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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784042982166
作品紹介・あらすじ
詩人ランボーは母音に音を感じたという。それは詩的表現ではなく共感覚ではないか? 幻肢患者の鏡を使った治療で効果を得、世界を驚愕させた著者が、脳が演出する奇妙な現象を手掛かりに、さらなる謎に迫る。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
脳が生み出す奇妙な現象をテーマにした本書は、著者の臨床研究を通じて、自己や心のメカニズムに迫ります。前作との重複部分がある一方で、共感覚や幻肢といった興味深い症例を紹介し、読者に新たな視点を提供します...
感想・レビュー・書評
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前作と違って、最初から1冊の本としてまとめられたものではなく、5回の講演を5章として1冊にまとめたもの。
そのため、章の最初で提示された内容とそれて話が展開して戻ってこなかったり、話が前後したり駆け足になって結論が分かりにくかったりする。
どれも十分に興味深くて面白いが、少し分かりにくい部分があるのが残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前作と重複する部分もあるが、本作の方が面白い。
共感覚の箇所を読んでいて気が付いたが、自分にも似たような感覚がある。数字に温かさや冷たさを感じるのである。これも共感覚と言うのだろうか。基本的には、奇数は冷たく、偶数は温かい。特に1や7は突き刺さるようなイメージで冷たく、2、6、8は温かい。形状は勿論、奇数は2列に配置した場合に、1余るので、鋭く刺さる感覚があるのだ。例えば7だとこんな感じ。
oooo
ooo
上の娘に話したら全く同感だと言っていたが、妻は全然理解出来ない様子であった。遺伝的要素が大きいのであろう。
友人の中には、漢字と色が結びつく人もいる。和は紫色、真は黒色と言うのだ。明確な理由は良く分からない。 -
脳のなかの幽霊、ふたたび
見えてきた心のしくみ
「ホロン」という造語を創ったアーサー・ケストラーの「機械の中の幽霊」が、還元主義的なアプローチでは機械の中の幽霊=自己や心を解明することは出来ないという立場なのに対して、ラマチャンドランは臨床例を研究するアプローチから還元主義的に脳のなかの幽霊=自己や心を解き明かそうとしています。
この本にはいろいろな臨床例が出てきます。無くしてしまった手足をリアルに感じる幻肢、数字を見ると色が同時に見えたり、音を聞くと色が見えたりする共感覚、自分のよく知っている人を偽物だと思ってしまうカプグラ症候群、自分を死んでいると思ってしまうコタール症候群、などなど。
これらは全て、脳のある部位の配線の損失や混線によって起きるということが、MRIなどを使うことによってわかってきたそうです。こういった症候群の患者さんに臨床実験を行うことによって、言葉はどこで認知されるのか?見ている物の名前は、どうやって認識されるのか?抽象的な概念はどこで認識されるのか?などがわかってきているようです。
また、判断を行ってから行動に出るまでに約一秒の時間差があるといのも面白い話です。この話によってラマチャンドランは、自由意志は脳内作用にすぎず、自由意志を持つ自己などはないというニュアンスのことを言っています。
もう一つ、面白かったのは、脳の様々な発達、たとえば抽象化や言語などは進化の段階でランダムに発達したものが自然淘汰されたものではなくて、脳の機能と学習の相互作用によって今の方向に進化してきたというラマルク的な形質遺伝進化論の発想をしているという点です。
ケストーラーは、還元主義を超えて、ラマルク的な進化論を擁護しました。ラマチャンドランは、還元主義のアプローチからラマルク的な進化論に達しました。
現在の進化論が純粋なダーウィニズムから形質遺伝の立場を一部取り入れたネオダーウィニズムに変化して来ているのは知っていますが、どの程度変わったのか?また勉強しなければ。
ということでいろいろなことを考えさせてくれる良い本でした。竹蔵は少し考えすぎて知恵熱が出てしまいました。(風邪を引いただけという説もある。)
竹蔵 -
脳のなかの幽霊の内容をまとめたもの。新たな知見はないが、復習にはちょうどいい。
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「サイエンス・ブック・トラベル」から。
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脳の中の幽霊、脳の中の天使の両方を読んだ後で読んだため、内容が両作とオーバーラップしていて、新情報が少なくなって新鮮さが薄れてしまった。刊行順で読めばよかったと少し後悔。
内容自体は相変わらず非常に面白いものであった。ラマチャンドラン氏の神経科学についての考えをおさらいするような形で読めた。やはり彼の研究は非常に面白い。 -
原題「The Emerging Mind」。過去半世紀に渡ってイギリスの知的・文化的象徴であり、名立たる学者がその壇上で話すことになったリース講演を始めとしたいくつかの講演をまとめたもの。日本語のタイトルが示している様に多くが前著と重複しているのだが、本作では講演の内容を基にしてるだけあって種々の事例がより簡潔に示されている。それ以外にも脳とアートの関係について推測交じりながらより掘り下げられており、芸術や宗教的能力が脳の一部のモジュール部位に依存しているという話は興味深い。僕らの人格だって同じなんだよ。
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本書は,脳の働きや仕組みについての一般のひと向けの講演内容に基づいて書かれた本である。著者のラマチャンドラン博士は脳神経科学を専門とする研究者だ。脳の研究を一般の方がたにもっと身近に感じてもらえることを目指した(7頁)というだけあって,内容は興味深いだけでなくとてもわかりやすい。
本書では稀な神経疾患がいくつも取り上げられている(相貌失認,カプグラ症候群,幻肢,半側空間無視など)。これらの神経疾患では,脳の一部になんらかの損傷や変化が生じたために,何かしらの機能が失われてしまっている。たとえば,側頭葉の紡錘状回が左右ともに損傷されると,それ以外の視覚はまったく正常なのに人の顔が認識できなくなる(=相貌失認,19頁)。このように神経疾患を詳しく調べることで,特定の脳の部位の機能を明らかにすることができる。
本書ではさらに,芸術を生み出す神経機構についても推論的に議論されている(3章)。世界にはたくさんの芸術様式があるが,それらの芸術には文化の境界や様式を超えた10の普遍的な法則が存在するという(62,65-66頁)。そして,それらの芸術的普遍性を備えた芸術作品を創作したり鑑賞したりすることを好むように人間の脳が進化してきたと著者は論じている(82-83頁)。
また,4章では,共感覚という現象が取り上げられている。共感覚とは数字を見たり音を聞いたりすると色が見えるという現象のことで,前著では触れられていなかったトピックだ。脳の中で,数字の領野と色の領野は隣り合っており,この領域同士の「クロス活性化」(97頁)が共感覚の原因であることを示す証拠があるらしい。さらに著者は,共感覚とメタファー(比喩)を作る能力との関係を指摘したうえで(105頁),共感覚的な感覚が言語の進化に対する原動力となったのかもしれないと論じている(110-112頁)。
本書で取り上げられている神経疾患の多くは前著『脳のなかの幽霊』にも登場する。そのため,前著の読者にとっては本書を読むことはよい「復習」になるだろう。本書はとてもコンパクトな本であり,脳の仕組みや機能についての良い入門書となっている。ただし,それぞれのテーマについて多くのページが割かれているわけではないので,興味を持った各テーマについて,本書のあとに別の本へと読み進めると良いと思う。前著『脳のなかの幽霊』やオリヴァー・サックス『妻を帽子とまちがえた男』(ハヤカワノンフィクション文庫)がおすすめである。また,共感覚について関心があるひとはジョン・ハリソン『共感覚―もっとも奇妙な知覚世界』(新曜社)を読んでみるとよいだろう。 -
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<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?asin=4042982115" target="_blank">前のやつ</a>の続編…。と思いきや、焼き直し。文量を大胆にスリム化していくらか足して、講演口調にしたもの。"ふたたび"とか付いてるが、むしろこちらから読んだほうが入りやすい。ならば前作を読んだ人は本書を読まなくてもいいのかと問われれば、そうではない。追記された"芸術と脳"に関する章は、一読の価値がある。
本書を読むまで、芸術とはコンテキストなのだと思っていた。例えばピカソのキュビズム。一見して価値がわからない抽象画は、過去の写実主義などの積み重ね打ち破ってからこその評価なのであって、未開の地の原住民に見せても理解されないだろう。だからそんな"文脈"を勉強しないとわかんないような美しさなんて…。と、まるで興味がなかった。だが、違う。
例えばデフォルメ。くちばしに赤い斑点がある親鳥に育てられた小鳥は、赤い線が3本入った黄色い棒に、本物よりも強く反応するようになる。同様に人間も、写実的なものをただ見るよりも、抽象的なものに意味を見出すときや、隠されたものを想像するときの方が脳が激しく反応する。
もちろん美術品の評価に文的な影響が多大にあることは間違いないだろうが、芸術家はそんな多くの人の脳を刺激する抽象性を模索しているのだと考えると、なるほど納得できる。
『脳のn%の領域はまだ解明されていない』なんてフィクションでよく聞くお題目であるが、こうして脳の反応領域が明かされていった先には、確かに今までと違う世界があるかもしれない。 -
一般向けになされた講演を本にしたもののようで、内容的には『脳のなかの幽霊』の要約版といった感じ。患者とのやり取りなどはすべて省かれていて、結果だけが述べられているので臨場感には欠けるが、要点がまとまっていて復習としてはかなり分かりやすい。
といっても、新たな部分もあり、第三章のアートフルな脳では、作者が考えている芸術の普遍的法則を10挙げ、脳の働きから芸術の解説を試みている。ピークシフトはとても興味深かった。残念ながら10すべての解説はなされていなかったが、最新刊で、今、本屋で並んでいる『脳のなかの天使』を立ち読みすると、この辺の解説が書かれている様子。はやく文庫本にならないかな。 -
前作のAbstract的存在.
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「脳のなかの幽霊」の著者による脳神経学に関する続編。
前著が500ページを越す「大作」だったのに対して、こちらは5章160ページで手軽に読める。講演を元にしているので、口語調で内容も前以上に分かりやすい。
前著が「症例紹介+自身の見解」という臨床的な構成だったのに対して、こちらはもっと自身の見解を全面に出していて、症例も挙げながらも様々な仮説を設定して、それを解明するための思考実験を繰り返す、というなかなか刺激的な本になっている。総じてボリュームは少ないが、それを感じさせない程の示唆に溢れていて、相変わらずの名著と言えると思う。
でも、「言語」と「言語化」が自己認識(Self Awareness)の鍵であり、言語能力を持つことが意識を持つための必要条件である、という点については、そうなのかなあ???と思ってしまった。他には、幽体離脱や金縛りについては脳内の電気的な障害、要するに軽い癲癇だと言っていたりするし、人によってはもっと、え?と思ってしまうかもしれない。まあ、これについては僕は同意だけど。
あ、哲学の事を、「論理脳神経学」と呼ぶのは皮肉が効いていて好きです。
唯一の不満は邦題。今回の原題は"Emerging mind(現れつつある心)"なのに、何で関係無い続編タイトルにしちゃったんだろう。もちろん内容が重複していたり引用している箇所も多いのだけど、基本的に別の本なんだし、ちょっともったいないなあと思った。
それでも文句なしに☆5つ。 -
「脳のなかの幽霊」を簡潔にまとめた感じ。新しい事実の発見などはないように思われるけど改めて脳の中は不思議な宇宙だなと思う。
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前作『脳のなかの幽霊』のダイジェスト版のような内容。
だいたい書いていることは同じだけれど、長いものは読みにくいなあという人には入門編としてこちらの方が読みやすいか。 -
芸術の章はちょっとマユツバな感じがしてしまうが、特に後半、言葉の起源と発達を別物として論じるところや、意識や自己についての考察はたいへん興味深い。実際にあった奇妙な症例の紹介と、それを通して語られる著者のユニークな考察を読みながら、色々なことが頭に浮かぶ。常にはあまり考えないことを俎上にのせさせてくれる。注と参考文献も充実していて良い。
伊藤計劃「ハーモニー」「from nothing,with love」を思い起こす。ゾンビは生きているといえるか?意識とはなんだ?と考えておられたんでしょうね、彼も。 -
「脳の中の幽霊」2作目。引きこまれながら読んでしまった。筆者の仮説・検証のプロセスは面白い。
「指を動かす」と自分が意識する”1秒前”に、「指を動かす」ための脳波が出ていた、という箇所は非常に驚いた。
自分の意識で統制されて生きているのではなく、自分の中にある無意識が、「意識が統制している」と思わせながら、自分自身を動かしているのかもしれないな、と思った。とすると、意識、自分が認識している眼に見えるものがすべてだ、と思ってしまうことは非常に危険では、と個人的には思った。
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