犬の力 上 (角川文庫)

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レビュー : 149
  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042823049

作品紹介・あらすじ

メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアら様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める-。

感想・レビュー・書評

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  • メキシコの麻薬戦争、取締官とマフィア、それぞれの人物と戦いが細かく書かれている。
    が、激長なうえにどうも外国書籍は文章が読みにくい、翻訳者の腕前次第なんだろう。
    あと、現実もそうなのだろうが、子供が巻き込まれて死ぬのがきつい。

  • メキシコを主な舞台とした、麻薬カルテルの首魁とアメリカの麻薬捜査官の死闘。

    犬は出て来ないのである。
    「犬の力」というのは聖書にある言葉だそうで、邪悪な心というかフォースの暗黒面というか、そういう意味であるらしい。

    迫真のストーリー。手に汗握る展開。結末の妙味。確かに傑作で、読んで損がないというのは間違いない。一体何人死ぬんだというくらい、いささか血なまぐいのは気になるけれど。

    しかし、警察の協力(!)を得て前のボスを殺し、首魁にのし上がっていくさまや(警察・公安・果ては大統領まで巻き込む買収と裏切り)、そもそも麻薬が儲かるのは(アメリカ等の)市民がそれを求めているからという身も蓋もない本質(だからこそ、頭をひとつ潰してもまた新たな頭と組織が自然に現れるわけだ)、シーソーのように繰り返す復讐の連鎖などなど、ここで描かれているいちいちが、人間の業というか、出口のなさというかをあからさまに示している。

    その、小説がえぐり出したものの恐ろしさよ。

    続編(「ザ・カルテル」)も読むつもり。

  • ここまで麻薬犯罪物に真正面からぶつかって書き上げた著者に拍手。人種も国も関係ない人間が産んだ歪のあるシステムと動物の本能に振り回される悲哀をドラックとセックスとバイオレンスを通して描く。
    様々な登場人物たちは、すれ違い、どこかで繋がっていく。登場人物たちがまさにぎりぎりのところで息継ぎをしながら、自らを、もしくは誰かを犠牲にしもがき続ける。
    真実と虚構の混合比率の絶妙さと表現は過去形と現在形のミックスにより、読者は自然にこの世界に入り込み、登場人物たちの横であたかもその場面に直面しているような錯覚に陥り、読み出したら最後、一気に下巻へ突入する。こんな読み応えのある本に出合えたことに感謝。

  • 最初に言っておくとすれば「ゼッタイに読むべきだ!」。まず原題の『The Power of The Dog』を『犬の力』と直訳したことに敬意を払いたい。内容はアメリカン・バイオレンスの王道たる「麻薬・金・暴力・セックス」だが、そこに国際麻薬シンジケートだったり、アメリカの対外政策などが複雑に絡み合い、混沌とか不条理とか運命とか、克明に描かれる。ドン・ウィンズロウ初体験だが、筆力はハンパない。客観的描写命。会話に情緒を委ねないところがすばらしく、英語で目を通してみたくなる(たぶんさっぱり分からんと思うけど)。この物語の鍵となっているのが、アメリカとメキシコの国境地帯の状況だろう。メキシコ人たちは国境を違法に行き来し、どちらの国にもアイデンティティーを持たない(あるいは持っている)「チカーノ」と呼ばれるカテゴリーを形成している(今福龍太『荒野のロマネスク』)。本書の登場人物たちもアメリカとメキシコのハーフだったり、アメリカ人とメキシコ人が結婚していたりと、「チカーノ」として生きることを余儀なくされている。物語はメキシコの麻薬シンジケートに関わる抗争から幕を開けるのだが、東海岸からコロンビアまでスケール広く展開される。そして、登場人物たちは当初、「揃ってなにも持っていない」のだ。様々な群像が描かれるので、冒険ロマンとしても楽しめる。そして、「武装勢力」との闘い。アクション映画で描かれる激しい戦闘はどこか遠い話だったが、2013年1月のアルジェリアでの事件を見るともはやそれがグローバル社会では現実として十分ありえる、と覚悟せざるを得ないと思う。主人のいない「犬たち」は原罪を背負いながらなにを見ようとするのか。面白い!

  • 昨年読んだ『世紀の空売り』がとってもよかったので、
     訳者の東江一紀が訳している本を、ということで
     行き着いたのが、この『犬の力』(ドン・ウィンズロウ)です。

     見たことも聞いたこともなくて、
     30年に渡る壮絶な麻薬戦争を取材した"ドキュメンタリー"
     と思って、読み始めたのですが、この本、
     海外編ゼロ年代ベスト・ミステリの第2位で
     有名なのですね。


    ◇元々、私はミステリ好きだったのですが、
     最近は、年1~2冊読むのですが、
     何か物足りなくてガッカリということばかりでした。

     でも、この本は違いました。

     圧倒されます。
     この凄味は一体、何なんでしょう!
     息が詰まり、疲れました。


    ◇私が読書に目覚めてから、
     ミステリと言われる分野で、
     はじめて満足いく1冊でした。

     こういうのを読んでしまうと、他がますます物足りなく
     感じるのでしょうねー、、


    ※暴力的シーンのことを言ってるわけではないです、念のため。

     内容的には「爽快」というものとはほど遠いですねー

     訳者あとがきの第一声に
     「ウィンズロウが怒っている」とある通りです。

     「ここに噴出している怒りは、マグマ、
      あるいは"怒"石流とでも呼びたくなるような原初の
      かつ破格の熱エネルギーをたたえている」
     とあるように、全編を通じているのは、作者の怒りなのでしょうね。

  • 濃密。そして暴力的。しかし,惹き込まれる。分量は多いがあっという間に下巻へ。

  • 数十年に渡る麻薬戦争。利権がある場所には、その利鞘を求めて人々が集まる。所謂正義感を持ち続ける捜査員、GANGSTA、腐敗した官憲などのお馴染みの登場人物ばかりで、目新しさは皆無だが、調べ尽くした(おそらく)史実や、登場人物たちの事件へのアプローチの描写が上手く引き込まれてしまう。永年私立探偵を生業としている筆者のため、報告書を読まされているような退屈さもあるが、刺激的なストーリーがそれを凌駕して有り余る。どのように下巻で収束していくか楽しみな前半部分でした。

    ~下巻へ続きます

  • 1

  • 薦められて読んだ初ウィンズロウ。この作品を読んでから新刊は必ず手にするようになった大好きな作家さんに。

  • メキシコ麻薬組織との戦いを描いた本作は僕の知っている作者のこれまでの作品とは全く異なる作風だが素晴らしい読み応えがある。
    「高く孤独な道を行け」のようなユーモア溢れるものも好きだがこれはこれで読みだしたら止まらない魅力がある。

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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