犬の力 (上) (角川文庫)

  • 角川書店 (2009年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784042823049

作品紹介・あらすじ

血みどろの麻薬戦争に巻き込まれた、DEAの捜査官、ドラッグの密売人、コールガール、殺し屋、そして司祭。戦火は南米のジャングルからカリフォルニアとメキシコの国境へと達し、地獄絵図を描く。

感想・レビュー・書評

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  • ドン•ウィンズロウ著「犬の力」
    2010年度このミス海外部門第1位作品。
    「犬の力」「ザ•カルテル」「ザ•ボーダー」と三部作で構成される長編小説。

    感想は下巻を読み終えてから一括して書きたいと思う。
    上巻を読み終えてみて、登場人物の多さと横文字の名前に結構苦戦している。そもそも翻訳本なので実際の文章なのか?翻訳者がわざとそうしているのか?わからないが独特の筆法で最初の方はかなり読みずらかった。
    150頁越えた辺りからやっと慣れてきてスラスラと読める様になったが最初は読み進めるのにかなり手こずる始末だった。

    麻薬ビジネス、マフィア、ブラックマーケットにそこまでの知識を持っていない為、読んでいきながら知識を入れていくのにも一苦労だったが、作品は面白く物語にはかなりエンターテイメント感を感じられる。

    時間はかかりそうだが三部作全部読んでみようと思っている。

    • ひまわりめろんさん
      こんばんは

      『犬の力』おもしろいですよね!
      訳文なんですが、今作の訳者東江一紀さんは翻訳界の大御所中の大御所なんですが、『犬の力』の翻訳の...
      こんばんは

      『犬の力』おもしろいですよね!
      訳文なんですが、今作の訳者東江一紀さんは翻訳界の大御所中の大御所なんですが、『犬の力』の翻訳の後お亡くなりになってしまったんですね
      で次作の『ザ・カルテル』は東江さんのお弟子さんの峯村利哉さんが翻訳されてるんです
      違う方が訳していますが、なんとなく訳文の雰囲気は似てるんですね
      でもこれは師弟だからってことなのかもしれません
      ただ最終作『ザ・ボーダー』の田口俊樹さん訳も同じような感じなので、これはドン・ウィンズロウがそういう感じなのかな?って自分は思ってます
      まぁ原文にあたったわけではないので想像ですが

      三部作の全て訳者が違うってのはあまり聞かないので、その辺も意識しながら読んでみるとまた違った楽しみ方ができるかもです
      2024/12/19
    • NSFMさん
      ひまわりめろんさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。

      翻訳者さん達の経緯面白いですね、勉強になります。確かに三部作で各々翻訳...
      ひまわりめろんさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。

      翻訳者さん達の経緯面白いですね、勉強になります。確かに三部作で各々翻訳者が違うっていうのもこのシリーズの一つの魅力ですね。今まだ下巻の最初の方なので読了後「ザ•カルテル」にて相違点に気付ければと思います。
      この作品、物語が面白く今はストーリーばかり追っかけて読んでいます。
      2024/12/20
  • ちょっと悪趣味かもしれないけどメキシコ旅行に持って行った、ラテンアメリカの麻薬戦争を巡る物語。
    不屈の麻薬捜査官、麻薬カルテルのドンである”叔父貴”、その甥のバレーラ兄弟、高級娼婦のノーラ、殺し屋カランの運命が交錯し始めてから、加速度的に面白くなってくる。

  • もっすごい腹たつわ〜

    たまにちらほら見かけてたんですが、今回は上下巻ともにけっこうひどいことになってました

    落書きが!!

    図書館の本に落書きする奴まっっっっっっぢで信じられない
    控えめに言って吐き気します

    何なんでしょうね
    誤字にこれみよがしに○してみたり、久しぶりに出てきた名前にチェックいれたり、重要なところに線引いたり、括弧でくくったり
    なんでそんなことするのかなぁ?
    図書館の本ですよ(寄贈とかでもない)
    だいたいなんで鉛筆持って(図書館の)本を読むのかな?
    本当に許せない
    何か落書きした人3ヶ月資格停止とか罰則もうけてほしいわ〜
    そういうのってきっと小さい頃益子のおばちゃんに出会ってないのが原因だと思うんですよね

    自分と益子のおばちゃんとの出会いは小学校4年生のときでした…

    同じ市内ですが引っ越しをして市立図書館が通学路の途中になってからほぼ毎日学校帰りに寄ってたんですね
    学校の図書館の児童書には既に満足出来なくなってたってのもあるんですが
    一番大きな理由はそこに司書として益子のおばちゃんいたからなんです(同級生のお母さんでもあった)

    益子のおばちゃんは本をたくさん読むとめちゃめちゃ褒めてくれたんですよね
    あと益子のおばちゃんが薦めてくれた本は凄いちょうど良かったんです難易度的にも
    当時益子のおばちゃんの薦めで読書ノートをつけててちょっとした感想文とかも物凄い褒めてくれたしこれ読んだら次はこれいいよとか、これが気に入ったんならこっちはどう?とかね

    物凄い優しくて、とにかくもう褒めまくってくれた人だったんですが図書館で騒ぐとわりとしっかり目に怒られたし、図書館の本を大切に扱わないような子はまじ出禁になりました(ちゃんと反省すれば許してくれる)

    益子塾の門下生はおばちゃんに怒られながらそして褒められながら図書館のマナー、社会のマナーを身に付けていったような気がするんです

    図書館の本に落書きする人はきっと人生において益子のおばちゃんに出会ってない人なんだろうと思う
    思うけど…そんなん言い訳になるかぁ!

    とりあえず謝れ
    益子のおばちゃんに謝れ
    ちゃんと反省すれば益子のおばちゃんは笑って許してくれますよ!

    わしは許さんけどな!w

    またもや内容に一切触れずに下巻へGo!

    • ひまわりめろんさん
      なおなおさん
      みんみんさん
      こんばんは!

      なんかお二人ともスッキリしてくれたようで良かったですw

      んでもその怒りは本を愛するがゆえのこと...
      なおなおさん
      みんみんさん
      こんばんは!

      なんかお二人ともスッキリしてくれたようで良かったですw

      んでもその怒りは本を愛するがゆえのことだと思いますのでずっと持ち続けていましょうね
      自分もたまに本読みながらのお菓子の誘惑に負けそうになるんですが怒りを力に変えてぐっと我慢してますw

      そしてそんな本を愛するお二人に益子流免許皆伝を授与します!w
      2022/05/19
    • hiromida2さん
      ひまわりめろんさん、おはようございます。

      ものすご〜ぉく分かります!
      分かり過ぎて…共感しまくったσ^_^;
      (本の感想の共感でなくすみま...
      ひまわりめろんさん、おはようございます。

      ものすご〜ぉく分かります!
      分かり過ぎて…共感しまくったσ^_^;
      (本の感想の共感でなくすみません)
      ブクログの皆さんは図書館派の方が多く
      羨ましいと思ってたのですが…
      そんな腹立つことが( *`ω´)
      益子のおばちゃんに謝れ!マジで!
      私の近所の図書館は、ホントに本が
      汚すぎて、集中出来なくて
      折角近いのに、もう借りに行く気すらなくなってしまった。そこになくて予約した時は
      大きな図書館からくる本は綺麗だけど、
      ひまわりめろんさんのように読むのが
      早くないので…仕方なく中古本の状態良い本
      買ってます( ; ; )
      公共のものなのに、次の人のこと考えて!
      と思う気持ちと本を大切に扱わない気持ち
      理解出来ません。
      本を読む時にお菓子を食べるなんて
      もってのほか!食わずしてただ読む
      それが読書の流儀だ!ナンチテ(^^;;
      本を粗末にするものにはスッキリ出来ないけど…このコメント欄で少しスッキリした気分になれました。 ありがとうございます♪


      2022/05/25
    • ひまわりめろんさん
      hiromida2さん
      こんにちは!

      お、ここにもスッキリさんがw
      もうスッキリお届け人呼んでくださっても結構ですよ

      最近はお菓子は本を...
      hiromida2さん
      こんにちは!

      お、ここにもスッキリさんがw
      もうスッキリお届け人呼んでくださっても結構ですよ

      最近はお菓子は本を読む前に一気食いして、手を洗ってから読むようにしてるスッキリお届け人です

      そして益子のおばちゃんはみんなの心の中にいる!ビシィッ!
      (いや実在の人物です)
      2022/05/25
  • 最初に言っておくとすれば「ゼッタイに読むべきだ!」。まず原題の『The Power of The Dog』を『犬の力』と直訳したことに敬意を払いたい。内容はアメリカン・バイオレンスの王道たる「麻薬・金・暴力・セックス」だが、そこに国際麻薬シンジケートだったり、アメリカの対外政策などが複雑に絡み合い、混沌とか不条理とか運命とか、克明に描かれる。ドン・ウィンズロウ初体験だが、筆力はハンパない。客観的描写命。会話に情緒を委ねないところがすばらしく、英語で目を通してみたくなる(たぶんさっぱり分からんと思うけど)。この物語の鍵となっているのが、アメリカとメキシコの国境地帯の状況だろう。メキシコ人たちは国境を違法に行き来し、どちらの国にもアイデンティティーを持たない(あるいは持っている)「チカーノ」と呼ばれるカテゴリーを形成している(今福龍太『荒野のロマネスク』)。本書の登場人物たちもアメリカとメキシコのハーフだったり、アメリカ人とメキシコ人が結婚していたりと、「チカーノ」として生きることを余儀なくされている。物語はメキシコの麻薬シンジケートに関わる抗争から幕を開けるのだが、東海岸からコロンビアまでスケール広く展開される。そして、登場人物たちは当初、「揃ってなにも持っていない」のだ。様々な群像が描かれるので、冒険ロマンとしても楽しめる。そして、「武装勢力」との闘い。アクション映画で描かれる激しい戦闘はどこか遠い話だったが、2013年1月のアルジェリアでの事件を見るともはやそれがグローバル社会では現実として十分ありえる、と覚悟せざるを得ないと思う。主人のいない「犬たち」は原罪を背負いながらなにを見ようとするのか。面白い!

  • 人間顔負けの警察犬がバウバウ言いながら難事件を解決する話かと思ったらぜんぜん違った。ふだん感想を書くとき「傑作」って言葉をなるべく使わないようにしてるのだけど(理由は使い勝手が良すぎる上に、使うほど言葉の重みが無くなってしまうから)、これはまごうこと無き傑作だった。

  • 30年に渡る麻薬戦争の話。
    マフィア側にもそれぞれ綿密にストーリーが描かれており、ついつい感情移入してしまう。
    そして麻薬捜査官である主人公アーサーもやはり聖人君子ではなく人間味溢れる人物。
    壮大なスケールで読みごたえあり面白かった。

  • 麻薬戦争話。
    長い。

    • ひまわりめろんさん
      長いてw
      長いてw
      2022/05/17
    • 土瓶さん
      たしかに。
      これじゃあレビューになってませんよね。
      ナイス突っ込みです(笑)

      いや、懐かしいなぁ。「犬の力」
      一般の評価がメチャクチャ高...
      たしかに。
      これじゃあレビューになってませんよね。
      ナイス突っ込みです(笑)

      いや、懐かしいなぁ。「犬の力」
      一般の評価がメチャクチャ高い作品であるのに、自分にはちっともハマらなかったんですよ!

      むしろ、ドン・ウィンズロウ作品ならば「ストリート・キッズ」とかが好きでしたね。
      探偵ニール・ケアリー。
      良かったなぁ!
      2022/05/17
    • ひまわりめろんさん
      『ストリート・キッズ』
      メモりましたよ!
      『ストリート・キッズ』
      メモりましたよ!
      2022/05/17
  • 上下一括感想
    下巻にて

    必ず面白い保証印〈ドン・ウインズロウ&東江一紀〉
    その圧倒的な物語、ノワールの大河をゆく。
    最初は登場人物を整理することがちょっと大変だけど、やがてそんなことも些細なこととなる。

    下巻へ……。

  • メキシコを主な舞台とした、麻薬カルテルの首魁とアメリカの麻薬捜査官の死闘。

    犬は出て来ないのである。
    「犬の力」というのは聖書にある言葉だそうで、邪悪な心というかフォースの暗黒面というか、そういう意味であるらしい。

    迫真のストーリー。手に汗握る展開。結末の妙味。確かに傑作で、読んで損がないというのは間違いない。一体何人死ぬんだというくらい、いささか血なまぐいのは気になるけれど。

    しかし、警察の協力(!)を得て前のボスを殺し、首魁にのし上がっていくさまや(警察・公安・果ては大統領まで巻き込む買収と裏切り)、そもそも麻薬が儲かるのは(アメリカ等の)市民がそれを求めているからという身も蓋もない本質(だからこそ、頭をひとつ潰してもまた新たな頭と組織が自然に現れるわけだ)、シーソーのように繰り返す復讐の連鎖などなど、ここで描かれているいちいちが、人間の業というか、出口のなさというかをあからさまに示している。

    その、小説がえぐり出したものの恐ろしさよ。

    続編(「ザ・カルテル」)も読むつもり。

  • ミステリーというよりは政治がらみのバイオレンス。
    メキシコを舞台とした麻薬戦争のことなのだけど、20年間にも渡る人間ドラマ。上はあっという間。

  • やばい、恐い、エロい、面白い。

  • ここまで麻薬犯罪物に真正面からぶつかって書き上げた著者に拍手。人種も国も関係ない人間が産んだ歪のあるシステムと動物の本能に振り回される悲哀をドラックとセックスとバイオレンスを通して描く。
    様々な登場人物たちは、すれ違い、どこかで繋がっていく。登場人物たちがまさにぎりぎりのところで息継ぎをしながら、自らを、もしくは誰かを犠牲にしもがき続ける。
    真実と虚構の混合比率の絶妙さと表現は過去形と現在形のミックスにより、読者は自然にこの世界に入り込み、登場人物たちの横であたかもその場面に直面しているような錯覚に陥り、読み出したら最後、一気に下巻へ突入する。こんな読み応えのある本に出合えたことに感謝。

  • ドン・ウィンズロウ作品にはこの作品からハマった。

    30年に及ぶ麻薬戦争を描く長編。序盤に出てきた魅力的な登場人物が、後半になる程絡み合っていきどんどん面白くなっていく。

    映像化したらこのシーン最高だろうなって描写がいくつもあって、HBOかNetflixかAppleTV+あたりでドラマシリーズとしてなんとか作って欲しい。

    この作者絶対映画好きでしょっていうのがひしひしと伝わってくるのも嬉しい。

  • 210813_犬の力
     タイトルは旧約聖書の一節からで、邪悪なもの、人の心にある凶暴性の象徴として使われる。

     巨大マーケットのアメリカに麻薬を供給するメキシコの麻薬マフィアがある。アメリカには麻薬を取り締まる複数の政府組織があり、そのうちの一つDEA(麻薬取締局)の一員である主人公アート・ケラーと麻薬マフィアの暗闘が描かれている。

     上巻だけでも十分読み応えのある小説だが、物語は麻薬取引だけでなく中南米の共産化阻止を謀る国家謀略も共調し展開する。マフィアとの契り、裏切り、組織の論理と個人の信念、もろもろが複雑に絡み、物語を広げていくが、犬の力・暴力に収斂していく。

  • 「わたしの魂を剣から、わたしの愛を犬の力から、解き放ってください。(詩編22章20節)」で始まる、麻薬捜査官とメキシコの麻薬カルテルの1975年から30年にわたる戦争の物語。
    『犬の力』とは、「いたぶる悪の象徴」「悪に立ち向かう武器としての悪」そして「怒り」とのこと。
    約半世紀前になるのでしょうか?興味がなかったとは言え、凄い世界が中南米に在ったんだと驚愕させられる。”生きる”ために、そこまでやる世界。そして、その力の源になっている「犬の力」。「日本人の平和ボケ」とは言わないけれど、言葉を失う。欲望は、怒りは、と。

    冒頭で、村の住人すべてが惨殺されている現場にいるアート。村の一人が、麻薬組織を裏切った結果の事件。この”一人の行為”が組織の”全員”の報復になる。が、全編で何度も何度も繰り返し行われる。プロットの展開が速いこと。登場人物が個性的で、感情移入の対象かどうかは別として、どんどん引き込まれてゆく。また、メキシコ、コロンビア、USAと展開が早く、時間を忘れます。(後編へ)

    気になったフレーズは以下:
    ★ついでの教訓を得た。YOYO。自分の道は自分で拓け。
    ★ボクシングの心得があればおわかりのように、いきなりノックアウトを狙うわけにはいかない。相手にも手を出せ、ボディブローでスタミナを奪って、足が止まったところを仕留めにかかる。
    ★われわれはチームだぞ。チーム(TEAM)には私(I)の字はない。勝利(WIN)にはちゃんと私(I)が入っているよ。
    ★有利な選択肢などないことを悟った罪人が、せめて不利の少ない方をと思い悩んでいるんだ
    ★恐怖と後ろめたさと、それに――爽快感。心強さ
    ★王様はよその王様を暗殺するような作戦を認可したりしないものさ

  • メキシコの麻薬戦争、取締官とマフィア、それぞれの人物と戦いが細かく書かれている。
    が、激長なうえにどうも外国書籍は文章が読みにくい、翻訳者の腕前次第なんだろう。
    あと、現実もそうなのだろうが、子供が巻き込まれて死ぬのがきつい。

  •  ドン・ウィンズロウ!

     なんて、久しぶりなんだ。

     ニール・ケアリー・シリーズがなんだか呆気なく幕切れとなってしまった(らしい)シリーズ最終作『砂漠で溺れるわけにはいかない』以来の日本お眼見えだったか。それが1996年の作品。本作は2005年の作品。ウィンズロウの上にその間9年の時間が経過していたのか。なんと!

     だからというのじゃないだろうけれど、ニール・ケアリーのシリーズとはまた違った空気。違いすぎるくらいに。作者名を伏せたらすぐに回答が出ないくらいに。その代わり全部読み終えたら、何となくわかりそうな気もするけれど。独特のテンポ。音楽的な語り口は、柔らかな青春スパイの日々を描くにしても、血も涙もない皆殺し現場を描くにしてもあまりにリズミカルで淡々と淀みがない。

     しかしそれだけではない。何かが違う。透明感はそのままだ。しかし透明感は、ぴんと張り詰めた鉄線のように危険な匂いがする。ひりつくような熱気が血のような鉄分のにおいを運んでくるのかもしれない。とにかく決定的な部分でウィンズロウの物語世界はよりハードでタフな方向に色合いを変えた。

     それも本作の場合、大河小説でもある。作者の最長編記録であることは言うまでもない。三人の同郷の男の人生を幼少の頃からそのいずれかの死に至るまで(正確には殺し合うことになる)の腐れ縁を延々と描いたビルディングス・ロマンだ。その間、殺し合いや追跡や逃走や化かし合いや、恋人の獲り合いや、裏切りやらが山ほど積み重なり、それらばかりが淡々と、ただただ砂漠の獣たちの獰猛な闘いみたいに、ばかみたいに繰り返されるのだ。本当にばかみたいに。

     アート・ケラーはDEA捜査官、パレーラ兄弟はヤクの元締め。片方には正義、片方には無法の自由と金があり、お互いに凌ぎを削ってサバイバルを繰り返している。他には何の人生も残されていないみたいに。他には幸せの選択肢なんてどこにもないみたいに。

     それにしても死闘で築き上げられた一台国境絵巻。こんなタフ・ワールドを書く作家ではなかったよな、というのがウィンズロウに対する今までの勝手な解釈だった。ところがどっこい、奇なんか少しもてらわずに、まったくストレートに物語を語り続けることのできる人だったのだ。けれんみも何もなく、本当に特徴なありゃあしない。ただただ銃をぶっ放して、鮮血と砂が交じり合う乾いた大地の物語。そして美女の悲鳴とコヨーテの遠吠えが交じり合う。

     サム・ペキンパの世界だ、まるで。

     だけど決して嫌いじゃないぜ、この世界。

  • 昨年読んだ『世紀の空売り』がとってもよかったので、
     訳者の東江一紀が訳している本を、ということで
     行き着いたのが、この『犬の力』(ドン・ウィンズロウ)です。

     見たことも聞いたこともなくて、
     30年に渡る壮絶な麻薬戦争を取材した"ドキュメンタリー"
     と思って、読み始めたのですが、この本、
     海外編ゼロ年代ベスト・ミステリの第2位で
     有名なのですね。


    ◇元々、私はミステリ好きだったのですが、
     最近は、年1~2冊読むのですが、
     何か物足りなくてガッカリということばかりでした。

     でも、この本は違いました。

     圧倒されます。
     この凄味は一体、何なんでしょう!
     息が詰まり、疲れました。


    ◇私が読書に目覚めてから、
     ミステリと言われる分野で、
     はじめて満足いく1冊でした。

     こういうのを読んでしまうと、他がますます物足りなく
     感じるのでしょうねー、、


    ※暴力的シーンのことを言ってるわけではないです、念のため。

     内容的には「爽快」というものとはほど遠いですねー

     訳者あとがきの第一声に
     「ウィンズロウが怒っている」とある通りです。

     「ここに噴出している怒りは、マグマ、
      あるいは"怒"石流とでも呼びたくなるような原初の
      かつ破格の熱エネルギーをたたえている」
     とあるように、全編を通じているのは、作者の怒りなのでしょうね。

  •  このミス海外小説部門で1位の作品です。このミスの選定には時々疑問を感じる本がありますが、この本は大当たりです!

     南米の麻薬戦争が題材ですが、とにかく読みごたえがあります。
     麻薬戦争サーガといっていいくらい、その起こりから現在までの権力争いが描かれ、新しいボスが出ては消え、また出てては消えます。ゴッドファーザーの世界に似てますが、比較にならないほど理不尽に、どんどん人が殺されていきます。
     麻薬の生産から、供給ルート、それにまつわる利権争いと、黙認する国家。複雑に絡み合う問題を手を抜かずに、読者も覚悟しろよ!と迫るかのように重厚に書きこんでいます。
     物語の進行は3人の主要人物の人生を追って進んでいきますが、あまりの登場人物の多さに、上巻の8割くらい読んでから、最初に戻って読みなおして相関図を頭の中で整理しなおしたくらいです。

     フィクションの形式を取っていますが、麻薬戦争の全貌を理解するためにはこれを読むのが一番です。日本の覚せい剤取り締まりとはまるでスケールが違います。本当の戦争です。
     

  • メキシコでの麻薬密売ルートをたたきつぶそうと執念を燃やす捜査官アート・ケリーは元CIA。
    若い日に後見人のような存在「叔父貴(テイオ)」として面倒を見てくれた名士ミゲル・バレーラが実は組織の大立て者で、大ボス検挙の手がかりをくれたのはトップにのし上がるため。
    アートは利用されたのだ。
    アートだけではなく、組織側の若い者がいかに取り込まれていくかも描かれます。
    バレーラの甥のアダンとラウル。
    摘発されにくいように上流階級に食い込む方策をとる。羽振りのいいラウルに取り込まれて良家の子息の大学生からやがて殺人者となるファビアン。
    アイルランド移民で、足を洗おうとして果たせないショーン・カラン。
    互いにバトルを繰り広げつつ、人生行路を切り開く。
    カランと若い頃に出会ったことのある高級娼婦のノーラ。民衆の中に立ち混じって力になっていたカトリックの枢機卿フアン・パラーダと知り合い、奉仕活動に通うようになる。時折「白い館」での仕事も続けながら。
    バレーラの愛人など、美女も登場、ゴッドファーザーを思わせる家族の絆や銃撃シーン、組織の興亡。
    テンポ良くリズミカルな文章で読ませます。

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ドンウィンズロウの作品

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