シティ・オヴ・グラス (角川文庫)

制作 : Paul Auster  山本 楡美子  郷原 宏 
  • 角川書店
3.48
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本棚登録 : 535
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042664017

作品紹介・あらすじ

ニューヨーク、深夜。孤独な作家のもとにかかってきた一本の間違い電話がすべての発端だった。作家クィンは探偵と誤解され、仕事を依頼された。クィンは、ほんの好奇心から、探偵になりすますことにした。依頼人に尾行するようにいわれた男を、密かにつける。しかし、事件はなにも起こらないのだが…。アメリカ新世代作家として最も注目される著者の衝撃的デビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公であるクインは自分を自分以外のものになぞられる(なぞれえられていく)。小説の作者、、小説の主人公、Pオースター、ヘンリーダーク、ピーター、ピーターの父親…。いったい個人を規定するものはなんなのだろう。我々は自分が自分であるように思っているが、個人は置き換え可能、別に自分でなくてもOKということなのか。

    聾唖者への募金代わりにもらったペン→言葉は声ではなく文字として重要ということか?

    ピーター・スティルマンが自己の来歴を語る長いセリフは非常に効果的。細かい部分はおかしくないが全体が破綻している。「リング」に出てくる呪いのビデオのような怖さがある。

    4-5ページ:ニューヨークは非在の場所。自己存在の否定。
    13ページ:電話よりメール。なんだか自分みたい。バベルの塔のくだり。重要なんだ
    ろうけど意味がわからない。
    106ページ:バベルの塔が立ち上がってくるところは圧巻。
    Pオースターとのドンキホーテ論議はなにを意味しているのだろうか?
    (本を読みながら気になるところをピックアップしてたがここで力尽きてしまった)

    とにかく非常におもしろかった。『鍵のかかった部屋』を読んだときは「不条理小説」的な印象が強く心底楽しめたかというとちょっと疑問のような気もするが、これは読了後もう一度読み返してしまったぐらい楽しめた。

    「個人」と思われているものが「都市」の中でいかに崩壊して溶けていくかというところがとてもおもしろい。「都市」の中では誰もが置き換え可能な存在ということか。

  • これは”本の雑誌40年の40冊”から。しかし、しまった!”ガラスの街”も所有してるのに、こっちを読んでしまった… 同時に購入した訳じゃないとはいえ、同じタイトルだってことくらい、すぐ分かるよね… たとえ分からんにしても、新潮文庫版のオースター通し番号が"0"になってることには気付いたんだから、そこで分かれよっていう… 将来的に読み直すことがあるとすれば”柴田訳”の方だから、そっちを残しておこうとは思うけど、是非読み直したい!とまでは思わない内容だけに、今回の選択ミスが悔やまれます。ってか、件の”本の雑誌”特集で取り上げられていたのが、こっちの角川版だったんだもの… って内容に関して全く触れていないけど、ミステリかと思いきや意外に何も起こらない、不思議な触感の一品でした。

  • 2009年1月13日~14日。
     再読。
     あれ、こんな話だったっけ……前に読んだ時の記憶がまったくない……。
     ミステリーでも無ければハード・ボイルドでも探偵物でもない。
     自己の喪失物語、になるのかな。
     いくつかの謎が残っているけど、それは必然なんだと思う。
     解決しちゃいけないんだろうと。
     面白かった。

  • NY、作家クィンのもとに一本の間違い電話、探偵と誤解されたクィン、精神病院から戻る父スティルマンの調査依頼、父の監視、赤いノート、『ハンプティ・ダンプティ』、見失い、探偵ポール・オースター…ニューヨーク3部作、「ガラスの街」として柴田元幸翻訳で復刻。

  • 2015/11/18 読了

  • 現在は新潮文庫から柴田元幸さんの新訳で『ガラスの街』として刊行されており、この角川文庫版は絶版である。探しても探しても見つからなくて柴田さんの新訳の文庫が出て購入してから発見。柴田訳も読んだけれど改めて、オースターが初めて日本に紹介されたときの訳で読んでみる。オースターのその後の作品につながるエッセンスが感じられる。『最後の物たちの国で』へとつながりそうな部分だとか。柴田訳以外でオースター作品を読んだのは初めてなのでなんだか新鮮な気分だ。改めて『ガラスの街』も再読してみようかな。

  • オースターのデビュー作は、日本ではミステリ扱いだったようです。
    探偵が謎を追う話だから?

    探偵はいません。
    いるのは依頼人と、探偵に間違われた作家と、探偵に間違われた作家に間違われた作家だけ。
    謎はあるけど、解決はありません。

    常軌を逸した父親から、常軌を逸した育てられ方をしたピーター・スティルマン。
    精神病院に収容された彼の父が釈放されるという。
    父に殺されるのではないかと怯えるピーター・スティルマン。

    父の動向を探ってくれと頼まれた、作家のクィン。
    いや、クィンが頼まれたわけではないのだが。

    深夜、クィンの家の電話がなる。
    「もしもし?ポール・オースターさんをお願いします。」
    連日かかってくる、私立探偵ポール・オースターあての電話。
    クィンはオースターになりすまし、毎日父親を尾行し、行動の意味を探る。

    あとでわかることだが、この作品の中でもポール・オースターは作家であり、私立探偵ではない。
    では、なぜこのような間違い電話がかかってきたのか?

    言語の研究を極めた父親の、行為の意味は?
    ピーター・スティルマンおよび彼の妻は、信頼できる依頼人なのか?

    普通にミステリを読むように読んでいくと混乱します。
    突然人称が変わったかと思うと、話は思わぬ方向へ。
    謎はあるけど、解決への道は辿りません。

    バベルの塔の頃に戻り、人類が一つになれる言語の研究を続けるスティルマンの父。
    本名のダニエル・クィン。ペンネームのウィリアム・ウィルソン。自分が作り出したマックス・ワークというキャラクター(私立探偵)。
    名前を付けることで使い分けられるそれぞれの人格。
    狂気と人格から見る『ドン・キホーテ』論。

    ミステリではないけれど、これはこれで読みどころがいくつもあり楽しめる。

    「日本の書評は、エッセイだ。何をも証明していない。」と、アメリカの大学教授が村上春樹に言ったそうだけど、やはりアメリカでは何かを証明するのが小説の評論というものなのだろう。
    作中人物のポール・オースターが、自身の『ドン・キホーテ』論について説明するセリフ。
    「わたしは何かを証明するつもりではないんですから。実際、遊び半分で書いてるんです。想像的読書論とでもいえばいいかな」

    なんかよくわからないけど、想像的読書論、いいねって思いました。
    私の場合は妄想的読書論かもしれないけど…。

  • 今では信じられないことだが、このオースターの記念すべきデビュー作は、発表当初はミステリーに分類されていた。したがって、日本でも山本楡美子・郷原宏といったいわゆるミステリー翻訳者がこれを訳すことになった。当時は、この作品をどう理解していいかの混乱状況にあったことが分かる。作品は、赤い手帳に記されたクインの手記をメタ・フィクションが包みこむ形式をとっており、全体を覆うのは不条理である。そして、その不条理と混沌とは、タイトルの「ガラスの街」ニューヨークと、またオースター自身に実にふさわしいものなのだった。

  • 大好きな映画「スモーク」の原作者の作品だったことことを後で知る。だが、面白いかどうか、自分にはわかりません。ここで勝負しようという勇気はすごいと思う。

  • ニューヨーク三部作の一つ。
    一本の間違い電話によって探偵と誤解された作家が
    好奇心から任務を引き受け、不条理劇に巻き込まれる。
    後年、柴田元幸氏訳が出たけれども、そちらは未読。
    いつか読まねば。

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