犬の力 下 (角川文庫)

制作 : 東江 一紀 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月25日発売)
4.03
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  • レビュー :110
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042823056

作品紹介・あらすじ

熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か-。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。

犬の力 下 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 復讐の螺旋階段に天井はなく、順番待ちで大渋滞だ。生きるために踏み出した階段への一歩は、戻れない死の順番待ち。ただ時々順番が前後するだけで、生まれた瞬間死に向かう命の終わり方が悲惨なものか、予期しないものか、自分で決めるか。
    どう生きるかよりも、死の瞬間をどうくぐり抜けて、そのくぐり抜ける瞬間、もしくは誰かに死の瞬間をもたらすことで、生きることを実感する。
    人も動物も罌粟もただそこに存在するだけなのに、誰かの思惑とか思いつきとか機嫌だけで、死のそよ風はあっという間に暴風雨に変わる。嵐の後、何も形を残さず、怨恨だけが次の誰かに受け継がれ、また復讐の螺旋に並ぶ人間を一人増やす。

  • なん度でも言おう。「ゼッタイに読むべきだ!」と。『犬の力』に影を落としているのは冷戦構造だ。キューバ危機を皮切りに、アメリカは「裏庭」で共産主義政権が立たないよう軍事的独裁者を支援し続けた。ジョン・マクティアナン監督『閉ざされた森』や、スティーブン・ソダーバーグ監督『チェ』で描かれたように謀略や諜報を駆使し、帝国主義さながらの暴力に訴える方法を臆面なく使ったのだ。その政治的な混沌を利用してラテンアメリカの麻薬シンジケートのドンに治まったアダンと、私怨とも正義とも区別のつかない炎に身を焦がしながらアダンを追うケラー捜査官の対決を軸に、物語は加速していく。本書で描かれる登場人物たちは寄る辺ない「可愛そうな犬たち」だ。お互いが支えあっているのだが、どこか歪んでいる。そして、信仰とか正義とか、そんな高尚なものは信じておらず、感情に従って生きている。そして、この「感情のもつれ」がスカッとするラストを用意するのだ。登場人物により視線が切り替わるたびに展開がコロコロと変わるのだが、作家の企みにワザと乗せられながら、最後のロマンスにハラハラしてください。面白い!

  • 登場人物が多く名前を覚えるのが大変なので、とっつきにくい。が、上巻のラストに待ち受ける残酷なシーンから盛り上がり、下巻はもっと読みたいが、終わって欲しくないという矛盾した読書体験。大傑作。

  • 怒涛のクライムサスペンス!
    前巻からの勢いもそのままに、圧倒的な筆力をみせつけられます。
    大麻薬犯罪を描きながら、殺し屋や運び屋、マフィアをけして英雄の様には書かず、
    しかし彼・彼女らの人間的な一面を描く、その技法に脱帽です。
    主役はあくまで捜査官であるアートだと思うのだけど、
    その他にもたくさんの魅力的な登場人物がいて、
    メキシコやアメリカの経済事情にいかに麻薬が密接しているかを浮き彫りにしている作品。
    ラストは私はある意味大団円だと思ったけれど、
    おそらく読む人によっては意見が分かれると思う。
    かなり骨太な作品であるため、未読の方は、覚悟して作品の世界に飛び込んで行って欲しいと思う。

  • 不穏な空気の中、始まった下巻。
    上巻以上に”銀”と“鉛”…“カネ“と“銃弾”の飛び交う混沌とした状況から、霧が晴れるようにラストの舞台へとつながっていく運び方が見事でした。
    マフィアの一員にして冷酷な特殊部隊大佐のサル・スカーチやメキシコの“無双”保安局員のアントニオ・ラモスやら複数いる主人公以外の脇役も魅力的です。私の脳内ではアントニオ・ラモスは『マチェーテ』のダニー・トレホでした。
    今もなお続く麻薬戦争という現実がある以上、完全なハッピーエンドではあり得ませんが、とても読み応えのある物語でした。面白かったです。

  • 登場人物が煩雑かな。しかしアメリカやメキシコの麻薬問題がこんなことになっていると分かったのは収穫だと思う。

  • 上巻はちょっといろいろな立場の人間がゴチャゴチャやっていていまいちのめり込めなかったが、キャラクターが整理されてくると(つまり死んでいくと)、筋道が比較的スッキリすると共にある程度キャラクターに愛着がもてたり、物語の行き着く先がおぼろげながら見えてくるので、楽しんで読み終えることができた。個人的には“大桃”のコメディリリーフ的な立ち位置が好きだった。あと、なんだかんだでそこはかとないハッピーエンド感のある一陣のさわやかさも嫌いじゃない。読むのはたいへんだが、読む価値はある。

  • 後半の展開は、緊迫感があり楽しめた。

  • 最後畳みかけるように終わってしまった。
    かといって無理やりでもなく、
    収まるところに収まった終わり方。
    カルテル?思想の対立?ドラッグの存在?貧富の差?
    何が悪いのかわからなくなってくる。

  • 二人の男女がバイクに乗って逃避行するシーンの、あの疾走感溢れた文章がとても好き。

    これはぜひカルテルの方も読まなきゃ、と思った!

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