福沢諭吉「学問のすすめ」―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

制作 : 佐藤 きむ 
  • 角川学芸出版
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043073030

作品紹介・あらすじ

国が独立存亡の危機にあった明治維新直後、福沢諭吉が、おおいに学問をしようと人々を励ましベストセラーとなった名著。近代国家へと邁進するなかで、近代人としての生き方を示唆したアドバイスは、国際化の進んだ現代にあっても、求められる日本人の姿を教えてくれる。

感想・レビュー・書評

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  • (2013.04.13読了)(2011.10.10購入)
    【4月のテーマ・[福沢諭吉を読む]その②】
    「「文明論之概略」を読む(上)」丸山真男著、を読んでいると、「学問のすすめ」がしばしば引用されるので、次(中巻)に進む前に「学問のすすめ」を先に読んでしまうことにしました。
    「学問のすすめ」というより、「人生論」というか、人間如何に生きるべきか、というようなことが書いてある本です。
    学問をして、自立した人間になり、自由な発想で、社会の進歩発展に貢献するような人間になりなさい。西洋の優れたところを取り入れるのはいいが、部屋で用便するとか、用を足した後手を洗わないとか、風呂に入らないとか、いうことまではまねなくてもいい。
    進歩発展のためには、自立した人たちの討論が有益だ。そのためにも言論の自由が必要だ。女性だからといって、男性より劣っているとか、学問する必要がない、とかいうのは間違っている。等々、今の日本でも実現していないような、主張がなされています。
    現代にも読まれ続けているわけがわかります。

    【目次】
    はじめに
    初編 学問をすれば、誰もが賢人になれる
    二編 才知と徳行を磨け
    三編 世界中すべての権義は平等
    四編 国の独立は民間事業の振興から
    五編 国民の独立心こそが文明の精神
    六編 国法は、なぜ貴いか
    七編 国民は、政府とどう対応すべきか
    八編 自分の考えで他人を束縛してはならない
    九編 未来へ文明の恩恵を遺そう
    十編 艱難に耐えて学問に励もう
    十一編 「偽君子」を看破する力を養おう
    十二編 談話・演説は書き言葉に勝る 見識・品行を高尚にしよう
    十三篇 「怨望」は不善中の不善、これ以上の悪はない
    十四編 人生にも「棚卸」が必要 「世話」をするには「保護」と「命令」の配分が大切
    十五編 信疑を見分ける事物を取捨できる力を養おう
    十六編 物欲を押さえて精神の独立を果たそう 「心事」と「働き」とのバランスを保とう
    十七編 人望を得る道は交際を広くすることから
    参考 『福沢全集諸言』「学問のすすめ」
    《解説ノート》
    エピソードからみた福沢諭吉
    福沢諭吉略年表
    読書案内
    あとがき

    ●役立つ学問(12頁)
    やらなければならないのは日常生活に役立つ学問です。例えば、いろは四十七文字を習い、手紙の書き方、帳簿の付け方、ソロバンの練習、はかりの扱い方などを覚えることです。
    地理学とは、日本国中はもちろん世界各国の風土の道案内をしてくれるものです。窮理学(物理学)とは、自然界すべての物の性質を見きわめて、その働きを知る学問です。歴史とは、年表を詳しくしたもので、世界各国の昔から現代に至る事柄を探求する書物です。経済学とは、一世帯の家計から国家財政に至るまでのことを説いたものです。修身学(倫理学)とは、自分の行いを正しくし、人とうまく交流して、社会人として生きていくための基本的なモラルを述べたものです。
    ●学術・経済・法律(45頁)
    現在の我が国の状況を考えて、外国に及ばないものを挙げるならば、学術・経済・法律の三つかと思います。社会の文明は、この三つと深くかかわっていて、これらが盛んにならなければ国の独立が不可能なことは、有識者の論を聞くまでもなく明らかです。
    ●商工業(66頁)
    西洋諸国の歴史書を読んでみますと、商工業のなかの、どれ一つとして政府の創業によるものはありません。そのもとは、みな中流の地位にある研究者の考案によるものです。蒸気機関はワットの発明、鉄道はスティブンソンの工夫、初めて経済学の原理を研究して商法を一変したのはアダム=スミスの功績です。
    ●学問は手段(68頁)
    だいたい人間の力量というものは、ただ読書からのみ得られるものではありません。読書は、学問をするための手段です。学問は、実際に事を行うための手段です。実地に体験して習熟するのでなければ、決して優れた力量は生まれません。
    ●法律(71頁)
    国民が政府に従うのは、政府の作った法律に従うのではありません。自分が作った法律に従うのです。国民が法律を破るのは、政府の作った法律を破るのではありません。自分が作った法律を破るのです。
    ●男も女も同じ人(102頁)
    今の世では、力ずくで人の物を奪ったり、人の名誉を傷つけたりすれば、罪人として刑に処せられます。それなのに、家庭の内では公然と人を辱めて、これまでとがめられなかったのはどうしたことでしょうか。
    ●社会のため(121頁)
    人間は、ただ一身一家の衣食が足りていることで満足してはいけない。人間の天性にはもっと高い務めを果たす力があるのだから、人間交際の仲間に入り、社会の一員として、その身分にふさわしい場で社会のために尽くさなければならない
    ●学問の本質(143頁)
    学問の本質は、生活にどう活用するかということです。活用のない学問は、何も学問しなかったのと同じです。
    ●学問に励む(145頁)
    観察・推究・読書することで知識を蓄積し、談話することで知識を交換し合い、著作・演説をすることで知識を一般に広めるのです。
    ●世話の意味(174頁)
    世話という言葉には二つの意味があります。一つは、保護という意味です。もう一つは、命令という意味です。
    ●「婦人論」(182頁)
    今日の人間社会においては、男子は外で働き、女子は家を守るというのがごく自然のようですが、スチュアート=ミルは『婦人論』を著して、遠い昔から動かすことができないものとして続いてきた、この習慣を破ろうと試みました。
    ●生き生きと明るく(214頁)
    表情や容貌が生き生きとして明るいのは、人間として守るべきモラルの一条件であって、交際上最も大切なものです。
    ●『文明論之概略』(254頁)
    文明の本質に関する体系的な考察
    ●読書案内(280頁)
    『文明論之概略』福沢諭吉著
    『「文明論之概略」を読む』丸山真男著、岩波新書、1986年
    『福沢諭吉伝』石河幹明著、岩波書店、1932年
    『福沢諭吉』小泉信三著、岩波新書、1966年
    『福翁自伝』福沢諭吉著
    『福沢諭吉の手紙』福沢諭吉著、岩波文庫、2004年

    ☆関連図書(既読)
    「福澤諭吉」西部邁著、文芸春秋、1999.12.10
    「「文明論之概略」を読む(上)」丸山真男著、岩波新書、1986.01.20
    (2013年4月18日・記)
    (「BOOK」データベースより)
    国が独立存亡の危機にあった明治維新直後、福沢諭吉が、おおいに学問をしようと人々を励ましベストセラーとなった名著。近代国家へと邁進するなかで、近代人としての生き方を示唆したアドバイスは、国際化の進んだ現代にあっても、求められる日本人の姿を教えてくれる。

  • 訳文は読みやすいし、巻末の解説もよくまとまってる。

  • 生きていくうえでのヒントになるような言葉がちりばめられている。
    次は現代語訳ではなく、原文で読んでみたい。

  • 今更遅いが、福沢さんがつくった慶應を卒業したかった。

  • 読みやすい口語訳にして分かりやすい内容。
    棚卸は必要ですね。

  • 11年03月、読書会課題図書。

  • 現代語に訳してあるので読みやすい。陳腐な言い方だが100年も前の人の言葉とは思えない。この本の内容を知ることが目的ならば、がんばって原書を読むよりもオススメ。福翁自伝も面白かったが、私はこの本を読み、考え方を知り、一気に諭吉ファンになった。

  • 諭吉さんのご本。優しい言葉で書かれてあったから、読みやすかったです。諭吉さんの全てに賛同はしませんが、為になる事も書かれてあります。でも、結局は「実行力」なんですよねぇ。。。

  • 読みやすい文体なので、四の五の言わず諭吉さんの啖呵を端的に読みたい御仁におすすめ

  • なぜ学問をするのか。そして、学問を修めた者の責務とは何なのか。福沢諭吉はその答えを、「文明の進歩のため」そして、「国家の独立を得るため」としている。

    学んだものは、活かさなければならない。少し学んだだけで、それをただのステップにして職に就き、日々の暮らしを保つのに腐心するだけでは、個人はそれでいいだろうが、文明が進歩するのに寄与するには至らない。福沢は例として、世の中のすべての人が、自分の家計をやりくりすることのみを考えていたとしたら、新しいものは生まれることなく、ずっと同じ文明水準のまま時代が過ぎて行くだろうとしている。

    原書は明治初期に著されたものである。元々、小冊子のような形で短い論評を断続的に発行した、「シリーズ本」であったようだ。発行当初のコンセプトは初学者に向けたメッセージであり、子どもに向けて話すような非常にわかりやすい内容であったが、次第に近代社会のあり方について、日本の当時置かれていた状況に強い危機感を持って読者に訴える内容となっている。

    そして、福沢が原書中で日本の将来について心配した内容は、後年になっておよそその通りの形で日本を狂わせ、現代に至っている。当時の学者とは、ここまで国の行く末を見ることができるほど学問を究めていたのかと唸らされたほど、福沢の指摘は的を射たものである。

    現在の日本はどうだろうか。福沢が主張した「国家の独立」は少なくとも保たれているとは言い難い。学問は文明を拓くためにではなく、大学の名前を得るために行われている。それをどこにも活かさずに仕事をし、まさに家計のやりくりに腐心するのみの人間が大多数である。
    全体が豊かになったことで、日本人は後ろ向きになったのではないだろうか。まさに今、文明を拓いた人々の論考に触れ、行動を起こすことが我々に、特に若い世代に求められているのではないかと考える。

    なお、本書の現代語訳は非常にこなれていて、やさしい言葉遣いになっているので大変読みやすい。これなら、中高生が読むのにも入りやすいと思われる。

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