分割された世界の物語が人気である。
TRPGも再び人気を取り戻しつつあるようだ。
ならば、この機に30年来の責任を果たしてはどうか。
この本が刊行された頃だろうか。翻訳小説のたぐいが分冊される傾向が高まったのは。バブルでイケイケだったためか、出版不況が始まっていたということなのか(そんな印象はなかったが)、理由はさだかではない。角川だけではなく、早川もいい商売してくれたと記憶している。
角川書店についてはお家騒動もあり、雑誌は廃刊、連載作品は散逸しよくて改名わるくて消失、翻訳小説は中断という災厄に見舞われたが、売れない作品を切る口実にもなったのではないかとも思う。
売れない作品を作ったのは出版社側であるという思いもある。上中下に分冊された作品があるとして、積み上げているがゆえにあまりおもしろくないのが上中巻で、積み上げたものから面白さがあふれてくるのが下巻だとするならば、分冊されたために読者が減じたといえる。
最後まで刊行するうえでのことなら許しもしよう。
なんにしても、読者が被った損害は全く弁済されておらず、詫びの一言もない。公開された社史にも、渦中にいた当事者の興奮しかなく、読者に対する姿勢は微塵も記されていなかった。
また事件を起こしてどうなるかわからないが、コンテンツビジネスでは大きく成功しているのだから、少しは反省の色を見せるがいい。