ガリバー旅行記 (角川文庫)

  • KADOKAWA/角川書店
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レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042982180

作品紹介・あらすじ

小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想像力で、スウィフトが描いたこの奇想天外、ユーモアあふれる冒険譚は、けれどとびきり鋭く辛辣に、人間と現実社会をみつめている。読むたび発見を新たにする、冒険旅行小説の歴史的名著。抜群に読みやすい新訳版。

感想・レビュー・書評

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  • 諷刺するならこういう風に、というのを教わりました。すごいね。

    リリパット(小人の国)、ブロブディンナグ(巨人の国)の話はわりと好きで、諷刺も含めて面白く読めたんだけど、
    第3話「ラピュタ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリブ、そして日本渡航記」で、どうもスウィフトはただただ毒を吐きたいだけじゃないか…と信用できなくなってきて、
    第4話「フウイヌム国渡航記」ではもう読み進めるのもしんどくなってしまった。

    文学史に残る名作だけのことはある。この胸くその悪さは。

    とくに科学者や夢想家がバカにされているのがぼくにはつらくて…
    たとえ側から見てどんなにバカバカしくても、こんな風に笑っちゃいけねえよ、と、思うのです。
    そういう人たちのおかげでいま21世紀だからね。
    18世紀のスウィフトには想像もできなかったろうけどさ。

  • 何故今になってガリバー旅行記を改めて読んでみようと思ったのか全く覚えていないのだが、絵本しか知らなかった私がそのイメージで気軽に挑んでいい本ではなかった。絵本の筋書きは本当になぞっただけで、全く子供向けではない。読み終えた今ではむしろ、なんでここだけ抜粋して絵本にした?という感じ。
    旅行記と名のつくように、主人公があらゆる国(もちろん架空の国)を渡航した記録なのだが、国を巡っていくにつれて文章全体が厭世的になっていく。最初は旅行記らしく、その国の政治や風土、慣習など詳細に記しているものの、ページを捲るにつれて政治や科学への言及が多くなり、遂には人間の愚かさや醜さについての記述が対話文のまとめとして半数を占めるようになる。著者の人間嫌いや、当時の社会への批判・失望を諸々ぶちまけました!感がすごい。けれどただ闇雲に感情に任せて書き連ねたものでは勿論なく、ちゃんと物語として成立しているところが面白い。主人公の思想が段々と変化して、遂には自分の家族と触れ合えなくなるほど人間嫌いになってしまう過程は興味深いし、フウイヌムのヤフー(人間)に対する見解はこちらがハッとするほど鋭く容赦がない。読み終えてから改めて巻頭の手紙を読むと、なるほどこういうことかと納得できるようになっている仕掛けも面白かった。
    ところでラピュタがガリバー旅行記に出てくるとは思わなかったので驚いたのだが、ここがきっと初出なんだろうな。日本もフレーバー程度に出てくる、ということは当時のヨーロッパ世界から見た日本はラピュタ並に得体が知れなくて空想的な国だったのかもしれない。

  • 子供の頃に絵本で読んだ「小人の国」と「巨人の国」。
    その感覚でワクワクして読むと、痛い目に遭いますf^_^;
    これは
    オブラート1枚にしか包んでいない風刺物語です。

    第4章に出てくるフウイヌム国は
    「理想郷」として書かれていたワケですけれども
    「理性のみが存在する世界」=「真の理想の世界」となり得るのか、
    というのは、甚だ疑問。
    このあたり、後世のディストピア小説に繋がる気配アリ。

    ちなみに
    同じく第4章では
    引きこもりヤフーが出てきます。
    そういう点も含めて
    現代に通ずる問題提起が全編にわたって散りばめられており、
    やはり、名作と言われる何かを持っているな、という印象を受ける1冊です。

  •  正直<風刺文学>というキャッチフレーズにはいささか苦手意識がある。まあ自分の好きなSFだってそもそも現在の社会や人間といったものを戯画化することが土台にあるようなジャンルなのだから、明らかに自己矛盾しているとは思う。しかしどうも<風刺>という言葉に、現在の社会の様々な問題を浮き彫りにした上で「現在の社会を変えよう」とか「より良い社会にしよう」といったニュアンスを感じてしまって、消極的かつ悲観的なブログ主は「そんな立派なこと言われてもさ・・・。大体変えられるのかよ世の中なんて」みたいな気持ちが生じて、誰もそんな事を言っていないのに勝手にネガティブになりついつい<風刺>というとどこか警戒心があったのである。しかし読んでみると凄く面白い!約300年前だというのにその笑の感覚の違和感のなさ、発想の奇抜さに驚かされる。<風刺>という言葉を一面にしかとらえられていなかったことに気づかされ、反省した。<風刺>というのは別に目下の問題を解決しようという著者の意図から生まれるものを指す言葉とは限らず、もっと大きな視点からこれまでの常識に囚われず別の角度から社会や人間を見直してみようという方法論のことなのだ。
     本書の影響も多大なるものがある。本書を読んだことが無くてもリリパット、ラピュタ、ヤフーといった言葉は誰でも知っている。それらの言葉の息の長さには驚かされる。SFファンとして一読の印象はレムの泰平ヨンシリーズ。いろんな星を巡るユーモラスかつ深遠なところが似ている。その他ラファティのカミロイ人ものとか。あとは下記の様に『家畜人ヤプー』『得たーモローの島』。

     まずガリバーから従兄への本書出版に関する手紙があり、また序文で「ところどころ単調な数字の記録などを端折っている」という入れ子構造になっていてメタフィクション構造になっているのは見逃せない。また司祭職にあり著名人であったスウィフトの名も伏せられガリバーの手記という形式で当初出版されたため、ノンフィクションと思っていた読者も多かったそうだ。
     さて第一話。小人リリパットの国に捕えられてしまう絵は有名で、少なくともブログ主の様な世代で見たことが無い人などいないのじゃないかと思う。実はそのリリパット社会も当時のイギリス社会を反映した部分があるようなのだが、そこはラジオの解説に詳しいので置いておく。唸らされたのは十二分の一というリリパットの大きさを始めとする架空であるにも関わらず、努めて科学的であろうとする描写だ。家、軍艦などの描写にこれでもかと数字が並ぶ。社会についても経済の様な大きい視点や家族関係(子どもは両親から離れて育てられる)の様な個の視点まで実に細かく考察されている。また「リリパットより小さい人間もいるのではないか」というさらに想像が広がる様な一節もある。これらはSFの外挿法を軸とする創作方法に直結するのではないだろうか。まあそんなに硬い事は言わずとも宮殿の火事を小便で消して大問題になるところなんかは爆笑ものである。
     第二話巨人の国。こちらも大きさについての詳細な数字が登場し社会体制についても軍事、教育、法律など幅広い分野についての細かい描写がある。また第四話で顕著なのだが、人間側の社会(特にイギリス)の辛辣な説明があり、そこにスウィフトの本音が伺える。今度は本人が小さいのでいつもいっぱいいっぱいな感じ(笑)だが、これも楽しい冒険譚に仕上がっている。
     第三話は他の三つのパートと違って、いくつかの国の話が並ぶ。実は一番SFっぽい部分でもある。
     まずは空中都市ラピュタ。空中に』浮いているというのがちゃんと疑似科学的に説明されているんだよなあ。磁力ということで素朴なんだが理屈がそれなりに通っているのがSFファン的に嬉しくなってしまう。ちなみに『天空の城ラピュタ』は観たことが無いので言及できません(関連は薄めの様だが)。いざとなったら下界の世界バルニバービを押しつぶすと脅迫して支配しているというヒドイ話だが、それが不成功に終わり妥協しているという辺りのなんとも「よくありそうな感じ」もコワい。バルニバービの巨大研究所のマッドサイエンティスト大集合!といった奇天烈な研究の数々は圧巻。言語実験、人体実験(脳の手術ヤバい)呆気にとられるほどで個人的にはここが面白ツボマックス(何と<暗記パン>みたいなのも出てくる)。科学者のすすめでやったプロジェクトが大失敗に終わる様子もぬかりなく描かれ、これまた現代にも通じるエピソードである。
     グラブダドリブは「魔術師と呪術師の島」。これには過去の人物を甦らせて実際にあったことを聞けるというタイムスリップものみたいな話が登場してまたまた腰が抜けそうになる。300年前に既にこのアイディア書いているとはねえ。しかし何人もの話を聞いた挙句、歴史の記述者がいかにいい加減であるかとか人間がいかに愚かであるか気づき嫌になってしまうというネガティブなオチが何とも。あと呪術により死者を甦らせるというのはゾンビ的でもある。
     ラグナグには不死人がいる。一見夢の様な不死人だが、それは死なないだけで次第に時代に合わなくなり最後には社会の負担となり冷遇されるという悲惨さ。これまたらしい。
     日本は一応出てくるものの大したエピソードは無い。
     そういったわけで奇想炸裂の第三話は正直一番好きなんだが、阿刀田高解説では第三話に関して「(発想が)子どもっぽいとも言える」と。えーっ、そこがイイんじゃなーい!(笑)
     第四話フウイヌム国。これが内容的にもクライマックスで、ガリバーが最終的に心酔した嘘のない高潔な馬たちの国。フウイヌム国では人間はいやしいヤフーという獣として扱われており忌み嫌われている。なのでガリバーは次第にその存在を認められるもののあくまでも主君の可愛がるペットとしての特別扱いでしかない。しかしフウイヌムの文化に深い尊敬の念を抱いたガリバーはむしろ人間社会に帰るのを望まなくなる。結局追い出され、やむなくイギリスへ帰国し家族の元に戻るのだが周囲に醜いヤフーがいるのが嫌でたまらない状態になってしまうのだ。解説にもあるように実に厭世的なラストである。人間社会への鋭い批評も目立ち、スウィフトの最も言いたかったことが出ているのだろう。ちなみに『家畜人ヤプー』は(上しか読んでいないが)これを基にしていたことが今回よく分かった。またガリバーの心理は『ドクターモローの島』の主人公にも通じるものがある。
     

     他に全体を通じて印象的だったのは言語的な考察が実に多いこと。それぞれの国は別々な言語を持っていて、習得の過程も描かれている。言語抜きに文化が成り立つかといった根源的な問いかけすらみられた。その他にも笑いをちりばめつつ社会や人間への深い洞察が感じられる。一方糞尿についてのエピソードも多い。クローネンバーグの『マップ・トゥ・ザ・スターズ』にも放屁が出てきたが、あれは人体を客観的に見ているといった感じで、スウィフトの場合は稚気というか一種の子どもっぽさの現れの様にも思われる。
     スウィフトはかなり偏屈な人物でもあった様で、解説や上記のカルチャーラジオでも触れられていたが、二人の女性と三角関係を続けた上にどちらとも上手くいっていなかった(片方は自殺)という有様。女性描写には明らかに偏見を見てとれる。イギリス国教会の司祭でそれなりに社会的に地位にあったが、政治で失敗、僧職でもトップには立てなかったということで個人としては歪んだ自意識を抱えた付き合いにくい人物であったのは間違いない。しかしそんな人物がオブセッションをバネにして名作をものにする。不思議なものだなあ。

  • 1.目的
     これまで知っていた小人の世界だけじゃない旅行があることを知り、読んでみたくなった。

    2.得られたこと

    表紙の真ん中にLaputaって島がある。

    島の中心に回転する磁石が内蔵されている飛行島だ。

    なんと限られた範囲なら自由に移動ができるのだ。

    ジブリの「天空の城ラピュタ」の原案だ。

    ガリバー旅行記がこども向けじゃない理由がよくわかった。

    小人の島、巨人の島、空飛ぶ島、馬の島などの生活を通じて、人間の愚かさにフォーカスしていく。

    多様性を考える上で大切なことが描かれていた。

    日本も若干登場するのが興味深い。

    3.アイデア

    ダイバシティをテーマにするときに引用したい。

  • 結構な文章量だが、冒険記としては世界的な傑作ということもあり楽しめた。著者の生きた時代背景(イギリス)を知っていると、より理解が深まると思う。

  • 国際政治を寓話にした物語。人間の愚かさを風刺した作品でもある。作者はどれほど人間を嫌悪してたのかしら。少し拗らせた人間観にも感じたけど、名作はやはり名作。
    法律は元来人間を守るためのものなのに、なぜ法律によって人が苦しめられるのか、という指摘にはハッとした。

  • 長い。長いけど、皮肉たっぷりで、且つ冒険心を掻き立ててくれる面白い小説だった!

  • 小人国、大人国、空島、馬の国の四部構成。空島までは知ってたけど、四つ目の馬が猿人(ヤーフ)を統治する国は知らなかった。今読むとすげー風刺が効いてるんだけど、ヤーフのくだりは人間の愚かさ・不気味さを完璧にさしてて、めっちゃくちゃ陰惨…大人になってから読むと、違うなあ。

  • 小人、巨人、ラピュタでギブアップ。自分はどうにも熱中できずここで止めます。

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著者プロフィール

ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)(1667 - 1745)
アイルランド生まれの英国十八世紀を代表する作家。『控えめな提案』『書物合戦』『桶物語』などの作品がある。

「2021年 『ガリヴァー旅行記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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