悪魔とプリン嬢 (角川文庫)

制作 : 平尾 香  Paulo Coelho  旦 敬介 
  • 角川書店
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本棚登録 : 360
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042750062

作品紹介・あらすじ

「条件さえ整えば、地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす」悪魔にとりつかれた旅人が、山あいの平和な田舎町ヴィスコスを訪れた。この恐るべき考えを試すために。町で最初に旅人と知り合いになったのは、ホテルのバーで働くプリン嬢。田舎町での平凡な毎日にすっかり退屈していた彼女こそ、旅人の計画にどうしても必要な人物だった-。魂の作家が世に問う衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 一週間の間で善悪の戦いを引き受け生まれ変わる異邦人とプリン嬢の物語。村の人たちの心変わりする様があまりにも簡単で怖い。異邦人は答えを見つけられないまま村を出ると言ったけど結局人は本質的に悪で、それを抑えるかどうかにかかってるってことなんだな、というのがそのままメッセージなんだろな。私も恐れがなければもっと悪い人になってる気がする、そう考えると怖くなる。『ベロニカは死ぬことにした』のラストは好きでしたが本作の最後はどうにも腑に落ちないのは、私が現実よりも夢を見ていたい心の表れなのかもしれない。結局金か、と。

  • The Devil and Miss Prym by Paulo Coelho

  • パウロ・コエーリョ作品の中では訳文も比較的読みやすく、世界観も超俗的なスピリチュアル・メッセージを含むものというよりはむしろ限りなく人間の悪という俗世間に近い内容を描き出している。悪とはなにか、を知りたい人はぜひ。

  • "アルケミスト""第五の山"などで知られる著書によるキリシタン文学。

    平和で退屈な山奥の村ヴィスコスにやってきた外国人の旅人。村で唯一の宿で働くバーメイドのシャンタールは好奇心から彼にちょっかいを掛ける。思いもかけず旅人は彼女を誘い出し、彼の財宝と引き換えにある取引きを持ちかける。

    一見善良な田舎の人々。彼らの奥底に眠る善と悪とを掘り起こそうとする旅人。キリシタンの教えが背景に流れ、ふわふわとした読後感です。

    ○人間の本性についてだ。われわれは誘惑に屈する機会を与えられれば、遅かれ早かれ必ず誘惑に屈する、というのが私の発見した真実だ。条件さえ整えば、地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす。

    ○たとえばではなく、実に明確なことだ。ー『汝、殺すべからず』の戒めを犯してほしいのだ。君が今聞いたとおりのことだ。彼らに犯罪を犯してほしいんだ。期限は一週間だ。七日後までに町の誰かが死体となって現れたらーもう働けない老人であってもいいし、不治の病人でも、手がかかる心身障害者でも、被害者は誰でもいいー、この金は住民のものになり、私はわれわれすべてが悪なのだと結論を出せる。

    ○思いやりのある人間という役割を演じるのは、人生において決然とした態度をとるのを恐れている人たちのやることなのだ。自分が善人だと信じておくほうが、他の人に立ち向かって自分の権利のために戦うよりもいつでもずっと簡単なことなのだ。侮辱されてやり返さないでおくほうが、自分よりも強い相手と戦う勇気を発揮するよりも、いつでも簡単なのだ。

  •  コエーリョの作品は今まで、『ピエドラ川~』と『ベロニカ~』の2作品だけ読んでいる。この『悪魔とプリン嬢』は自分にとっては3作目だった。端書を読むと作者自身が、この3作は「1週間で人の人生は変わることができる」という内容を扱った3部作であるという。特別読み始めの3作に恣意的なものはなく、3冊とも別々に購入したものだったが、ブックオフで100円で売られていたという理由で選んだことにも、小さな導きがあったと思うとことにする。

     確かに、人生における一週間という短い断片について語られた作品群であり、人生の転換が様々な形で描かれている。私がコエーリョを心地よく感じるのは、カトリックの信仰が根底に流れているからである、それが保守的に描かれるのではなく、詩的かつ前衛的にとらえられながらも、人間の善を肯定しようという意志と人生観がにじんでいるからだと思う。3作目にして気づいたことである。
     この作品は前の2作よりも構成はシンプルであり、メッセージもシンプルである。テーマは『悪』である。どんな良心的な人間であっても、環境さえそろってしまえばたやすく悪を行う、というテーマが前面に押し出されている。主人公のプリン嬢と片田舎の住人に突き付けられた天秤。未来を保証してくれる金銭と一人の命。無思慮で保守的な住人達は、自分の身を善におくように言い訳をしながら金を得ようと命の灯を吹き消そうとするが、プリン嬢がその天秤自体を壊してしまう。
     プリン嬢はどこまでも現実的な内容をつきつけ天秤を壊していくところがミソ。住人たちの良心に訴えかけ、人間の本性は悪ではなく善であるということを悪魔に知らしめることもできなくはなかったかもしれない。けれどあえてそれをしなかった。しかしそれは結果的に最善だったであろう。良心に従い、周りの意見に流され金をあきらめたのであれば後々様々な臆見によってのいさかいが起こるであろう。しかし、現実的な問題で天秤を壊してしまうこと、金銭をどちらにしても手に入れることはできないんだ、ということを理解させたことで、故郷までも守った、守ることが本質的に正しかったかは別として、それを一人でなしたプリン嬢の勇敢が悪魔を退けた。
     ハッピーエンドとは言えないが、現実においての知恵と勇気と強さを学んだ。面白かった。

    14.11.11

  • 目先の価値と本質的な価値を混同してしまうと自分を見失ってしまう。すっごく魅力的な外側は大事なものを忘れさせてくれるね。

  • たしか、教訓っぽい話だったような。
    読み返してみようかな⁈

  • 時々いい言葉がある。
    ただコエーリョの中でもっとほかにしっくりくるものがあるのであまり印象に残らない。

    人が善の価値を理解するには悪が姿をあらわす必要がある。

    全ては抑えるかどうかにかかっていた。そして何を選ぶかに。問題はそれだけだった。

  • キリスト教的価値観みたいなのがテーマの軸に据えられていると、
    関係ないものとしてはちょっと乗りきれないとこありますね。


    それでも、もう一冊ほかの著作を読んでみたいと思わせる程度には魅力的でした。

  • この小説で異邦人がやろうとした善悪実験はまあいいとして、その実験を成立させるための緻密な状況設定が全然描けていないと思う。町は世界から隔絶しているわけでないし、住民は別に正直者ではない。その結果、何でもありのストーリー展開になってしまっていて、主題が理解できなかった。

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プロフィール

1947年ブラジル生まれ。世界中を旅しながら執筆活動を続ける。主な作品に『アルケミスト』『ベロニカは死ぬことにした』

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