お菓子と麦酒

  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042973010

感想・レビュー・書評

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  • 短編集はいくつか読んできたけどモームの長編小説は2冊目。『月と六ペンス』のイメージで読むとちょっと印象が違う。ロウジーはモーム作品でも屈指の魅力的な女性。タイトルのお菓子と麦酒は気ままな生活の代名詞。ロウジーには似合いの言葉である。2012/684

  • おもしろい。モームはすらすら読めて内容もよく入ってくる。モームの自叙伝ともいえる「人間の絆」と重なる部分はあるけど、妙齢の作家の主人公が昔を解雇する形式でつづられ、人間の絆よりも温かみと懐かしさがあり、ミルドレッドに対するような迷いや憤りはロウジーを語る口にはない。(どうやらモデルも違うようだ)作家はいろんな患いごとがあるが、全てそれを小説にしてしまえば忘れられる稀有な自由人だ、というモームの言葉がなんとも含蓄がある。

  • 人間誰しも、いいところばかりではない。
    隠しておきたい過去があったり、人に後ろ指をさされることをしたり、そういうことを抱えている。
    でもそれらは、本当にイケないことなのか。問答無用に断罪しきれることなのか。
    「人間なんて、そんな割り切れるものではないよ」
    物語全編通して、そう言いたいのではないかと感じた内容だった。
    しかもそれは、決して綺麗事の人間愛とか人間賛歌からではなく、大いなる諦観から来ているのではないだろうかと思う。

    「ひたむきな感情の中には元来滑稽さがひそんでいるものなのだろうか。なぜそうなのかは私にも見当がつかないが。もしかすると、とるにたらん天体に住むはかない命の人間などは、どう努力しようと、どうもがこうと、永遠の見地からみれば、所詮は滑稽な存在でしかないのかもしれない」(295ページ)

    なんだか、キリスト教的考えとはまた異なった、どちらかというと東洋的な考え方のように感じる。
    そういう意味で、彼の著作は、とても腑に落ちやすいのだ。

  • 途中までの興味の起きなさたるや。
    好みの問題だとおもうけど。

    でも、途中から急におもしろくなった。

    きちんと味わうには、もう一度読む必要があるな。

  • 構成は面白かったが、ロウジーが好きになれずに終わったため、ガッカリ。

  • 飛ばし読み。『月と六ペンス』からにしようかな。

  • デイヴィッド・コパフィールドが、「ここで最高級 - 一等上等 - のビールは一杯いくらですか」(『デイヴィッド・コパフィルド』 (一) 岩波文庫 p.404)と言う姿 -岩波文庫の第一巻の表紙絵- を想像しながら、書店で手に取った一冊。
    残念ながら、『Cakes and Ale』はディケンズではなく、シェイクスピア『十二夜』からの表現だそうで。15年以上十二夜は読んでないので、そんな表現があったかどうか思い出せませんでした。

    ある作家の伝記を書こうとする知人が、「私」にその作家の最初の結婚について話してほしいと頼んできたことから、「私」が自分の青春時代とその作家の最初の妻、ロウジーについて語っていきます。過去と現在を行きつ戻りつしながら、最後には「!」とくる。

  • 私が好きなものも、お菓子とビール。
    これの前に『月と六ペンス』を読んだことがあったから、つい手にとってしまった。
    最初から最後まで、登場人物が麦酒に言及したり、お菓子を口にするような目立ったシーンは無い。

    けど、最後まで読んで、素敵なタイトルだと思った。

  • 巧みな比喩と皮肉たっぷりの語り口で文壇を批判し、ロウジーの魅力を書き尽くした、モーム渾身の一作ですね!!

    『月と六ペンス』の方が読みやすさでは上ですが、モームファンなら楽しくって仕方ない作品でしょう。

    モームの長編小説の醍醐味は、彼が小説や戯曲をかくさいに、恐らく芯になって貫かれている哲学的な意見を読めることではないでしょうか。
    『月と六ペンス』では芸術に関する考察がとても面白かったように記憶していますが、今回の場合は、作家論と作家達によって成り立つコミュニティである文壇へ批判が中心です。

    もちろん、話の筋も面白いです。1人の偉大な作家の生涯とその傍らに一時的に寄り添ったロウジーという女性の生涯の描き方が素晴らしい。
    ロウジーはどことなく『ティファニーで朝食を』のホリーを彷彿とさせますが、彼女みたいに不幸じゃないところが大きな違いですw

    本筋とは関係無いけれど、「私」のロイの人格や作品に対する評価が特にシニカルで面白くて、ツボでした。
    書き出しから面白い。ロイがわざわざ電話してきて、「重要な話がある」というのに、「それはきっと電話してきた本人にとって重要なのだろう」とみなして掛け直さないところとか、いきなりくすりとさせられます。

    このように、これだけの時を経て、ミクロに見ても、マクロに見ても面白い作品をかいたモーム氏の偉大さをかみしめるばかりです。

    《所持》

  • 名前しかしらない作家さんだったので、もっと固い文章かと思っていたら、意外と読みやすく面白かったです。タイトルの意味は、最後の最後、解説を読むまで分かりませんでした(^_^;

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