愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫 レ 6-4)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042791041

作品紹介・あらすじ

もはやボストンのこの界隈に、幼く無垢で無防備なものたちの居場所は無い。ここは崩壊した家族、悪徳警官、詐欺師、そして、夜毎テレビで誘拐された自分の娘について報じるニュースを観るアル中の母親が住む場所だ。少女が消えて80時間が経過し、捜査依頼を拒み続けていた私立探偵パトリックとアンジーは遂に動き出す。しかしこの少女の捜索は、2人の愛、精神、そして生命までもを失う危険を孕んでいた-。現代最高のディテクティブ・ノヴェル、シリーズ最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 誰が犯人かを考えながら読むのがミステリの醍醐味。今回も大体は想像しながら読み進んだが、遥かに上回る捻った内容の描写に、ついていくのがやっとの思いで読み終えた。最後はめちゃ哀しかった。家族もアンジー派で今回ばかりはケンジーに納得できなかった。

  • ハードボイルド!以前「ミレニアム」を貸してくれたプール仲間のおばさまにまた借りたんだけど、いやー面白かった。テーマは重いけど。
    8才の少年が誘拐され強姦されて殺されちゃうアメリカ、そんな国で正義を守る警官達、苦悩する私立探偵のカップル、やるせない結末。読みごたえあり。

  • パトリックとアンジーのシリーズ4作目。

    それは。
    アンジーは出ていくだろう。

    誘拐された女の子の捜索を引き受けてしまうパトリックとアンジー。
    事件担当の刑事たちとドラッグがらみの金を見つけるが、
    女の子との交換に失敗してしまう。
    ブッパの武器取引に同行し、
    子供を虐待し殺している犯罪者たちをみつけ、
    刑事と共に追い詰めるが女の子は見つからない。
    さらに、酔って刑事が口を滑らせたことから、
    司法省がのりだしてくる事態に。
    女の子は殺されたのか、誘拐事件の真実は。

    パトリック達が女の子の伯父とバーで話しているところへ、
    強盗が入るシーンは圧巻。
    映画かドラマを見ているかのような迫力と劇的な展開で、
    終わりの始まりとして最高だ。

    そして、終わりの終わり、アンジーの怒りと失望は、
    誰もが共感するだろう。
    探偵は警察ではない。
    だから、非合法的な結末を迎えることもよくあるし、
    読者はそれを期待している。
    だから。

  • デニス・レヘインだから覚悟はしていたけど、なんと後味の悪い、歯を食いしばるような気持ちで終わらせられるラスト。
    ミステリーとしては、そうだったのか!という衝撃のある、とても良いストーリー。
    辛さも悲しさもしっかりと盛り込んで、読ませられるだけに、ラストに正面きって文句がつけられず、それがまたたまらかなく悲しい。
    アンジーとパトリックのシリーズの最終巻が、この後が描かれた本だそうなので、ぜひ読みたいのだけど、絶版で手に入れるのが大変......いつか図書館なりで読める日が来ると良いのだが。

  • あまりに感想がこそばゆかったので書き直す。

    二作目の『闇よ、我が手を取りたまえ』と双璧をなす傑作でありながら、2作目が深く暗い闇との対決なら、今回は正義同士のぶつかり合いという異色作。それ故にパトリックとアンジーの間でも意見は食い違い深い対立を生んでいく

    法にのっとるのが正義か、それとも善を為すのが良いのか、殺されてもいいもの、軽んじられてもよいものは存在するのか。読後も深く心に問いかけてくる重い一冊だ。

  • パトリック&アンジーもの第4作。今作は明らかにこれまでと趣が違った作品。今まで二人が対峙する悪は、絶対的で同情の余地などほとんどなかった。今回登場する悪人はそうは言い切れず、明らかに誰が見ても正しい行為という分かりやすい話にはならない。結末でもパトリックとアンジー二人の意見は決裂する。
    だが明白に作者が表しているのは、この社会に置かれた子供たちの状況への怒りだ。性犯罪の対象にされたりネグレクトされたりする子供たちが大勢いるのに、効果的な対処が何もなされず被害者は増え続ける。誰もが問題だと分かっているのにどうしてよいか分からない。そんな問題を作者は容赦なく読者に突き付けている。
    シリーズでははこれまでも人種問題や格差社会の苛烈さ、暴力に支配されてしまうこと等、常に考えさせられる問題を提起している。抜群に面白いエンタメ作品に留まらずにこういった問題提起をしてくれるところも、このシリーズが人気がある一要因だと思う。

  • パトリック&アンジーシリーズ四作目。今まで読んできた4作の中で中盤までは今までで一番読みにくかった。色々な人が出てくるので名前が覚えられなかった。ただ、中盤以降は一気読みだったが、かなり後味の悪い終わり方だった。

  • パトリック&アンジーシリーズ第4弾。
    今回ふたりのもとにやってきた依頼は、いなくなった子供を捜して欲しいというものだった。それはニュースでも散々報道されている事件だった。警察がそれだけ力を入れている事件に、自分たちが入ったとしても大したことはできない、金のムダになるだけだ、とふたりは断ろうとする。
    だが、行方不明になったアマンダの伯母(彼女の夫の妹がアマンダの母、ヘリーンだ)の必死の頼みで、ふたりは引き受けることにする。

    アマンダという4歳の少女を捜すことになるパトリックとアンジーは、捜査班の刑事、プールとブルサードと一緒に捜査を開始する。

    そこから、ボストンを仕切るマフィアたちの勢力争いと麻薬取引などに話が発展していき、身代金を受け渡しに行くシーンがクライマックス。


    ……かと思いきや、そこからまた物語は急展開する。
    そしてラストで判明するこの事件の真相は、何が正義で何が悪なのかを登場人物や読者に突きつける。

    絶望的に救いのないラストシーン。
    重く暗い物語に派手な銃撃戦の連続。その派手さが逆に物語を暗くさせていくという、不思議な効果を持っている。

    発表された当時、大統領が夏のバカンスへ持っていく一冊として選ばれたという作品。
    それほど、アメリカでは幼児誘拐や虐待が問題視されているということなのだろうか。

  • およそ半分の280pあたりでキブアップ。
    レビュー、高評価にてはじめて読んでみましたが、
    この「中途半端エセハードボルド」についていけませんでした。
    好みの問題ですが、
    登場人物たちの「アメリカンジョーク」も、毎度毎度過ぎて辟易しましたー

  • 行方不明になった少女の捜索を依頼されたパトリックとアンジー。事件は麻薬密売組織の内部抗争がらみかと思われたが…。

    いやー、重かった。二転三転する展開にいつもの軽口と共に立ち向かっていくパトリックとアンジーなのだけど、今回は二人の立場に決定的な溝ができてしまう。
    様々な事件が終盤に向かって動いていく中で、その場面を決定的に見せるためであるかのように挟まれる小さなエピソード。
    そして「Gone,Baby、Gone」と言う原題が持ついくつもの意味。
    本当に重い。
    レヘインは過去に出てきたキャラクターを、今生きているキャラクターを成す一部分としていつまでも大切にしてくれているのがいい。

    しかしこの終わり方。自分だったらアンジーの考えになるのか、パトリックのそれになるのか、読み終わったあとで考え込んでしまったよ。

  • せつない。せつなすぎる。号泣ものの傑作。

  • テーマやらオチやら、やられました。良いですね。

  • ベン・アフレックが映画化を進めているとかいう話を以前聞いた気がするんですが、今どういう進捗状況なんですかね。
    しかし、よりによってベン・アフレックかぁ…。

  • レヘインのシリーズ
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