悪魔の選択 上 (角川文庫 赤 537-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537069

感想・レビュー・書評

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  • ソ連・イギリス・アメリカの情報合戦、国家の危機さえ権力闘争に利用するロシアの政治家たち、ロシアに蹂躙されるウクライナ人は独立を訴え、そんななかで密かなラブストーリーも進行する。
    書かれたのは1879年、物語の舞台は1982年。リアリティのある未来予告…さすがフォーサイス。


    1982年。
    ロシアでは大飢饉を迎えようとしていた。
    ソビエトの真の政府と呼ばれる共産党政治局ではその対策が練られる。いかに西側に秘匿の上で穀物を安く買い叩き、それを国民に与えて自分たちの地位を向上できるか。
    だがこの未曾有の危機に乗じての権力闘争も始まった。政治局の13人のメンバーで、長である老ルージンの派閥は7人、資本主義を憎む過激派は6人、ギリギリの均衡だった。

    ウクライナ人を父に持つアンドルー・ドレークは、父の国を蹂躙したロシアを憎んで育った。ウクライナ独立を願い、そのためにロシアに大きな一撃を入れる。それを目標とするドレークは、亡命ウクライナ人に近づき、ロシア入りと要人暗殺を目論む。

    イギリスの秘密情報局(SIS。古くはMI6)のアダム・マンローは、流暢なロシア語を見込まれてモスクワへの赴任を任命される。愛国者だが孤立癖があり上層部への反骨精神を持つマンローには絶対に秘密にしなければいけないことがあった。若い頃にロシア人女性ワレンチーナと愛し合い、不本意ながら別れを決めていたのだ。

    ノルウェー人船乗りのトール・ラーキンは上機嫌だった。所属する海運会社オーナーのベンナーストムから、新しく造船された世界一巨大な船、フレイア号の船長に選ばれたのだ。処女航海ではマスコミを招いての大イベントが行われる。困難な航海を命じられたが、先祖をバイキングに持つ根っからの船乗りのラーキンにとってはやる価値のあることだった。

    モスクワ入りしたアダム・マンローには思わぬ出会いがあった。愛しいワレンチーナが目の前に現れたのだ!しかもソビエト共産党政治局でタイピストをしている彼女は、愛国者であるが故に、大飢饉に際して権力争いに明け暮れる政治家達を憂い、政治局会議の内容のテープを持ち出していたのだ。
    このテープがあれば、西側から穀物提供と引き換えに、東側の軍縮要求を行い、戦争を避けることができる!
    マンローは情報提供者を偽り、イギリス本国に情報を渡す。
    ワレンチーナが持ち出す情報のおかげで東西交渉はうまくいく。しかしワレンチーナの身の安全を心配するマンローは、彼女を亡命させる計画を建てる。

    ロシアへのテロを目論むアンドルー・ドレークは同士を見つけ、要人暗殺計画は着々と進む。
    放たれた弾丸は、一発で政治局長ルージンの側近でKGB議長イワネンコの眉間を貫いた。
    ソビエト共産党政治局ではこの事を一切秘匿する。国のトップが暗殺など漏れてはいけない。だがそれと同時に、ルージン派と反対派との間の派閥争いは激化するばかりだった。
    しかしアンドルー・ドレークの仲間で暗殺実行犯のミーシキンとラザレフは、ハイジャックでの脱出に失敗し、西ドイツに囚われてしまう。自分たちがイワネンコ暗殺犯人だと悟られてはいけない。
    しかし彼らの身柄を巡り水面下での闘争が始まる。
    ロシアのルージンは、二人に暗殺者を送り込む。
    反ルージン派は、身柄を入手しようとする。
    そしてアンドルー・ドレークと仲間たちは、二人の身柄引き渡しのために巨大タンカーをシージャックする。このタンカーこそが、ノルウェー人船長トール・ラーキンの乗るフレイア号だったのだ。

  • 日本での出版は昭和54年。
    まだ、ソビエトがあったころのお話。

    スピード感あり詳細なイメージの湧く満足度の高い読み応えのスパイスリラー。

    北半球のあっちこっちに舞台が移るので、世界地理がいまいちな私はGoogle MAP片手に読みました。おかげで何となくの知識が頭に入りました。
    (もちろんフィクションではあるのだけど)国際政治は、表でこう動き、裏で水面化でこうやって糸を引き合っているのかな、と。

  • まずは序章。後半にかけてストーリーが加速。
    KGB議長の暗殺、タンカージャック。
    高校生の時に夢中になったなー

  • 旧ソ連と米、西欧の大戦の危機をめぐる緊迫した攻防がスリリングで、当時ワクワクしながら読んだ記憶があります。時代は変わり当時ほどのリアル感は薄れました。

  • 「政治家は、友邦であれ潜在的な敵国であれ、いま現在何をやっているのか? そして可能なら何をやろうと意図しているのかを知らなければならない。」

    小説から学ぶ国際政治。

    ストーリー・展開には、もちろん引き込まれる。

  • ソ連とアメリカ、イギリス、そしてまったく関係のないウクライナ人の話が、いったいどうやって最後まとまっていくのだろうか?

  • タンカー爆破か、米ソ開戦か?

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2022年 『ジャッカルの日 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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