オデッサ・ファイル (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537021

感想・レビュー・書評

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  • ”オデッサ”とは、ナチス親衛隊(SS)のメンバーの救済を目的とする秘密組織のことである。
    ルポライター、ペーター・ミラーをオデッサと結びつけたのは、老ユダヤ人が遺した一冊の日記だった。それによればリガの殺人鬼と異名をとったナチ収容所長、ロシュマンは、今もドイツに生きているという。
    日記のある箇所がミラーの注意を惹いた。彼は憑かれたようにロシュマンの追跡を始めた。だが、それはタブーへの挑戦であり、組織の手はしだいにミラーの身辺に及び始めた…。


    奥が深くて、必ずしもラストに読者をスッキリさせる類の本ではないのですが、ペーター・ミラーを通して、SSのメンバーを追い詰めていくストーリーです。
    ヒトラー率いるナチス親衛隊がどれだけ残酷非道なことをしたのか、漠然と理解していましたが、戦後の混乱にまぎれて自らの保身のために国防軍をも時間稼ぎの駒として使ったことや、"オデッサ"を通じて行った行為は絶対に許せません。
    ペーターは父親の復讐のためにロシュマンを追い続け、陰でモサドからの支援を受けていましたが、そこまで危険を冒してまでも復讐をやり遂げたかったのでしょうね。

    ペーターを傀儡あるいは媒介者として、"オデッサ壊滅"への過程には十分すぎるほどの臨場感があり、冒頭で筆者が元SS隊員からの情報協力があったと述べていました。
    こういう潜在的な危険というのは、今現在も世界のどこかの地下でうごめいているはずです。

    戦争はいつになっても終わることがない…それが私の実感です。

  • 面白かったんだけど、お父ちゃんの敵討ち的な設定が不自然に思えて、横溝正史かよ!と。マスターピースなんだろうけど、ちょっと残念。

  • 冷戦化の雰囲気がピリピリ伝わってきておもしろい

  • ケネディ暗殺のニュースから始まって、ユダヤ系ドイツ人の老人の自殺、その日記のあたりでかなり凹んでしばらく放置してたけど、面白い。60年代が舞台で70年代初めに書かれた小説らしいけど、テンポがよくてさすが名作と言われる社会派ミステリー。実話や実際の人物も多くて、どこからどこまでが本当なのか、よくわからないが、ドイツの抱えていた戦後問題がかなりよくわかる。社会問題、差別問題、戦争、狂気、世界的に見て結局は同じような問題がまた起こるし、起こっているし、力のある者が生き永らえ、民がそのツケを払わされる、と言う矛盾に気付く者は、ことが終わってもどこの国でも少ないのかなあ、と感じた。

  • ナチとユダヤ人の対立が、根深く、二次対戦のその後を語ったものを読んだのは初めてだったので、興味深く読めた。

  • ジャッカルの日に続き、まるで現代の映画を見ているような早い展開で、面白かった。

  • 一人の青年ルポライターが戦後のナチスドイツの親衛隊の救済組織に鋭く迫っていく。モサドやユダヤ人側の訴追組織の思惑が複雑に絡む中、中核へと一歩一歩近づく程に高まるスリルは本書の醍醐味である。

    後年のフォーサイスの作品と比較するとプロットの緻密さにおいてはやや欠けるが補って余りあるテーマの深みがある。

    1972年当時、本書に記載・言及されている内容は、後日、事実として報道されたことが多い。この小説が当時の事実を超える真実を多く語っていると当時の読者が感じたことは想像に難くなく、このジャンルでの卓越した作者の才には感服する。

    主題となるナチスドイツの親衛隊は、血の団結力を誇り、優秀な人材を取り揃えただけに、ユダヤ人収容所など第二次世界大戦後の大きな傷となった。

    もしかするとドイツ人の戦後感が、わが国の戦後感と違うとするなら、敗戦と同時に逃げたナチス親衛隊のもたらした影の影響があるのかも知れない。

  • まあまあ面白かったけど、期待していたほどではなかった。
    ミラーはせっかく手間かけて化けたのに、自分の目立つ車に乗って
    あっさりバレてしまったり、不用意すぎる。
    それにオデッサの処刑人" マック・ザ・ナイフ "、マヌケすぎだろ。
    あとロシュマンの用心棒も。爆弾仕掛けられた車の処分は
    近い将来どうなるんだろうとか思っていたら、そう来たか(笑)

  • オデッサという、元ナチスの親衛隊で組織されお互い助け合う秘密組織があることを初めて知った。
    「オデッサ・ファイル」は、主人公のルポライターであるミラーが一冊の日記を読みナチスの収容所で殺人鬼を呼ばれた男を探しだす話である。
    中身はフィクションとノンフィクションが混ざり合っているらしいのだが、ナチスのことが詳しく書かれている。
    残虐な大量虐殺などを行った人間が何食わぬ顔で社会生活をおくっている殺人鬼を許せない主人公の執念が伝わる。
    結末でその執念の理由が明らかになる。

  • オデッサを執拗に追う主人公の動機に曖昧さを感じるも、ラストで納得。
    やはり個人の恨みがなによりも強い。

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2020年 『ザ・フォックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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