ホット・ロック (角川文庫 ウ 11-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042522010

作品紹介・あらすじ

長い刑期を終えて出所したばかりの盗みの天才ドートマンダーに、とてつもない仕事が舞い込んだ。それはアフリカの某国の国連大使の依頼で、コロシアムに展示されている大エメラルドを盗み出すというもの。報酬は15万ドル。彼は4人の仲間を使って、意表をつく数々の犯罪アイディアを練るが…。不運な泥棒ドートマンダーの奇怪で珍妙なスラプスティック・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 『語彙力こそが教養である』(角川書店)の中で、齋藤孝先生が薦めていたシリーズの1冊目。
    齋藤先生が海外ミステリーを紹介しているのが新鮮で、読んでみたくなりました。

    刑務所から出所したばかりの天才泥棒·ドートマンダーのもとに、相棒がさっそく持ってきた仕事は、大きなエメラルドを盗み出すこと。
    とある国の国連大使からの依頼ということで報酬も期待大、仲間を集めて仕事にかかるも、エメラルドはドートマンダーから逃げるかのように手からすり抜けていきます···。

    大胆で驚くような盗みの手口を次々に披露するドートマンダーですが、不運の女神に見初められているようで、肝心なところでうまくいかないのがかわいそう···。
    ユーモアたっぷりに描かれているので、ドートマンダーには悪いな、と思いつつ笑わずにはいられません。
    クセのある仲間たちやきな臭い弁護士など、登場人物たちも個性派ぞろい。
    彼らがなにをやらかしてくれるのか、わくわくしちゃいます。

  • もう読む前から当たりであることが分かる本というのがある。例えば伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングシリーズ」のようなタイプ。ウエストレイクのこのシリーズもそうだ。天才的な犯罪プランナーのドートマンダーが依頼された宝石を盗むのだが不運によりどんどんと事態が深刻に複雑になっていく。それをシリアスでなくコミカルに描いていく。キャラ立ちがよくテンポよく進んでいくのでとにかく楽しい。ドートマンダーの陰とケルプの陽な性格の対比も上手い。お笑いのてんどんを思い起こさせる会話劇も笑えて最高にハッピーな読書だった。

  •  刑期を終え出所した犯罪コーディネーター・ドートマンダーの下に昔からの相棒・ケルプが大きな仕事の話を持ってくる。ドートマンダーは仲間を集めて目的のエメラルドを盗みだす計画を立てるが…

     何とまあスマートじゃないクライム・サスペンスなのでしょうか(笑)。エメラルドを盗んでくれ、という依頼の元ドートマンダーたちは計画を実行していくのですが、どうにも毎回うまくいきません。

     一回目の博物館襲撃で仲間の一人が捕まり、その後何度やっても捕まりこそしないもののエメラルドは手に入らず……。ここまで失敗しているのにドートマンダー自身は捕まらないのが、確かにドートマンダーはやり手なのだろうな、と思いますが……、でもこれだけ失敗してたら他の作品ならとっくの昔に消されていそうな気がしますが(笑)

     彼の計画もかなり大胆なものが多く、話自体のテンポもよく非常に楽しく読めます。

     会話の軽妙さもいいです。ケルプが依頼主の国連大使に計画の必要資金の交渉の席でのやり取りや、
    病院に乗り込んだドートマンダーたちに対しそこで働く女医が言い放ったひと言など、笑えるものが随所に見られました。

    • たまもひさん
      とし長さん、こんにちは。
      いいですよねえ、ウエストレイク。わたしもこういうずっこけたクライムノベルが大好きです。最近あまりお目にかからない...
      とし長さん、こんにちは。
      いいですよねえ、ウエストレイク。わたしもこういうずっこけたクライムノベルが大好きです。最近あまりお目にかからないような…。また読み返したくなりました。
      2015/06/04
    • 沙都さん
      たまもひさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      ウエストレイク、初読みでしたが読んでいてとても楽しかったです。

      確...
      たまもひさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      ウエストレイク、初読みでしたが読んでいてとても楽しかったです。

      確かにずっこけたクライムノベルってあまり印象がないですね。
      天藤真さんの『大誘拐』がそれに近いかな、とも思いましたが、どちらもユーモアはありますが、大誘拐は最終的に完全犯罪になるので、終始ドタバタしている『ホット・ロック』とはまた毛色が違うのかな、とも思ったりしました。
      2015/06/04
  • 面白い小説というのは時代を超越する、という典型だと思う。
    1970年発表の作品だけど、とにかく痛快。
    なんというか、とぼけた間がいい味を出している。
    愛すべき悪党ども、と言ったところか。

  • 1970年に書かれた懐かしい雰囲気を持つ作品。

    主人公の盗みの天才ドートマンダーは刑務所から
    出てきてすぐにかなり困難な仕事を受ける。
    4人の仲間とエメラルドを盗もうとするも
    なかなかうまく行かず、エラーアンドトライを
    繰り返す。成り行きで刑務所に盗みに入ったり
    するところがとても面白かったです。

    今の時代にはもう書かれないであろう小説かなぁと
    思いながら読みました。

  • ドートマンダーシリーズ第1作。一度文庫が復刊されたときに手放してしまい、ずいぶんな時を経て再入手。少し訳がくどい(いい意味で出版当時ものの)感じはあるけど、ストーリーラインやユーモラスな要素、二転三転するドタバタ劇など安定感のある面白さ。カチッとハマる緻密さを除いた群像劇の伊坂作品みたいな感じ。


    ドートマンダー:天才犯罪プランナー、37歳
    ケルプ:相棒。人集め、車の盗難。義理のいとこ
    スタン・マーチ:腕利きドライバー、ママっ子
    チェフウィック:凄腕金庫破り、愛妻家
    グリーンウッド:何でも屋、女たらし

    ▪️あらすじ(ネタバレ含)
    出所したドートマンダーをケルプが迎え、アフリカの小国同士のエメラルドの奪い合い依頼の仕事を紹介する。大使から週150ドルもらいつつ、成功報酬は3万ドル。

    マーチ、チャフウィック、グリーンウッドを誘って宝石が展示された美術館へ侵入するも、グリーンウッドが宝石を飲み込んで捕まる。弁護士がドートマンダーや大使と合流し、グリーンウッドの釈放or脱獄計画を立てる。
    グリーンウッドを無事拘置所から救出するも肝心のエメラルドは警察署にある留置所に置いてきたとのこと。つまり警察署へ侵入してエメラルドを取ってくる必要がある。。ヘリコプターで侵入するも、隠したはずの場所にエメラルドは無かった!ブロスカーがグリーンウッドから密かに預かっていて、精神病院へトンズラしていた。
    機関車を用意して、精神病院からブロスカーを拉致ったはいいものの、ブロスカーはエメラルドを銀行の貸金庫に預けている。今度は銀行に押し入らないといけない。。
    ブロスカーと少佐が手を組んでいるっぽいが、5人組は偉大なるミアズモに警備員に暗示をかけてもらい、エメラルドを奪うことに成功。依頼主である少佐に渡しに行ったところ、報酬貰えず裏切られる。空港で少佐とブロスカーを追い詰め、エメラルドを奪還、それを隣国の大使に贋作エメラルドとの交換を持ちかけ、贋作を20万ドルと引き換えに少佐に売りつけて大団円。

  • ユーモアミステリー好き、泥棒ミステリー好きとしては見逃せないドートマンダーシリーズ#1。
    出所後のドートマンダーに舞い込んだのは、アフリカ某国国連大使の依頼でブルックリン博物館のエメラルドを盗み出すこと。天才的な強盗プランナー、ドートマンダーとその仲間たちの飽くなき?挑戦。

    華麗な手段で成功させるのになぜか不運がつきまとうドートマンダー。絶対に面倒ごとをもってくるちょっと間が抜けた相棒ケルプ。どの道を通ってここまで来たかを毎回詳細に語る車狂いのマーチ。ビールに塩をいれる場面がおかしい。鍵開けの名人で模型鉄道マニアのチェフウィック。時々口にでるポッポーに癒される。いかさま師で俳優のグリーンウッド。名前を使いわけて女性を口説きまくる色男。

    どこまでもコメディ。こんな古い時代の作品なのに今でも笑える。ルパン三世的なおもしろさ。プロジェクトごとにチームを組むので、サブメンバーでいろいろ遊べる方式。続編も楽しみ。

  • 2021/5/2読了
    天才的犯罪プランナー、ドートマンダーはアフリカ某国から宝石強奪を依頼されるが、予想外の事態で失敗。しかし、依頼主が手を引かずに延長戦にもつれ込み……同じ目的のために何度も危ない橋を渡るのが嫌さに手を引きたいが、そうは問屋が卸さず、どんどんシビアな状況に追い込まれ、対する作戦もどんどん奇想天外なものになる。時には、こういうおバカな話も悪くない。
    でもしかし、この話での宝石所有権問題の発端は、アフリカ各国が植民地から独立した際に、現住部族の支配地域とは関係なく欧州が引っ張った植民地境界線をそのまま国境にしたことに由来しており、実は結構シビアな史実を背景にしていたりする。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18431

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA39075806

  • 長い刑期を終えて出所したばかりの盗みの天才ドートマンダーに、とてつもない仕事が舞い込んだ。それはアフリカの某国の国連大使の依頼で、コロシアムに展示されている大エメラルドを盗み出すというもの。報酬は15万ドル。彼は4人の仲間を使って、意表をつく数々の犯罪アイディアを練るが…。不運な泥棒ドートマンダーの奇怪で珍妙なスラプスティック・ミステリー。
    原題:The hot rock
    (1970年)

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