わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)

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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042541035

感想・レビュー・書評

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  • 印象に薄い作品でした。
    ルース・レンデルは、推理小説会の選考にかかるよりも
    寧ろですね…日本で言う芥川賞を狙っていたと噂を耳に
    しましたが。

  • 静かな雰囲気の物語に不気味さが漂うサスペンス。とある衝動を抱えながらも平穏に暮らそうとするアーサー・ジョンソン。同じアパートに越してきた若者・アントニー・ジョンソンとの手紙を取り違えたことから歯車が狂いだし、じわじわと破滅へ向かっていくような雰囲気に怖気を感じます。残酷なシーンはあまりないのだけれど、それでも恐怖感は充分。
    しかし。なんだかアーサーには同情を禁じ得ない気がします。自らの性癖を理解して、なんとか抑えようとしてるんだよなあ。なのに意図しないあれやこれやに悩まされ、どんどん追い詰められていくのが気の毒すぎます。あまりにあっけないこの結末も、哀れというほかないかも。

  •  今で言うサイコサスペンスの走りのようなものになるのかな、犯人の心理的なものも書かれていてなかなか読ませる、さすがルース・レンデルだ。

  •  アーサーが自分の殺人願望を満たすためにマネキンの首を絞める場面や、ガイ・フォークスの焚火の場面など、迫真にせまっていてすごかった。人形が焼かれたことでアーサーの精神が崩壊する瞬間はおろおろした。心理学生のアントニーが、あまりにも精神的に健康な人間であるために、アーサーの分かりやすい異常性に気づかないのもおもしろい。
     ただしルース・レンデルさんなので、もうちょっと深い展開を期待してしまった。ラストがやや消化不良。

  • 海外のサスペンス・ミステリー、特に女性作家の作品に溺れた時期があります。ルース・レンデルは、誰もが抱きうる狂気が引き起こす日常の悲劇を、独特な筆致で描いた作家。冷たい闇の味わいに恐怖しつつ、魅せられます。

    私にとってレンデル体験第1作目となった『わが目の悪魔』とは、同名の映画をきっかけに出会いました。『サイコ』でおなじみのアンソニー・パーキンス主演、主人公の秘めた狂気を呼び覚ますことになるイベントのシーンが印象的でした。

    自分が持つ狂気の存在を自覚し、その狂気の表出を抑える‘儀式’を行いながら、普通の生活を守る主人公アーサー。彼が済む共同住宅に越してきた青年が、彼と同名だったという小さな偶然が、彼が必死に守ってきた日常を狂わせ始める。

    少しずつ少しずつ追い詰められていくアーサーの心理は、まるで彫刻の仕上がりをたどるように、徐々に輪郭を伴っていくように描かれる。崩壊に向かうイメージは、悲しみと憐れみに満ちて。傑作です。

  • 懐かしのレンデル。一時はまっていたのにすっかり内容を忘れてしまった。

  • 高校生の時、友人から貸してもらって読んだ本。

    絶対読んでって押し付けるように渡された。
    まだ彼女とは友達になったばかりだし、お互いの趣味もまだ理解しあえてないだろうって思ったし、しかも1冊目から海外の犯罪小説?って。
    読み終えることができるか不安だった。

    最初、努力して読み始めた。
    途中くらいから、あ、ヤバイこれはまるわ…って思って。
    そこからルース・レンデル読みまくりました。

    この本を一冊目に選んだ友人、ほんとにすごい。

  • もっとストーリーに起伏があるのかと思っていたが期待していたほどではなかった。アーサー・ジョンソンが己の基盤から逸脱し、途轍もない恐怖を纏うのかと思えば、そうでもなく、終始劣等感を抱いた小心者だった。

    結末も読者を突き放すように唐突に終わり、カタルシスを得ることがなかった。
    そう、題名の“わが目の悪魔”が誰の心にも巣食っているというのは判るのだが、それが暴走しなかったのが物足りなさの根源か。

  • アーサーが孤独な判で押したような日常生活の中で人知れず行う悦楽の儀式--それはマネキンの首を絞めることだった。だがある日、同姓の若者宛の手紙を誤って開封したことから、すべてが狂いだした!

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