遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

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  • 角川学芸出版
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レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043083206

感想・レビュー・書評

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  • この「遠野物語」は日本民俗学、開眼の書である。
    岩手県遠野出身の小説家・民話蒐集家の佐々木鏡石が語った民話を、柳田國男が筆記、編纂した。

    題目を見ると、山男・山女・河童・天狗・神女・姥神・仙人。家の神だと(オクナイサマ・オシラサマ・ザシキワラシ)等々。
    妖怪や怪談、伝説、村の行事と多岐である。
    佐々木鏡石が代々、土地で伝えられている話を直接聞いたり、中には近親者や友人の話、自身の体験とリアリティー溢れている。

    書店で購入した時には気付かなかったが、"遠野郷本書関係略図"なる地図が付いていた。

    地図で場所をチェックしてみると、実際この目で確かめてみたくなる。
    私は土淵村辺りを散策したい。

    しばらく東北地方は御無沙汰しているので、弾丸ツアーでもいいから遠野郷を体感してみたい!

    できたら、白水温泉に入る余裕もあったらいいけど...。

  • 日本民俗学の父と呼ばれる柳田國男先生。
    岩手県遠野の民間伝承を採集して
    まとめられた「遠野物語」。

    日本の原風景を牧歌的に語るのではなく、
    昔話のように教訓を含んだもの、
    風習や伝説とともに、とりとめのない
    世間話のようなものも含まれているのも
    口承たるリアルさで面白い。

    目に見えない世界が信じられ
    怪異が不思議としてではなく、
    人々の生活と地続きだった古き時代。

    自然への畏敬の念、人々の暮らし。
    時に閉塞感があり、時に温かみをもって
    周囲と繋がり、年中行事で四季を感じ、
    目に見えないものを想う心の豊かさ。

    現代に語り継がれた物語などの原点も
    たくさん含まれていて感慨深く面白かった。

  • 適当に開いてみたり、巻末の索引から気になる言葉をたどってみたり。
    そんな読み方も楽しいです。

    でも、山の神や河童、言葉を話すお大師様の像が現実に存在していたら
    「楽しい」なんて言っていられなかっただろうなぁ…

    理不尽な話や理由の語られない怪異も多くて、置いてけぼりにされること数知れず。
    現代人はオチのある話に慣れすぎているのかもしれません。

  • 土俗・風俗を詳細に集められた遠野の物語

    民俗学の原点…?

    わずか数行の話を集めて、編纂されているが
    郷土史とか歴史に興味が薄い私だが
    読みたくて、ずっと探していた。

    夏休み期間で、中高生の参考にされるのか
    文庫の新版を書店で見つけた。
    暫く手元に置いて、じっくり読み返したい本です。

    各地で、パワースポットとか霊感スポットが
    人気の季節でもあるが、オシラサマ、座敷わらし、管キツネ…
    最近映画の題名になったデンデラ等の、妖かしや、ものの化、
    人々の暮らしが伺われて、200数頁に満ち溢れている。

    昔人が、自然や暮らしの中で語りつたえた話には
    合理性を超えた、奥の深さを感じる。
    関連がないが、京極夏彦作品を連想した。

  • 民俗学者が著した書物で、これほど名が知れているものは、他にはないのではないでしょうか。
    そのようなこともあり、柳田国男の数ある作品のうち「遠野物語」だけは読んでおこうと思っていました。
    「遠野物語」は文語調で書かれていますが、それほど難しくありません。「遠野物語拾遺」は完全に現代口語調なので大変読みやすいです。
    内容的には遠野地方に伝わる言い伝え等を、遠野地方出身である佐々木鏡石氏に語ってもらい、それを柳田国男が文章化したもののようです。
    とても読みやすい上に飽きることなく読めます。
    自分が幼かったころにも、「そういえば昔からの言い伝えのようなものを親や祖父母に聞かされたな」と懐かしく思い出しました。

  • お伽噺のような、でも事実として語られる話の集合体。柳田の語り口が夜話のよう。

  • ・遠野の人々は、動物も人間のような感情を持つ畏敬すべき存在、だと考えていました。

    雌狼が子供を殺され復習にやってきた時、素手で応じる猟師の話があります。
    子供への愛情から襲ってくる狼に対し、武器を持って戦うのは卑怯だと考えて、猟師は自分のワッポロを脱いで腕に巻き狼と対峙しました。その後、狼も猟師も深い傷を負ってまもなく死んでしまいます。
    文明の利器である鉄砲で野生動物と向き合うのは、ある意味では卑怯で、
    狼も人間も野生動物で、只の動物だとなった時には、素手と素手で戦うのが、最も敬虔な勝負というふうになるのだろうと思いました。
    一方で、猟師であるならばより効率よく狩ればよく、鉄砲を使わず命まで落としてしまうのはナンセンスだと考える人もいると思います。

    けれどもこれは現代人にとっては最も見えにくい(理解しがたい)、「狩猟民の精神」が垣間見えます。文明の利器によって人間はある程度、自然に勝ち、その効率の良さに甘んじてしまいがちですが、たとえば自然の猛威に触れ自然にはまるで敵わないことを思い知った時、人々のこれまでの生き方、在り方さえを問われると思うのです。
    その時、「遠野物語」は非常に大きい意味のあるものだといえて、人間が人間だけしかいないというそういう世界ではなくて、動物とも自然界ともバランスを取りながら慎ましく生きていく、現代の中では無意味に思われがちな事でも全体として大きく見据えたとき、遠野の人々の考えから学ぶことは一杯あるのだということを知りました。

  • おしらさま、座敷わらし、さむとの婆・・・大好きな遠野。曲がりやの主人の囲炉裏を囲んだ夏がよみがえります。学生時代、何回も遠野を訪れ、物話の場所をひとつひとつたずねました。やさしい暖かい方言・・。柳田さんの、この本は民俗学だけでなく、不思議な世界や、自然への畏敬がぎっしりつまっています。いつ読んでも、どのページをみても、感慨深い!日本の良さがここにあります。

  • 物語性を求めて読むこともできるが、あくまでも資料集。他の柳田著書や民俗学関連書籍と合わせながら読むもの。自分で題目からリストアップして作っていくしかない…かとおもいきや京極さんが書いてくれました。

  • 昔話が好きなので、面白く読めました。
    読む前は怪談系のお話が多いのかと思っていましたが、こどもの遊びや、地名の由来、初めて飛行機がこの地方の上を飛んだ日の話などもあって、思っていたよりも内容が多彩でした。
    昔はこういったいろんなお話が親から子へ、子から孫へと口伝されていたんだなぁ。
    将来自分にこどもができたら、こういった昔話をたくさん読んで聞かせてあげたいな、と思いました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「思っていたよりも内容が多彩」
      どうしても今の私達が読むと怪異譚の方がインパクトが強いですからね、、、纏めてなかったら日常の話は消え去ってい...
      「思っていたよりも内容が多彩」
      どうしても今の私達が読むと怪異譚の方がインパクトが強いですからね、、、纏めてなかったら日常の話は消え去っていたでしょうね。
      2013/03/04
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著者プロフィール

1875年兵庫県生まれ。農商務省勤務、貴族院書記官長を経て、1930年代以降は民俗学の著作に専念し、研究会や雑誌を主宰した。おもな著書に、『遠野物語』『木綿以前の事』『海上の道』など。1962年没。

「2018年 『祭祀習俗事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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