切り裂き魔の森 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042602019

作品紹介・あらすじ

緑の森に囲まれた家、やさしい夫と2人の子供。ホワイト夫人の生活は平穏だった。ある日までは…。町を恐怖に陥れている連続殺人、その発生日に限って夫の帰宅が遅いことに気づくまでは…。被害者はすべて女性、遺体は見るも無惨に切り裂かれているという。彼女が思いだしたのは、高校時代の夫が森の鹿狩りで示した或る異常な行動だった-異色の手法が醸成する比類なきサスペンスの冴え。MWA賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 大工の夫と二人の子供に尽くす平凡な主婦
    ジョーン・ホワイトは、
    住まいの近くで残虐な殺人事件が起きた日に限って
    夫の帰宅が遅かったことに思い至ったが……。

    面倒なこと、恐ろしいことから目を背ける傾向のある、
    他者の痛みに鈍感なジョーンの自己正当化と
    絡み合う過去の記憶。
    彼女は、夫婦が一心同体だというなら、
    夫が犯罪者だった場合、妻も悪人になってしまうと気づき、
    一人の人間としての自由と尊厳を回復しようと
    もがき始める。

    ●●さんの奥さんと呼ばれる生活に甘んじて自己研鑽を怠り、
    社会情勢にも大した関心を持たずに長年過ごしてきた女性が、
    殻を破って新しい生き方を模索しようとする物語――
    なのだが、
    複数の視点が短いスパンで頻繁に入れ替わるので、
    小説としては非常に読みづらかった。
    また、連続殺人犯の残虐さを描出するために
    必要だったのだろうけれども、
    犯人目線の叙述に不自然さを感じた。
    ヒロインが他人の話を聞くなり、
    誰かが綴った文章を読むなりして事態を把握していった方が、
    読者にとっては滑らかに読みやすいだろうと思ってしまった。

    途中に挟まれる犯人目線の地の文が 〈 〉 で
    括られているのも謎(但し、プロローグを除く)。
    ひょっとして、善意の第三者キャラが真犯人で、
    事件はこの人物の創作というメタフィクションなのか?
    と、邪推してしまった。
    いや、個人的にはそっちの方がずっと面白い気がする。
    そんなワケで、ヒロインに感情移入すると
    ハラハラドキドキ感が味わえるものの、
    どんでん返しは起こらず、
    何だか拍子抜けしてしまったのだった。

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