

    ほとんど手がかりがないところから、死んだ刑事が独自に調査していた事件をきっかけに、ベックのチームが捜査をしていきます。

    これはすごく読みごたえがあって面白かった。

  • 1972年 初版発行の本。
    不思議なことに、40年経っても決して古くさく感じさせない内容と構成。使われている日本語は当時のままですが、それが逆に興味深かった。ただ、登場人物の名前を覚えるのが相当大変。この本こそ、最近のミステリー本の巻頭に付いているような登場人物一覧表が欲しいと思いました。オチが良かったですね。

  • 精神異常者による銃乱射事件、一見そうとしか見えない事件の真相が、刑事たちの脚を使った地道な捜査で少しづつ明らかにされていく。それとともに、始め数ページで死んだ刑事のパーソナリティが徐々に色づき、両者が見事な昇華を遂げる。

  • この評価の高い本を読むために前作を読んだ時、肩すかしをくらったのですが、この「笑う警官」という本はそんなネガティブな要素を払拭させてくれました。読んでよかった。
    刑事たちの個性も様々で深まる謎を解きほぐすその執念、犯罪の入り組み具合などまさしく評価に値する一冊だと感服。

  • スウェーデン発の推理小説。
    1970年度のMWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞受賞作。
    ちなにみ翌年1971年は、
    F・フォーサイスのジャッカルの日が受賞しているといえば
    どう言う賞か雰囲気はわかるだろう。

    中々、深みのある話です。
    ですが、いかんせん、1970年。
    ベトナム戦争が影を落としていますし、
    もっと言えば、第二次世界大戦もまだ影が見える頃、
    少し現在とギャップを感じます。
    ですが、おもしろい作品です。
    読み応えあります。

  • 結末が結構好き。さくさく読めました。

  • 11月。長く厳しい冬の到来という〝現実〟を目の前に突きつけられる、北欧の人びとにとってもっと暗鬱な季節にその事件は起こる。ストックホルム市内を運行する路線バスの車内で発生した銃乱射事件。事件もまた、11月にふさわしく暗鬱だ。

    偶然にも、その凶行の被害者の中にストックホルム警視庁の刑事マルティン・ベックの若い部下がふくまれていた。犯行の手がかりを探るため丹念に被害者たちの素性を洗ってゆくうちベックは、部下の死をたんなる偶然の事故として片付けるにはあまりにも不可解だという印象を抱く。やがて、捜査線上に16年前に発生し未解決のままとなっているひとつの殺人事件が浮上する……。

    この『笑う警官』は、〝刑事マルティン・ベック〟シリーズの第4弾となるが、このシリーズの魅力は謎解き的な側面以上に、事件捜査にあたる個性豊かな警察官たちによる群像劇と必ずしもうまくいっていない夫婦間の心のすれちがいを描いたホームドラマというふたつの人間ドラマが同時進行してゆくところにあるのではないか。コルベリ、メランデルらいつもの面々は、それぞれの〝領分〟でいつも以上にその持ち味を発揮している。ノルディンやモーンソンら〝地方招集組〟もまた然り(ん?アールベリは?)。

    前回から登場した〝憎まれ役〟グンヴァルド・ラーソンは今回もなかなかの舌好調ぶりだが、最後事件について語る言葉に彼に対する読者の印象も変わる。なお、タイトルの意味するところは、最後のページの最後のセンテンスで明らかになるのでお楽しみに。苦笑いと泣き笑いの青年刑事への鎮魂歌。


    *北欧の名前になじみのない読者には、あるいは登場人物の名前に苦労するかも…。

全27件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1935年、ストックホルム生まれ。雑誌記者・編集者を経て65年から10年間ペール・ヴァールーとマルティン・ベックシリーズを10作書き上げる。ストックホルムに詳しく、マルティン・ベックシリーズの陰の主役ストックホルムの町と人々の暮らしの卓越した描写はマイの功績。現在ノルウェー語、デンマーク語、英語の翻訳者。

「2017年 『バルコニーの男 刑事マルティン・ベック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マイ・シューヴァルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×