気象予報士〈上〉 (角川文庫)

制作 : Steven Thayer  浅羽 莢子 
  • 角川書店 (1996年4月発売)
3.20
  • (0)
  • (1)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
  • 19人登録
  • 2レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042694014

気象予報士〈上〉 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ●ミネソタ州にあるテレビ局チャンネル7の看板番組<スカイ・ハイ・ニュース>。
    ディクソン・ベルはそれの気象予報士だ。毎日テレビに出演し、視聴者を啓蒙しながら彼が出す予報は決して外れない。州の気象予報課にも読めない天気を彼は読み、予告する。
    ある日、ミネアポリスを襲った巨大な竜巻も、彼だけは予知してのけた。
    <スカイ・ハイ・ニュース>には、彼の他にもベトナム戦争帰りの報道プロデューサー、野心的な美人レポーター、顔で選ばれただけのアンカーその他大勢が働いている。
    一方、女ばかりを襲う連続殺人事件が起きていた。
    季節ごとに一人ずつ殺していく殺人鬼を、人はいつしか<暦殺し>と呼ぶようになる・・・。

    ●いわゆる「ミステリ」を読むつもりで、この作品に目を通すと肩透かしを食うかもしれない。
    確かに殺人が扱われるし、犯人探しも思う存分すればよろしい。「ミステリ」として、成立はしている。
    だが、真に価値があるのは、主役二人の男の心理だ。
    天才的な気象学者であるディクスン。そしてベトナムで火傷を負った事から常に覆面を被った記者リック。
    彼らの心の動きを、作者は過去を引き合いに出しながら、精緻に描写して行く。手酷い傷を負った記憶は、或いはベトナムのものであったり、或いはハイスクール時代の恋であったりもする。歪んだ記憶。
    そして、忘れてはならないのが“季節”と“天気”だ。
    常にどこかに描き込まれている雨や風、雲の高さ、湿度、秋の匂い等々。
    ミネソタの季節の移り変わりを書き込んだこの文章に惹きこまれるか否かが、ポイントの一つではある。特に冒頭の竜巻のシーンは圧巻。
    また、アメリカのテレビニュース業界の内幕や死刑制度復活に関する問題も、おつまみ程度に楽しめる。
    人を選ぶが、ツボにはまれば文句なく面白い作品だと言えるだろう。

  • 未読

全2件中 1 - 2件を表示

スティーヴ・セイヤーの作品

ツイートする