ムーンライト・マイル (角川文庫 レ 6-6)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042791065
感想・レビュー・書評
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最高のシリーズの、最高のフィナーレ。パトリックとアンジー、ブッバ、デヴィンとオスカー、リッチー、そしてギャビー。全ての愛すべき登場人物達に祝福を。
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パトリック&アンジーシリーズ最終巻。遂に終わってしまった。これで、ブッバにも会えなくなってしまう、残念。 愛しきものはすべて去りゆくの続編のような立ち位置だが、かなりその作品の後味が悪すぎたので、その後を書いたことであの事件の決着がつきすっきりした。ある意味まとめ巻なので、大きなスペクタクルもない。シリーズのファンのために書いたおまけのようなもの。
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パトリック&アンジーシリーズの最終作。
前作から10年以上を経ての復活だが、今は夫婦となった二人が探偵業に見切りを付けたところで、やるせなき暴力に満ちた物語は終わりを告げる。
すっかり良き父と母になり、物事に対する二人の視点と行動は、家族を基点にせざるを得ず、より危険な賭けにでることに躊躇し、探偵という稼業を忌み嫌うこととなる。
これも人間としての成長なのであろうが、
ハードボイルドは暴力と対峙し、いかにそれを乗り越えて終結させるかに魅力があるはずだから、愛する者のために平凡な仕事へと鞍替えする主人公を責めることはできないが、やはり物足りなさを感じてしまう。 -
12年ぶりのシリーズ続編かつ最終作とのことで、作品内でも12年の時が経っており、それから考えると順当で正しいが、前作、前々作の荒々しさ、焦燥感はだいぶ薄まっている。あの何とも言えない不穏な感じが好きだとすると、本作はやや淡白な印象だろう。
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一冊の本を読むのにどれだけ日数がかかっているのだろう。プライベート・タイムが極度に少なくなった生活の中で、こと読書に関しては恵まれず、苦慮している。だからこそ選んで読む。デニス・レヘインのハードボイルド・シリーズについては知っていたが、これがシリーズ作品であるという予備知識は身につけぬままに読み始めてしまった。だけれど、ソロ作品として十分に手ごたえのあるストーリーであり、あとがきでも読まない限り、別にシリーズであろうがそうでなかろうが、この長編作品を楽しむことができるのだと思う。
探偵生活にけりをつけたいと考える主人公は、西部に行き場を失ったワイルド・バンチの一員のように、初老で、切ない。愛する家族とのオシドリぶりや、可愛い娘への父親ならではの愛情の向け方。それらに比例して、引きずってきた罪深き仕事にけりをつけたいために、飛び込んでゆかざるを得ない血と暴力の世界。
現代アメリカの行き場を失った私立探偵の足がここにきてさまよいがちになる。それもそうである。これはシリーズにピリオドを打つ重要な作品であったらしいのだ。なのに、そんなことも知らず、バーのカウンターから酒瓶に向けて指先で豆粒をはじくようにじりじりとゆっくりと読み継いできた。間を開けても作品世界は記憶を失わせることはなかった。強烈な作品世界は、いつでも時に立ち寄るだけのぼくを受け入れ、テキーラかなにかのストロングな酒を一杯だけ用意してくれたりした。
今では当たり前になったきらいのある幼児虐待の問題をさらに深く掘り下げ、虐待される幼児が自己防衛し、賢くなり、知恵を身に着け、家族から逃亡する姿が、探偵の目に様々な意味を投影する。現代アメリカばかりではなく、日本でも凄惨なDVが起こっている。つい二日ばかり前には滝行で娘を溺死させた親の事件が大々的に取り上げられたばかり。そんな病んだ現代に、狂った解決法をもちこんでゆくのは探偵ではなく、ロシアンマフィアの暗闘の引き金だ。
久々に読み終えた、中身たっぷりの、いわゆる「らしい」小説。ハードボイルド・ファンならためらわずにこの一冊を手に取っていただきたい。そんな傑作である。 -
★粗筋★
パトリック&アンジーの最終話シリーズ。行方不明の少女を探してほしいと依頼を受けたパトリック。その少女は、かつて一度誘拐誘拐された犯人から救ったことがあるアマンダだった。
パトリックに救出されたことを憎むアマンダの心の闇には何があるのか?何故なのか?
今回で最終話というのが残念すぎる。比較的最近に出された本みたいで、レッドソックスのベケットとかスマートフォンとかの話題をリアルタイムに感じれてよかった。
著者はシャッターアイランドも書いてるようで、残りのパトリックシリーズ終わったら読む予定。
デニス・レヘインは人を上手にシリアスに描くね。