騙し屋 (角川文庫 赤 フ 6-13)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537137

感想・レビュー・書評

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  • 時代が変わり、求められるものも変わっていく。

    老兵は死なず、単に消え去るのみ」
    Old soldiers never die, they simply fade away.

    兵士ではなくスパイだが、その言葉を実感させるような作品。モレンツのラストは酷く物悲しいものだったが、彼の人生を終わらせたのは、マグレディの友に向けた優しさだったのかもしれない。

  • ベルリンの壁が崩れ、冷戦が終焉を迎えた時に「これでスパイ小説家は飯の食い上げだな」といった皮肉が囁かれていたのを思い出す。現代エスピオナージュは冷戦構造という舞台があって成立していたからだ。本作「騙し屋」四部作の試みは、"回想"を用いて、あるスパイの過去の活躍を物語にする手法である。英国SISの古参スパイ・マクレディは、東西融和の国際状況を受けて人員整理の対象になる。彼は望まぬ配置転換を拒否し、処遇が妥当かどうかの聴聞会の開廷を希望する。その場で彼の過去の功績が、四つのケースを事例に回想式に語られることになる。

    その第一部は1985年が舞台。マクレディが長年「運営」してきた内通者・ソ連の将官パンクラティンが軍の配置図を入手し、東ドイツを視察する際に手渡したいと連絡してくる。マクレディは面が割れていて東独には入国できない。そこで"ポルターガイスト"なる男を代わりに入国させるが・・・。英国・ソ連・東西両ドイツがそれぞれの思惑でしのぎを削る熾烈な諜報戦。マクレディのしたたかさが冴えわたる。

  • 「フレデリック・フォーサイス」の『騙し屋』を読みました。

    「フレデリック・フォーサイス」の作品を読むのは二十年数年振りだなぁ。
    当時、夢中になって『戦争の犬たち』や『ジャッカルの日』等を読んだことを思い出して、久しぶりに「フレデリック・フォーサイス」作品読んでみる気になりました。

    -----story-------------
    騙し屋とよばれる「サム・マクレディ」は、イギリス秘密情報機関SISのベテラン・エージェント。
    切れ者で世界各地で敵を欺き、多くの成果をあげてきた。
    しかし、冷戦は終結し、共産主義は崩壊した。
    世界情勢は急転したのだ。
    それは、スパイたちに過酷な運命を強いることになった。
    「マクレディ」は引退を勧告された。
    SISの人員整理構想のスケープゴートにされたのだ。
    マクレディは現役に留まるため、聴聞会の開催を要請した…。
    世界の「フレデリック・フォーサイス」が贈る、スパイたちへの鎮魂歌。
    “最後のスパイ小説”四部作第一弾。
    -----------------------

    西側に情報を流していたソ連軍の将官「パンクラティン」がソ連軍の配置図を入手、その受取りのため「マクレディ」は旧知の工作員「ブルーノ・モレンツ(暗号名:ポルターガイスト)」を東ドイツに入国させるが、「モレンツ」は重大な個人的な悩みを抱えており、なんと潜入の直前に殺人を犯してしまい、精神状態が不安定なまま東ドイツへ。

    「マクレディ」、CIA、西ドイツ・東ドイツの警察・情報機関、ソ連KGBの美貌の女少佐「リュドミラ・ワナフスカヤ」等が東ドイツ領内に入った「モレンツ」を追って激しい諜報合戦を繰り広げる。

    「モレンツ」はどうなるのか?

    「パンクラティン」の重要情報は西側に渡るのか??

    登場人物が多く、関連する組織(SIS、MI6、CIA、KGB、BND、AGG等々)も多いので、最初は人物や組織の相関がわかり難かったのですが、読み進むにつれて理解も進み、意外な展開や「マクレディ」の活躍をワクワクしながら読むことができました。

    スパイの活動も格好イイ活躍ばかりではなく、悲哀や悩みも巧く描かれていて、さすが「フレデリック・フォーサイス」って感じでしたね。

    この「マクレディ」モノは四部作でシリーズ化されているらしいので、残りの三篇も読みたいです。

  • 東西冷戦時代のスパイ合戦。
    情報を得る手段として実際に行われていたのでしょう。

    時間が経っても読み応えがありました。
    映像向きかなと思っていたスパイ小説ですが、活字でも十分楽しめます。

  • 三分の一を過ぎたあたりから、物語が収斂し加速していく感じがさすが。

  • まさに最後のスパイ小説である。『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』が自浄的な前時代的スパイの殺害だったのに対して、これは前時代的スパイの自殺だ。それを象徴させられたばっかりに、酷い目に遭ってしまうポルターガイストは不憫としか言い様がない。そして、『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』がミステリなのに対して『騙し屋』はサスペンス。結末はわかっている。ポルターガイストがどうなるかもわかっている。だけど、目が離せない。いや、離してはいけないのだ。彼らはもう死んでしまった。僕にはそれを見ることしかできない。

  • 物語が進むにつれドライブ感が増していく。時代設定が頭に入ってくるまで少し時間がかかるが、冷戦の終結間際のヨーロッパが感じとれる。読み終わるのに時間はさしてかからない、一級品のスパイものでした。

  • マクレディシリーズ

    フォーサイスの中のレベルでは、低調なのかもしれない。
    しかし、それでもフォーサイスはあくまでも、フォーサイスであり、その中で比較論である。

    訳者の篠原氏がマクレディの一人称に「あたし」を使うのには、賛成できない。きっと、読後感にその影響があるのだと思う。

    同じ、マクレディシリーズの「カリブの失楽園」のほうを薦める。

  • 3.5

  • 久々に読んだ海外ものです。
    イギリスの秘密情報機関のベテラン、サム・マクレディが主人公のスパイものです。

    時系列に沿って進んでいくので、ちょっと”24”をイメージしてしまいました。
    が、作品全体としては、昔ながらの’スパイもの’です。

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2022年 『ジャッカルの日 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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