アヴェンジャー 上 (角川文庫 フ 6-24)

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537243

作品紹介・あらすじ

1995年。ボスニアで一人のアメリカ人青年が消息を絶ったことが、全ての始まりだった…。2001年。ベトナム帰還兵のデクスターは、退役後、弁護士をしながら、"アヴェンジャー"というコードネームで「人狩り」の仕事を請け負っていた。今回の依頼は、ボスニアで孫を殺害した犯人を捜してほしい、という財界の大物エドモンドからのもの。そしてこの依頼こそが、世界を"9.11"へ向かわせる引き金だった…。

感想・レビュー・書評

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  • 「フレデリック・フォーサイス」の長篇軍事スリラー作品『アヴェンジャー(原題:Avenger)』を読みました。

    「フレデリック・フォーサイス」作品は、一昨年の9月に読んだ『カリブの失楽園』以来ですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    巨匠「フォーサイス」が渾身の力で描く、戦争に彩られた半世紀

    コードネームは“復讐代理人” 世界中に潜伏する凶悪犯を探し出し、司法に引き渡す「人狩り」を裏稼業とするベトナム帰還兵。
    この「戦争の申し子」が世界を“あの日”へと突き落とす!
    すべては、1995年、ボスニアで一人のアメリカ人青年が殺害されたことから始まった―。
    財界の大物「エドモンド」は、ボスニアへ向かった孫が消息を絶ったと聞かされる。
    行方調査を開始して数年、あるセルビア人に虐殺されたと判明するや、「エドモンド」は第二次世界大戦時の戦友、「ルーカス上院議員」に一本の電話を入れた。
    2001年、弁護士「デクスター」は模型雑誌に、自分への仕事依頼の広告を見つけた。
    ベトナムで最も苛酷な戦闘を潜り抜け、退役後、弁護士として活躍していた「デクスター」は、ある事件を境に、“アヴェンジャー”というコードネームで「人狩り」の裏稼業もやっていた。
    今回の依頼は、ボスニアで孫を殺した犯人を捜してほしい、というものだった・・・・・・。

    〈下〉
    戦争とテロのすべてを描ききった、円熟の軍事スリラー

    すべては9.11へ至る道だった。
    第二次大戦、ベトナム戦争、ユーゴ紛争・・・・・・戦争に彩られた半世紀を網羅し、テロ社会のすべてを描ききった、8年ぶりの軍事スリラー。   幾本もの運命の糸が、よじれ、もつれながら、2001年9月11日に向けて確実に伸びてゆく・・・・・・。
    CIAの極秘チームは、上院議員からの問い合わせにも拘らず、あるセルビア人の所在を入念に秘匿していた。
    アメリカ人青年虐殺の容疑で行方を追われている男だが、作戦遂行のキーマンであるこの男を、その時まで、必ず安全に泳がせなければならない。
    数年かけて網を張った、決して失敗が許されない作戦なのだ・・・・・・。
    そして、「アヴェンジャー」とCIA工作員の命運は、男が隠棲する、南米の地でクロスする―。

    幾本もの運命の糸が、よじれ、もつれながら、2001年9月11日に向けて確実に延びてゆく……。
    -----------------------

    ベトナム戦争の最前線で過酷な戦闘を経験し、その後、弁護士になるものの、娘が殺害された事件をきっかけに復讐代理人を裏家業として生活するようになった「アヴェンジャー」こと「キャルヴィン・デクスター」の物語と、ボスニアでの慈善活動中に行方不明となった(虐殺された)青年「リッキー・コレンソ」の行方を調査し、首謀者「ゾラン・ジリチ」に復讐を果たそうとする祖父「エドモンド」の物語が中心に展開する序盤、、、

    「エドモンド」からの依頼に基づき南米サン・マルティン共和国に潜入し、「ジリチ」を追い詰めようとする「デクスター」と、アルカイダとの交渉に「ジリチ」を利用しようとしていたことから「デクスター」の妨害をしようとするCIAの駆け引きを中心に展開する中盤~終盤… 上下巻で約550ページのボリュームでしたが、愉しくて、意外と早く読み終えてしまいましたね。

     ■プロローグ 殺人
     ■第一部
      1.建設作業員
      2.犠牲者
      3.権力者
      4.兵士
      5.トンネルのネズミ
      6.追跡屋
      7.ボランティア
      8.弁護士
      9.難民
      10.コンピュータ・マニア
      11.殺人者
      12.僧侶
      13.肥溜め
      14.父親
      15.変身
      16.ファイル
     ■第二部
      17.写真
      18.湾岸
      19.対決
      20.自家用ジェット機
      21.原理主義者
      22.岬
      23.声
      24.計画
     ■第三部
      25.ジャングル
      26.トリック
      27.監視
      28.訪問者
      29.侵入
      30.断崖
      31.詭計
      32.拉致
      エピローグ 忠誠
     ■訳者あとがき  篠原慎


    「ジリチ」を守りたい(利用したい)CIAは、サン・マルティン共和国秘密警察のボス「ヘルマン・モレーノ大佐」を利用して「デクスター」の侵入を食い止めようとしますが、、、

    何者かから先に情報を得ていた「デクスター」は、その裏をかき、怪しい人物に成りすましてサン・マルティン共和国へ入国し、偽のパスポートを持っていることを簡単に気付かれ秘密警察に追われる間抜けなスパイ役を演じ、ジャングルの中で死んだと思わせます… 「デクスター」は、秘密警察が油断した隙に別な人物に成りすましてやすやすとサン・マルティン共和国へ侵入。

    そのトリックに気付いたCIAの「ポール・デヴロー」は、「ジリチ」に警戒するよう伝え、部下の「コリン・フレミング」を現地に向かわせますが、その頃、既に「デクスター」は、「ジリチ」のアジトに侵入するための準備を着々と進めていた、、、

    その後の「デクスター」の手際は見事でしたねぇ… 山地と海(絶壁)に挟まれた半島という自然の地の利を生かしたうえに、様々な罠が仕掛けてあり、軍並みの装備を持った警備隊が守る難航不落と思われたアジトに侵入し、逆に幾つかの罠を仕掛けて警備隊を混乱させ、追い詰められた「ジリチ」は自家用ジェット機で逃亡を図ろうとするが、予め自家用ジェット機に潜んでいた「デクスター」は自家用ジェット機をハイジャックして、「エドモンド」の注文通り「ジリチ」をアメリカの司法当局に引き渡すことに成功。


    作戦が成功して、気持ち良く読めましたねぇ… 「デクスター」が弁護士時代に助けて人物が、パスポート偽造やハッキング等で協力して恩返しをすることが成功要因のひとつだし、大きなポイントは「デクスター」に協力的なFBIがCIAの妨害をしたことだと思っていたのですが、、、

    FBIではなく、CIAの彼が陰ながら力になっていたんですねぇ… 序盤に巧く伏線が埋め込んであり、なかなか感動的なエピローグになっていました。

    ネズミの刺青は、ベトナム戦争をともに闘った「デクスター」と、その上官の絆の証、、、

    ベトナム戦争でベトコンを相手に過酷な闘いを続けた二人の絆は、何事にも優先されるんでしょうね… このエンディング、大好きです。




    以下、主な登場人物です。

    「キャルヴィン(キャル)・デクスター」
     弁護士。裏家業として「人狩り」を請負う。コードネーム:アヴェンジャー。
     ベトナム戦争当時、特殊部隊「トンネルのネズミ」に所属、通称:モグラ。
     左の前腕に雌ネズミの刺青がある。

    「アンジェロ・デクスター(マロッツィ)」
     イタリア系アメリカ人。キャル・デクスターの妻。

    「アマンダ・ジェーン・デクスター」
     キャル・デクスターの娘。

    「エミリオ・ゴンザレス」
     アマンダの恋人。実はヒスパニア系暴力団の団員。

    「ネズミ6号」
     特殊部隊「トンネルのネズミ」のキャル・デクスターの上司。通称:アナグマ。
     左の前腕に雌ネズミの刺青がある。

    「リッキー・コレンソ」
     20歳。アメリカ人。ハーバード大生。ボスニアへボランティアに赴く。

    「アニー・コレンソ」
     リッキー・コレンソの母。

    「スティーヴ・エドモンド」
     アニー・コレンソの父。リッキーの祖父。カナダ財界の大立者。

    「ジーン・シール」
     スティーヴ・エドモンドの私設秘書。

    「ピーター・ルーカス」
     米上院議員。スティーヴ・エドモンドの戦友。元OSSに所属。

    「ジョン・スラック」
     リッキーを雇い入れた慈善団体「神のパン」のスタッフ。

    「ファディル・スレイマン」
     ボスニア人。イスラム教徒。
     リッキーを雇い入れた慈善団体のスタッフ。英語がどうにかしゃべれる。

    「グエン・ヴァン・チャン夫婦」
     ベトナム人。夫は元ベトコンの少佐。偽造書類作成の達人。

    「ワシントン・リー」
     18歳、ハッキングで起訴された黒人青年。キャルの尽力で、イースト・リバー銀行に就職。
     32歳、コンピューターソフトのコンサルタント会社社長。

    「ベンヤミン・マデロ」
     ヒスパニア系暴力団のボス。

    「フィル・グレーシー」
     「事故管理社」の通称:追跡屋。SASの元尉官。

    「ドラガン・ストイチ」
     セルビの首都ベオグラードで探偵事務所を経営。警察の元高官。

    「スロボダン・ミロシェヴィチ」
     セルビアの政治家。独裁者。セルビア民族主義を国民に扇動し、利用した。

    「ゾラン・ジリチ」
     セルビア人。ミロシェヴィチに仕える。民兵組織「ゾランの狼」の隊長。
     国を出て、サン・マルティン共和国の要塞に隠れ住んでいる。

    「クラチ」
     旧ユーゴ時代からのジリチのボディガード。

    「ミラン・ラヤク」
     セルビア共和国の法科大学院学生。民兵に所属したため、リッキーの虐殺に加担。

    「シュレチコ・ペトロヴィチ」
     ユーゴ人の駆け出しライター。ゾラン・ジリチの記事を企画。

    「コリン・フレミング」
     FBI副長官。

    「ポール・デヴロー三世」
     CIAテロ対策の指揮官。プロジェクト・ペリグリン担当。

    「ケヴィン・マクブライド」
     CIA捜査官。デヴローの部下。

    「ムニョス大統領」
     サン・マルティン共和国の独裁者。

    「ヘルマン・モレーノ大佐」
     サン・マルティン共和国秘密警察のボス。

    「ファン・レンスベルヒ少佐」
     南アフリカ人。ジリチの要塞の警備隊長。

    「ステパノヴィチ」
     ジリチの自家用ジェット機の操縦士。元ユーゴスラヴィア空軍の戦闘機パイロット。

  • 知らない世界が緻密に描かれて、ハラハラドキドキの展開。特に下巻の後半戦は、どんどん読み進めたくなる気持ちが強くなり、あっという間に読了。

  • フォーサイスの小説を初めて手にしました。映像で見る方が分りやすいかなと思っていたジャンルですが、実際に読んでみると描写が丁寧で場面が目に見えるようでした。
    他の作品も読んで見たいです。

  • 上巻は登場人物の出自が語られている。こういう背景描写が緻密であるから本筋が活きるのだろう。

  • 映画の題名のような書籍名であるが、フォーサイスらしく登場人物の幼児期から描かれているので、当然物語は長くなり本来の作品の趣旨(=と思われますが)は上巻ではあまり進展せずに如何に下巻に続いていくかが楽しみ。

  • 久しぶりのフォーサイス節。まずは、上巻を一気に読み終えた。

  • 筆致が淡白すぎるうえに視点もあっちこっちを行き来するため、小説というよりも映画の脚本のような印象。特定の人物に感情移入して読むことは難しく、ドラマよりもディティールで読ませる小説だと思う。終盤の侵入シーンは読み応えがあるが、そこを除けば読み終えた後なにも印象に残らない。実際、この感想を書くのにもひどく難儀した。

  • 戦争は殺人マシーン製造所。

  • フォーサイスは騙し屋を筆頭に大好きな作家なのだが、これはちょっとらしくなかった。他の作品とは異なって敵アジトへの潜入~奪還までのアクションシーン的なクライマックスで、フォーサイスらしい精密すぎる描写はテンポが悪くなってしまう。残念。

  • ハードカバーが出版されて読んで、あまりにもよかった。
    そして、この最近文庫が発売されてるーーーって
    本屋さんへ行ったら感動し。

    私は読んだ本はまとめていつもブックオフの買い取りに
    来て頂いてるので、読んだ本はもう自宅にはなく(笑)

    文庫本にて、また読みたい気分で。
    最初のはじまりの冒頭部分から、涙が出始め・・・

    早く日本での新しい本出してほしいーーー

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2022年 『ジャッカルの日 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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