- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042906018
作品紹介・あらすじ
フランスのはずれの小さな村に、町から町へと放浪を続けている、謎めいた女性ヴィアンヌとその娘アヌークがやってきた。古いしきたりに囚われないこの不思議な母娘は早速、教会の近くにチョコレートの店を開く。村人たちが見たこともない色鮮やかなチョコに溢れる店内。そしてなぜか彼女の薦めるチョコは、それぞれの口にぴたりとあった。その甘くほろ苦い、至福のひととき。固く閉ざされていた村人たちの心はゆっくりと解きほぐされ、これまで忘れていた、人生を愛する喜びを取り戻してゆくのだが…。読む人すべてを幸せにしてしまう、とびきり美味な極上の寓話。
感想・レビュー・書評
-
フランスの片田舎のなんてことない日常が描かれているのだけど、それぞれの人の心の中の罪の意識をさりげなく表した意外に重たい内容。それがさらりと書かれているのでホットチョコレートのようにすんなりと読み手の中に沁みていく。
くせのある登場人物もいるものの、それぞれに温かみを感じられる、いい話だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハルストレーム監督による映画を先に見た後、原作であるこの本を読んだ。小説は映画よりももっと苦い味わい。ヴィアンヌと母の境遇、神父(映画では伯爵)の過去の罪など、映画からは取り去られた、重さや暗さの部分を知って、よりこの物語が好きになった。もっとも、映画の方が良くないというのではなくて、よくできたおとぎばなしとして、こちらも好き。ヴィアンヌ、アルマンド、ジョゼフィーヌ等、役者さんが小説のイメージにぴったりだった。
-
3年前のこと。
甘いピンクのお菓子の缶のような表紙をあけると、おいしそうな生チョコレートが並んでいる本を見つけた。中表紙の先はお菓子の本ではなく字がいっぱい。
時は聖バレンタインにも近く、『すべての人を幸せにしてしまう 不思議なチョコレートを売る母娘の物語』(帯)に惹かれて購入さっそく読了。ほんとに不思議でおいしかった。(2002年1月29日)
カーニバルの風に乗って、フランスの小さな村「ランスクネ・スー・タンヌ」に流れてきた母娘。
「ヴィアンヌ・ロシェ」と6才の女の子「アヌーク」。
復活祭の前の質素な食べ物にして神に感謝する期間にチョコレートショップを開いてしまった。
教会の隣に。神父さんが面白かろうはずがない。
母娘は魔女だった。いや、魔女にしてしまった。
このあたりは欧米との宗教観の違いで日本人にはわかりにくいところという。
例えば「緋文字」(ホーソン)などで壮絶な葛藤が繰り広げられる、歴史的なものはなかなかうかがい知れないが、日本でも魔女狩りにあたるのは異質なものを排除するだとか、いじめに相当するのだと思う。
しかし、この物語の魔女は魅力的、お客のチョコレートの好みだけでなく、その人の夢や希望をあててしまうという力。もしかして、心さえあればみんなが持っている力かもしれず、じゃ、魔女といわれたいかも。
とにかく、チョコレートとおいしいものに囲まれて、邪悪とはなんだったろう、という感動の物語。
映画もその頃公開されていたね。今度映画も観てみようかな。 -
舞台はフランスの田舎町。
そこへ、ヴィアンヌという女性がアヌークという娘を連れて移り住んできます。
彼女は教会の近くにチョコレートの店を開き、
次第に住民たちに受け入れられて交流を深めていきます。
けれど、神父のレノーは彼女を受け入れることができません。
彼女がその町の秩序を乱すのではないかと警戒しています。
それでも、神父という立場上彼女のことを気遣うふりをしながらも、
監視するようなまなざしで見続けます。
物語はヴィアンヌの視点と、レノーの視点で描かれます。
現在進行形の町での出来事を描写するだけでなく、
ヴィアンヌ、レノーの過去にも触れながら進んで行くので、
とても深い小説だなぁと思いました。
母親とともに世界各地を渡り歩いてきたヴィアンヌは、
レノーのいうキリストの教えに馴染めません。
ヴィアンヌの店に来る住民たちもその教えを受けながら
けれど、その教えを守ることが正しいのかということに悩んでいます。
そういうやりとりを見ていると、幸せってなんだろうなと思います。
そして全てが終わる結末で、その悩みは消えてなくなり、
爽やかな風を感じながらほっとするような気分でした。
もちろん、出て来るチョコがおいしそうで、
想像するだけでとても幸せな気分になります。
手元にチョコを置いて、実際にカカオの香りが漂うところで読んでいたら、
きっともっと幸せな気分です。
チョコはやっぱり幸せのもとですね。 -
何度読んだことでしょう。ボロボロすぎてギリギリ本の形とどめてる感じ。伝統重んじるコチコチの村にやってきた親子がチョコレート屋さんを開く物語。謎めいてて魅力的な主人公の視点と、村を支配してる潔癖な神父が神に語りかける形とで、二つの視点から同時進行で語られる。警戒しながらも、チョコと主人公に魅入られる村人達の心の動きが好き。読んだ後は高級チョコむさぼりたくなる。映画もいいけど、本もいい。イメージ的にジュリエットビノシュではないんだけどなー
-
映画の原作本。映画も素敵だけど、小説もとても素敵。『ショコラ』というタイトル通り、ショコラの店を開く主人公の魔女めいた女性が謎めいていて魅力的。それに、これでもか~というぐらい出てくるショコラの描写がまた美味しそう。ストーリーは映画と同じで、ただキャラクターひとりひとりが深く描かれているので、映画を見た後でじっくりと思い出しながら読むのがおすすめかも。
ただし、映画版でジョニー・デップが演じた男性と主人公の関係は若干違うので、その辺りは注意が必要でしょう。 -
映画は見ていたのだけれども、友人に「原作の方が良い。フランスに行く前に読みなさい」と勧められ、読んでみた。けっこう映画と違うのね。そして、たしかに原作の方が良い。司祭とヴィアンヌの一人称が交互に続くのもおもしろい。特にラストは映画はハリウッド的にまとめられていたけれども、原作の方がほろ苦くて良いかな。フランスの小さな田舎町の風景が目に浮かび、清々しさとほろ苦さが同居する素敵な1冊というかんじ。(2003 Jul)
-
中学生の頃、図書室で見かけたピンク色の可愛いお菓子のパッケージのような表紙の本。結局在学中に読み終わらなくて前半部分までしか読めず、大人になった今もたまにふと思い出していました。
先日図書館でタイトルはうろ覚えでしたが「ショコラ」で検索をかけたら、見事文庫本サイズを発見!嬉しさのあまり速攻借りました。
後書きで訳者さんも書かれていますが、タイトルの通りチョコレートや美味しそうな料理がたくさん出てきてお腹がすきます(笑)
物語は小さいとある村のカーニバルの日に、若い女が幼い娘を連れて訪れるところから始まります。
その一人の女性がひとつの村を、人々を変えていく。良い方にも悪い方にも。
文化の違いもありあまり宗教的な事は理解出来ませんでしたが、結局のところ、甘くて美味しいチョコレートがあればみんな幸せだよね!ってことで自分の中で片付けました(笑)
村で起こる様々な事件や人々の想いや人間関係、それぞれの生活。
本当にどこかの国でありそうでないような、そんなお話。
主人公のヴィアンヌのような強く生きる女性や、アルマンドのような不思議なおばあさんがどこかで実在したらいいなぁなんて思います。
ほんの少しだけファンタジー要素を含んでいて、でもファンタジー過ぎなくて、絶妙なバランスでとても読み応えがありました。
とりあえずホット・チョコレートを飲んでみたい。
後編のブラックベリー・ワインもこれから読みます(*^^*)