「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

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本棚登録 : 878
感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042977018

作品紹介・あらすじ

グーグルが何十億というウェブページから、探しているページをピンポイントで発見できるのも、正確な選挙結果の予測ができるのも、株式市場が機能するのも、すべて「みんなの意見」つまり「集団の知恵」のたまものである。多様な集団が到達する結論は、一人の専門家の意見よりもつねに優るという説を提示し、ウェブ時代の新しいパラダイムを予見。多くの識者に引用・推薦される、社会人必読の話題の教科書がついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 集団は不思議なもので、単なる構成員から成るまとまりではなく、彼らとはまた違う、独立した生き物である。集団は時に単純であり、またある時には複雑で予測不可能でもある。個人より愚かな判断をすることもあれば、賢い判断もできる。「集団の意思決定」についての様々な事例を踏まえ、どういう条件を満たす場合に、賢い判断がなされるのかを考察する一冊。経済学に関する話が7割、心理学に関する話が3割。

  • 多様性・独立性・分散性といった条件があれば、認知・協調・協力などの課題に「みんなの意見」が力を発揮する。逆に適切な条件を欠くと、いわゆる衆愚、バブル、情報カスケードといったネガティヴな事態に陥る。小集団内の多様性、独立性の大事さは個人的な感覚でも腹に落ちる。筆者の中庸でバランスの取れた語り口も読みやすかった。

  • 非常に内容が濃い本。
    個人的にはここ10年間で読んだ本の中でベストワン。
    (大した量を読んでいないのも問題だけれども)

    本書の帰結としては「集団は答えを知っている」ということ。
    一見すると、バラバラに見える集団の知恵の働きは、
    我々の周囲に溢れているのに、見過ごされがちで有り、
    貴重な知識はごく少数の一部の頭の中にあると思われている。
    すなわち、
    「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すると、
    集団や群衆が到達する結論は「一人の個人より常に知的に優る」
    ということ。
    言い換えれば、
    「ある一定規模の集団規模があり、多様な人々を集めた集団の多くは
    素晴らしいソリューションを考え出すことに長けている」のだ。
    逆説的に述べると、上記の集団が賢い判断をするためには、
    個々人が出来るだけ独自に考えて行動することが不可欠。
    フランシス・ゴールトンの実験によると、
    「一般的に集団の規模が大きければ大きいほど、正確な判断が下せる」
    とされている。

    ■集団が賢明な判断を下す4つの要素
    多くの場合、「平均的=凡庸」を意味するが、
    意思決定の際には、上記の図式が優秀であることに繋がる。
    「集団の知力が確かに存在しているからと言って、
    それが必ずしも良い方向に活用されているとは限らない。
    集団が精度の高い予想をするためには、
    「一つと方法の完成度を高めることではなく、
    集団が賢明な判断を下すために必要な、
    1:多様性 2:独立性 3:分散性 を維持すること。

    集団思考で重要な点は、
    「異なる意見を封じ込めるのではなく、
    何らかの形で「異なる意見が合理的に考えた結果、ありえない」
    と合意形成すること。
    つまり、多様性は独立性の確保に不可欠な要素なので、
    多様性がない賢明な集団は存在しえないのだ。

    つまり、個人の知識をグローバルに、そして集合的に役立つ形で
    提供できるようにしながらも、その知識が確実に
    具体的でローカルでありつづけるようにしなければならない。
    個人的な行動レベルで考えると、自分が何処へ行こうとしているのか
    全く見当がついていなくても、人間は、市場の一部に組み入れられると
    行くべきところに行き着くことが出来る生き物なのである。

    ■「協調」について
    協調しようとする人々の行動の根底には、。
    合理的・理性的には説明できない「何か」が存在する。
    では我々が協力し合うのは何故か?

    ロバート・ライトによると、
    「取引や交換と言うゲームは、勝者と敗者を生み出す
    「セロサム・ゲーム」ではなく、参加者全員のメリットになりうるのだ」
    という理論を我々は長い時間をかけて学んで来た。
    「信頼・協力・赤の他人への親切」の考え方は文化によって大きく異なる。
    しかしながら、ロバート・アクセルロッドは、
    「協力の基礎にあるのは、『信頼』ではなく『関係の永続性』である。
    「長期的にプレイヤー同士がお互いに信頼しているかどうか」は、
    「安定した協力パターンを構築できる条件がそろっているかどうか」
    という要素に比べれば重要ではないのだと述べている。

    すなわち、「うまく機能している社会的仕組み」においては、
    協力とは「同じ人間同士で繰り返されるやり取りの結果」に過ぎない。
    協力関係が成功するためには、まず人々がお互いに親切にして、
    進んで協力し合うところから始めないといけないが、
    同時に、非協力的な態度を直ちに罰する姿勢も必要となるのである。

    本当に信頼できることは、
    「相手が自分の自己利益を理解しているはず」と考えだけである。
    時間の経過と共に、相手への自己理解の関心は、
    それ以上の「何か」に変化し、そこに「協力」する意志が生まれる。
    なぜなら「協力こそが物事を進めるベストの方法である」
    と我々は知っているからである。

    ※この本を読み終わった直後に、東日本太平洋沖地震が発生した。
    この状況で、「協力こそが物事を進めるベストの方法である」
    というのは、ココロに深く染み入るものがある。

  • 集団の意見はヒステリックに偏り易いという偏見に対して、「あんがい」正しい、場合によっては優れた個人よりも良い結果を生むよという内容。「あんがい」というのがミソであって、必ずしも正しいわけじゃないし、衆愚になることはあるけど、使い方次第とのこと。ちゃんと読まないと、いろいろと誤解してしまいそうな本。

  • 「みんなの意見」は案外正しい
    【感想等】
    ▶適切な状況下では集団は極めて優れた知力を発揮し、
    それは往々にして集団の中で一番優秀な個人の知力よりも優れている。(集合知)

    ▶賢い集団の4つの要件
    ・多様性(各人が独自の私的情報を持っている)
    ・独立性(他者の考えに左右されない)
    ・分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
    ・集約性(集団として1つの判断に集約するメカニズム)
    ⇒個々人が回答を出す過程で犯した間違いが相殺される。

    【気になった点】
    ・知っていることと、知っていると思っていることには大きな溝がある。
    ・組織が小規模な場合、特定の偏向を持った少数の人物が不当に影響力を行使し、
     集団の意思決定を歪めてしまう。
    ・「集団思考」⇒均質な集団は外部に意見から隔絶される。その結果集団の意見は正しいに違いないと思い込む。自分たちは絶対に正しいと思い込み、反論に対して何とか理由をつけて退けてしまう。確証バイアス。

  • みんなの意見は案外正しい、がしかし、そのための条件は日本人にはかなり厳しいというのがボクの感想。

    まず『多様性』
    この時点で終わってる気がする。
    今の日本には多様性を認めきれない人間のなんと多いことか。
    画一的な全体主義に傾倒し過ぎていて、ボクみたいなしがない読書バカのイチ意見すら、まともに受け止めることすらできない。

    そもそも、なぜここ数年『多様性』が取り沙汰されているか、なぜ『多様性』が大切なのか、理解しようともしない人間ばかりでもう絶望しかない状況になっている。

    なんせ勉強しないのが日本の大人だ。
    勉強する意味もわからなくなってしまった現代日本。このまま廃れるのもやむなしか。

  • 「みんなの意見」は案外正しい
    (和書)2010年12月24日 16:46
    2006 角川書店 ジェームズ・スロウィッキー, 小高 尚子


    柄谷行人さんの書評で知り、読んでみました。

    こういう見方はとても面白いと思いました。そういえば思い当たる状況はあったなって。

    でもこういう状況は僕の経験では、とても偶然に起こることが多かった。しかし共同体の慣例の中にも、こういったものの残滓があるようにも感じるが、そういうものは抑圧を孕んでいて違うようにも感じる。

    面白かった。

  • 巻頭の牛の重さ当てコンテストの事例は眉唾モノ。
    書きっぷりからして実話のようなので疑う訳ではないが、なぜそのような現象になるのか理解が及ばない。単なる偶然を例にあげているだけなのでは?
    そんな小さな猜疑心から読み始めたものの、読み進めるうちに、すっかり著者の説く「みんなの意見」の有用性に納得させられてしまった。
    SNS隆盛の時代にあって、ともすれば衆愚に陥る危険性のある「みんなの意見」をうまく活用することが、不確実な世界とうまく折り合うヒントになるのかもしれない。

  • 360円購入2013-04-15

  • 集合知、いわゆる「みんなの意見」がどれほどのものかを示してくれる本。なぜなのかは本書は示してくれないが、みんなの意見は結構あなどれないという。どれほどあなどれないかを知りたい人には一読を進める。個人的には本文よりも、山形浩生の解説のほうが価値があると思った。集合知を警戒して扱うべしという識見は、やはり「空気」の文化を持つ、日本人ならではというところだろうか?

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著者プロフィール

「ニューヨーカー」の金融ページの人気ビジネスコラムニスト。

「2009年 『「みんなの意見」は案外正しい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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