心ひき裂かれて (角川文庫)

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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042536031

感想・レビュー・書評

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  • 翻訳作品だが、くだけた言回し、乾いた語り口の独特の文章。訳語や言回しに非常に気を使っていることが伺え、翻訳者の個性、表現力が強く作品に滲み出ている。
    精神疾患を患う妻、その妻の退院直後のレイプ事件、過去の恋人との経緯と再会、連続レイプ犯との出逢いと確執、レイプ事件の原稿の執筆。精神的にバランスを欠く主人公の一人称の語りで綴られる物語。それと翻訳文が良くマッチしている。
    妻やレイプ犯など、精神のバランスを欠く人物が多数登場し、その精神分析が行われているが、主眼は主人公の精神分析である。
    最後の第三部になると、主人公と警部補との心理戦が展開され、文庫本の418ページで予想外の指摘がなされ、驚かされる。さらに、439ページでも驚きの指摘がなされ、さらに最後で事件の核心となる<罪意識>に関する真相が明かされる。
    まさに、「予想の斜め上」を行く真相である。

  • ラスト数ページで背筋がゾッと凍りついた。
    叙述だとあらかじめ分かっていたのに、我孫子武丸の「殺戮に至る病」以来の衝撃である。

    果たしてこんな事あり得るのか…?あり得ない、と思いつつもありえなくもない、とも思えてしまうのがなんとも。

  •  ここんとこ探し出しては読んでいる最後の一撃もののひとつ。ん~、これはなんなんだ。心理ミステリというより心理小説かな。連続レイプ事件が起こるのだけどそれはまあサイドストーリーであって、主題は主人公ハリーの2人の女性への揺れ動く恋愛心理がぐだぐだと綴られる。なことどうでもいいよ、いいかげんにしろよと言いたくなる。最後の一撃はまあ意外ではあるけど、本筋とあまりかかわってない気がする。して肝心の事件の真相に関しては反則っぽいし。読み終えて全然感情移入できない主人公に振り回されただけのあほらしさしか残らない。

  • 2013/06/13読了

  • サイコ・スリラーと言っても、猟奇的な事件が起こるわけでもないし、レクター博士みたいな犯人が出てくるわけでもない。ストーリーの巧みさと、深層心理のえぐり方で読ませる作品なのだ。

    小説家志望の主人公、情緒不安定な妻、かつての恋人との再会、とまあ、よくある三角関係の構図ではあるが、ストーリーが膨らめば膨らむほど、彼らは精神的に追い詰められていく。だんだん霧が深くなるような、そんな、見えない狂気と悪意に逃げ場を塞がれる不気味な空気感が、ある意味心地よかった。

    ラストの展開は読み応え抜群。徐々にページ数がなくなる中でどうやって終結させるのかと思っていたら、ラスト二行で、全くの死角から予期せぬ一撃に見舞われた。インパクト大のフィニッシング・ストローク。このラストのために逆算して緻密なストーリーを構築していたことには素直に脱帽。

    でも、時間が経つにつれて何故かモヤモヤ感が大きくなる。一撃の陰に隠れてしまったが、全部スッキリ解決というわけではない。サイコ・スリラーであって、本格ではないってことか。

  • 精神病院を退院したばかりの年上の妻をもつハリーの身の回りで起こるレイプ事件の数々。
    次第にありえない状況に巻き込まれていくうちにラストは思いもしない結末に展開していく心理サスペンス。
    最初は退屈な文章表現だったが、やはりベテラン作家だけあって読み進むうちにどんどんはまっていく。
    以前にもニーリーの作品は読んだことがあるが今ではこの作家の作品は貴重であるらしいことが分かった。

  • 結末で頭を後ろからガツンと殴られたようなかんじ。個人的にはショー刑事が好きだ。

  •  なんだかもう、犯人が誰だとかそんなことはどうでも良かったかもしれない(笑)。なんといってもあの「秘密」がねえ……。意外性というか、最後の最後でこういう形であかされる、ってのが衝撃的だったし、一番最後の台詞がとても印象的。
    この作品、読み終わった後に伏線を拾ってみるのもなかなか面白いかも。最初は気にも留めなかった部分が、読み返してみると非常に重い意味を持ってくるあたり、かなり見事。
    ところでこの人、評論とか見るとかなり全体的に評価が高いんだけど、邦訳めちゃめちゃ少ないんじゃ? 半分も訳されてないみたい。ちょっと残念。あと、マイナーなんだかメジャーなんだかもかなり微妙。どちらかといえばマニアック? でもわざわざ復刊されてるしなあ。

  • エドガー賞ノミネート作品。
    外国の小説は癖があって読みにくい(私にとって)が、それでもどんどん引き込まれてしまった。
    「犯人が分かっているのに何だこの不快感は・・・」
    と思って読み進めていくと、驚きの結末が待ち受けていた。

  • 鬼才ニーリィの最高傑作。最後の一撃にしびれます。

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