経度への挑戦 (角川文庫)

  • 角川書店 (2010年6月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (226ページ) / ISBN・EAN: 9784042982081

作品紹介・あらすじ

18世紀ヨーロッパでは、不正確な経度測定に起因する遭難事故が続発。イギリスは問題の解決に高額の賞金を設定、天文学者がこぞって天体の運行に答えを求める中、無名の時計職人が名乗りを上げた――。

みんなの感想まとめ

18世紀の海上での経度測定の難しさと、それを克服するための挑戦が描かれています。正確な経度を測るためには高精度な時計が必要であり、多くの天文学者が天体の運行に頼る中、無名の時計職人が独自の技術でその夢...

感想・レビュー・書評

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  • 緯度は太陽や恒星の角度から知ることができるが、経度はそのような簡単な観測では知ることができない。しかし、緯度に加えて経度も分からなければ現在地を特定することはできず、特に外洋航海においてはどこまで進んだのか、場合によっては、どちらに進んでいるのかということも確認できなくなってしまう。

    そのため、多くの国や科学者、航海士や技術者等が、経度を測る方法を長い間探究し続けてきた。この本ではその歴史が紹介されている。

    経度を知る具体的な方法としては、天体観測による方法と、時差を使う方法の大きく2つがある。

    前者の代表的な方法が、月距法とよばれるものである。この方法ではまず、月の軌道にそって星の位置を記録し、その一つひとつの星のそばをいつ月が通過するか、向こう何ヶ月間、何年間にもわたって予測し、基準地(経度を0度とする場所)における月の運行表を作成する。

    そして、海上で月の周囲の星を観察し、基準地でその星のそばを月が通過する時間と、海上で観察をした時間との時差を基に、基準地からの経度を確認するという方法である。

    月の運行表を作成するために、各国は天文台を設立し、データの収集を始めた。グリニッジ天文台もこの時に設立されたものである。しかしこの方法は、船上でかなり精度の高い天体観測をする必要があるという点が難点であった。

    一方後者の、太陽の南中時刻が出発地から何時間ずれたかを計測するという方法は、正確な時計の開発が鍵となる。天文学者が多くの年月をかけて月の運行表を作成していた時に、一方ではこの時計の開発が様々な職人によって進められていた。

    本書では正確に時を刻み、温度や湿度の変化や船上の揺れによっても誤差が生じにくい時計を開発したジョン・ハリソンの活躍を紹介している。

    これらの様々なアイデアは、英国議会が設立した「経度評議員会」によって審査され、実用的かつ有効な解決法を編み出したものには、「国王の身代金」に相当する賞金が与えられることになった。そして、100年近くにわたり数多くのアイデアについての議論と検証が行われた結果として、ハリソンの時計を基にした方法が最終的には勝利を収める。

    経度の測定法への挑戦の歴史は、天文学者と時計職人という全く異なる領域の人達の対決という意味で、とても興味深いものだった。そして、王立研究所の学問と実地の技術の両面から幅広いアイデアを競わせたことで、革新的な方法が生まれるというプロセスも、18世紀のこの当時の空気を表しているようで面白かった。

  • 航海において、緯度経度が重要であること、また緯度は比較的簡易的に計測が可能であったが、経度に関しては計測の難易度が高かった。
    経度を平易に計測できるようになるには高精度かつ環境の変化に強い時計の開発を待つ必要があったが、ニュートンをもってしてもそんな時計がうまれることはないだろうと考えていたそう。

    そんな中、在野の時計職人が独自の発明をふんだんにとりこんだ時計を開発していく、、という話。
    全く知らなかったので非常におもしろくよめた。
    ただ、時計や航海についての予備知識がないとちょっと理解しづらいことも多かった。

  • 大航海時代、経度の測定は長年の課題であった。緯度はわかるが経度がわからないために、多くの人命や積荷が失われた。経度を測定するには月や星の観測を用いる天文法と時計を用いる工学的手法があった。天文法は正確かもしれないが揺れる船の上で、見えたり見えなかったりする星の角度を正確に求めないといけないとう製薬があったし、見えたとしても計算が複雑であった。一方時計はたとえば太陽の南中時の時刻が基準となる地点の南中時と何時間何分ずれているかしればよいので単純である。
     この船の上でも、温度や湿度が変わっても一定の時を刻む時計を開発する事業に一生を捧げた男がジョン・ハリソンである。ジョン・ハリソンは賞金がかけられた時計の肺発に成功するものの、よりよい時計の開発を求めて賞金を満額もらわす、さらな開発に勤しむ。そして本人も納得する時計がついに開発したとき、彼を待ち受けていたのは天文学者達の猛反発であった。
     その後の時計の量産化やハリソンの時計の修復までをしらべた痛快無火のノンフィクション。
    おすすめです。

  • 孤高の挑戦者に敬服。

  • 緯度と経度ってどっちが難しい?
    この本を読んでいなければ、こんな質問も何を小学生みたいなことかと切って捨ててしまっていたかもしれない。
    縦と横は人の視点の違いだが、右と左、上と下、東と西、そして緯度と経度には、世界の視点の違いが含まれている。

    東京の緯度経度も知らない自分でさえ、地球が球であることと赤道の概念さえ分かっていれば、自分なりの経度線を定義することはできる。
    一日かけて適当な木の棒の影の長さの推移を測り続け、1年かけて南へ歩き続け、1年後の同じ日に同じように計測した影の長さと比較する。
    赤道まで到達できなくとも、同じようにデータを集め続ければ、道に迷ったときも南北どのあたりにいるかの示しとすることはできるだろう。

    では経度はどうだろう。この時も基準となるのが太陽となることは変わらない。
    日の出の時間と日にちの比較を記録し続ければ、基準地点からどれぐらい東にいるかを検討付けることはできる。
    そう、時計さえあれば。

    現代ではどこの条文にも書いていないだろうと思われるほど誰もが当たり前に享受している、『現在時刻を知る権利』
    ほんの300年ほど前には誰も持っていなかった地点からの今日の進歩に、『経度の探索』が影響していたと知っている人はどれぐらいいるだろう。
    いわんや、そのために生き、そのために死んだ人々の人生なんて。

    もし今後、急に大航海時代に異世界転生してしまうことになった際は、なんとか本書と腕時計を掴んでいこう。
    たとえ時計の詳しい仕組みがわからなかったとしても、それを扱う人生というものの一端を、味わえるかもしれない。

  • 学がなくても、周りの助けがなくとも、熱意と試行錯誤があればやりようはいくらでもあるんだなと思えました。

  • 新書文庫

  • 緯度を計測するには北極星の高さを測る。経度を測るには時差を測る。そのためには正確な時計が必要。本書は航海用クロノメータを1700年台に最初に作ったジョン・ハリソンの伝記。独自の様々な工夫で飛躍的に時計の精度を向上させた。
    クロノメータ以外の方法として、太陽以外の天体のを時刻基準とする方法もある。最初に使われたのが木星の衛星の食、それ以外に月と天体の位置関係。木星の衛星の食の周期性は光速を求めるのにも使われたのが興味深い。

  • 緯度とちがって経度の測定には精確な時計が必要で、海上で経度をしることはスゥイフトなどの作品でも「あり得ない発明」として論じていたほどである。実際、18世紀でも大英帝国の付近で経度がわからないためにひどい海難事故が起こっていた。これに挑んだのが、プレーストリやハレーらの天文学者と時計職人たちである。本書は天文学者と時計職人の確執を活写していて、たいへん興味深い。結局、この問題にかけられた賞金(経度法による)を勝ち得たのは、ジョン・ハリソン、独学で時計づくりを学んだひとだった。

  • 原題:Longitude
    著者:Dava Sobel
    翻訳:藤井留美

  • 9784042982081 212p 2010・6・25 初版

  • 教員からのコメント:大航海時代、経度をはかる方法を見つけた時計職人の話です。

  • (欲しい!/文庫)

  • 現地時間とGMTとの差に15を掛ければ経度は得られる。18世紀の難問に決定打を提示したのは英国の天才的な時計職人だった。彼の時計をめぐって展開された数十年に渡るどろどろの人間ドラマを描いた科学読みものの快作。どろどろさがおもしれー

  • 18世紀の天才時計職人ジョン ハリソンの業績を中心とするドキュメンタリーだ。経度測定方法には興味があったので手に取った。技術的な内容はあまりわからないが、当時の状況や人間模様は興味深く描かれている。面白い。

  • 前半はいいが、後半は薄い。ハリソンの人物像の掘り下げが中途半端だからだろう。一部学者の頑迷ぶりと船乗りのイイ奴ぶりの好対照はよかった。

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