ふりだしに戻る(下) (角川文庫)

  • 角川グループパブリッシング (1991年10月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784042735021

作品紹介・あらすじ

ニューヨーク暮らしにうんざりしていたサイモン・モーリーは、九十年前に投函された青い手紙に秘められた謎を解くため〈過去〉――一八八二年のニューヨークへ旅立つ。鬼才の幻のファンタジー・ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 物語は国家プロジェクトに何故の男から誘われるところから始まり、プロジェクトの消失をもって終わる。
    フィニイは1880年代こそ希望があり世界は素晴らしいと信じ現代(出版時1970年)は希望なく閉塞した時代だと語る。積極的現代の否定と過剰な過去礼賛に満ちている。
    (上)は冒頭の吸引力が素晴らしいが、後半の執拗な1880年の描写は飽きてくる。(下)のメインである火災のアクションシーンは臨場感がある。

    過去へ戻る物語は本書の他「ある日どこかで」「ゲイルズバーグの春を愛す」が既読。結局ノスタルジックな話が好きなのだ。

  • 上巻を読んだときに思ったけど、政府主導の研究、しかも莫大な資金を投入している研究ということは、それなりの見返りが国に対してなされなければならない。
    歴史の真実がわかる程度の成果で、国がお金を出すわけがない。

    だからある程度物語の流れは予想できるとはいえ、難局をどう切り抜けるか。
    「過去」の難局を逃れるための決断。
    「現代」の難局を逃れるための決断。

    しかし、その決断が正しい保証はどこにもない。
    歴史に責任を終える人間など、何処にもいないのだから。

    “ただしかし、ぼくにわかっているのは、どんなに重大な決定でも、皆と同じように何もわかってはいない人間によって行われているということだ。彼らにはわかっているのは自分勝手な理屈の中でだけだ。彼らは、大気を放射能で汚染するのは正義のために必要だと信じている。彼らは科学者の発生学的発見を新たな怖ろしい病気を生みだすのに利用すべきだと信じている。しかも彼らは残り九十九・九パーセントを占めるわれわれの同意を求める必要さえないんだ。”

    これが書かれた時代は、われわれからするとすでに旧き佳き時代になってしまっている。
    けれど、なんとタイムリーな文章であることか。

    旧き佳き時代に想いを馳せることもあるだろうが、今自分が生きている時代を佳いものにするしかないんだよね。
    現実に生きている私たちとしては。

  • ニューヨークの様子をよく知っている人には楽しめるんだと思います。そういうサービスを作者も意図しているんだと思う。

    タイムトラベルにつきものの、過去への介入の賛否の話がここでも出てきます。その解決として主人公に選ばせた方法に・・・フィニイの矜持を感じます。ノスタルジーだけをウリとしない、世界に向き合う姿勢を。一個人としての覚悟を。

    ガルシンの「信号」というお話を思い出しました。

  • 【感想は上巻に掲載】

  •  タイムトラベルSFの名作。下巻。
     十九世紀のニューヨークに首尾よくタイムトラベルできるようになったサイモンは、手紙の謎を追ううちにある災害に巻き込まれ、十九世紀で出会った恋人を守るため捨て身の決断をする。下巻はこのロマンスの行方も気になるところだった。

     サイモンの目を通して見る古き良き時代のニューヨークは、日本人でも思わず郷愁の念にかられそうになるほど、生き生きと人間味あふれた、のどかで魅力的な街として描かれている。アメリカ人が読んだらもっと懐かしく感じるのだろう。
     後半にさしかかったところで、日本のタイムトラベルSFの傑作、広瀬正の『マイナス・ゼロ』をどうしても読み返したくなった。過去は美化されがちだが、同じ郷愁を味わうならやはり生まれた国を描いた作品に軍配が上がる。こればかりは仕方がない。

  • やはり終わりかたがお見事!うならされる。

  • 過去(1880年代)のニューヨークへ降り立った主人公の恋。
    彼は一旦、現代へ戻って諸々の後始末を済ませた後、
    愛する人の待つ過去の街へ戻り、
    最後の「務め」を果たす……。
    上巻は正直、ちょっとダレかけましたが、
    終盤はドキドキしながら一気に読み進められました。
    オチが切ないです(ノ_・。)

  • (2014.1.6)
    ちょうど15年ぶりの再読。独創的なタイムトラベルのアイデアが有名な作品ですが、SFの要素は強くありません。最後の10ページで計画に隠された陰謀(キューバの領土化)が明らかにされてなんとか体裁を整えてありますが、フィニィはほんとに19世紀のニューヨークを描きたいだけだったのでしょう。主人公は過去を変えることを拒否するわけで、それはそれでノスタルジストのフィニィらしい結論。

    それでも文章が読みにくいのでかなり辛かったなぁ。まぁストーリーはほとんどないに等しいので気にすることはないのですが。

    (1999.1.12)
    ノスタルジーSF。地の文が多く、少し読みにくい。「過去」を描きたいから、タイムトラベルという「仕掛け」を使ったのでは。当時の写真を使用しているところが楽しい。

  • 好き嫌いが分かれる作品だと思う。

  • 読んでみて広瀬正の『マイナス・ゼロ』と大きな共通点があることに気づいてびっくりした。こちらの翻訳出版が73年か……。でもたぶん軸足の置き方がちがうんだろうな。こちらと、あちらと。だからフィニイのほうがよりノスタルジックな感覚が強いのだと思う。

  • 町並みの描写がコレでもかというほど続くが
    私には、全く分からない。
    日本の1800年代後半にも置き換えられない。

    タイムトラベルが可能になるまでと
    タイムトラベル直後は少々退屈するが
    物語自体は、たとえば事件の真相や
    過去に干渉せずにどのように話をまとめるのか
    彼女と彼の関係は?とグイグイ引き込まれる。
    ラストのオチもナカナカ。
    よく考えれば残酷で、彼のスタンスをぶち壊しかねない
    これまで避けてきたことへの積極的介入
    (しかし、アノ人の描写を見ればコレも救いと思うべきか)

    ロマンティック・タイムトラベル・ミステリー・ファンタジー

  • 原題:Time and Again
    これも長かった…最後の解説の人も言っているように、現代の下半分が白い小説になれた人間には大変辛かったですよ。
    内容はNYに住む広告イラストレーター・サイモン(サイ)が過去訪問の極秘プロジェクトに参加することとなって1882年のNYへと旅立ち過去で出会ったジュリアと恋に落ちながらも、観察者として過ごし最後にはそのプロジェクトの転がり行く未来への危機を感じてプロジェクト発案者のダンジガー博士の誕生を阻んで過去にとどまる、というもの。
    典型的「帰ってこない物語」。

    何が辛かったって描写が多すぎて…苦しかった。
    確かに詳細な描写は真に迫るものを訴えてくるとは思うんだけどなにぶんNYに全く縁がないからね。NYに関する知識も欠片もないし。
    だから、現代のNY描写と重ね合わせた1880年代のNY描写がさっっっっぱりわからんかった…あーうん悔しいといえば悔しい。

    それはともかく、(おそらく今では)典型的な感じのラストだったからそこに感動は見出せなかったのだけど「青い封筒」に関する謎は確かになるほど!と思った。
    ピカリングがカーモディになりすましてたのとかそこらへんのもってき方はちょっとカタルシス感じた。
    後、1880年代の町とか人の描写は苦痛だったけど面白いといえば面白かった。自分の貧しい知識の中ではどの時代にどんな習俗があったか全くわかんないからパコッとそれがハマってくると、なるほどな、と。

    それからサイとジュリアが惹かれあうのとか、ジュリアが現代にやってくるところは微笑ましい。

  • 続編は読んでないんだけど。

  • もちろん、こちらも。

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