パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)

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本棚登録 : 1046
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043405015

感想・レビュー・書評

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  • 大学の時に同級生が「読んだが意味がわからなかった」と言っていたので長年ほっぽっていたけれども、ようやく完読。なるほど、これはわからなくて当然だ。
    実のところ、映画やゲームも一切見てこなかったので、どういうたぐいのホラーなのか知らずに読み始めたのだが、まずびっくりするのは、本の半分までホラー要素がゼロ。そこで何を語っているかというと、多くの部分が組織であり細胞の取り扱いなど、実験にまつわる話。書かれたのが1990年代前半だが、いまだにさほど変わっていないあたりが救いとなっている。

    後半でようやくおまちかねのホラー部分になるのだが、えー、割と陳腐な感じですね。精神的な怪談で入って、クトゥルー的スライム、それが形を作って…という多彩な反面、斬新さは特に無し。

    作者はどちらかと言うと、本を読んできた人ではなく映画を見てきた人なのかなと思われるのは、「ターミネーター2」「風の谷のナウシカ」「AKIRA」などを彷彿とさせる描写が多々見られた。

    えーと、あとはきついこと書きます。

    多分この本、実験を知らない素人が読んでも、ちんぷんかんぷんなところが非常に多いです。というのも、研究者には常識でも、その他のヒトには聞いたことのないような単語が、全く説明なくポンポン飛び出してきます。それらが有機的につながっていくわけでないので、必要ないっちゃあ無いんですが、読みようによっては「何をどうした」が実験器具の名前を知らないとわからない可能性があります。例えば「カラムスタンドを振り下ろした」など。ドーキンスを突然出してくるのもどうかねえ。

    また、実験に関する描写以外が非常に浅く、大学へ車を飛ばすシーンの描写などは、支離滅裂でどうなのかなあと思いましたね。

    さらに気になるのは、作者が専門としている、細胞生物学、特にミトコンドリアに関する部分以外は、それなりに辻褄の合うように、メカニズムが丁寧に書かれている(例:ミトコンドリアがエネルギーを作る→発火、父性のミトコンドリア)のに対し、本旨のオカルト部分(細胞が意思を持つ、テレパシー、念力)は唐突で、そのコントラストの差で少々冷めてしまった。

    ついでに言えば、さすがにNatureを軽く2本出しちゃうのはどうかと思うよね。

    ということもあって、なんとも「青い」内容となっております。修士くらいの学生の時の作かと思ったら、一応博士課程の学生時の作品とのこと。納得。

    細胞を扱ったことの有る、生物系の大学4年以上なら、まあ読んで損はありません。福岡某や養老なんとかの本を読むより、とんがっていて断然面白いです。

    しかしこれ、こんな本なのに、よく売れたよなあ。

  • 最初から最後まで専門知識が多すぎて、頭が痛くなった。
    人間がイヴに溶かされる描写に少しぞっとしたが、他にはホラーの要素があまりなかった。

  • 分厚い。なのに入り込みにくくて、読むのに2週間位かかってしまった。要約するとミトコンドリアのバイオテロ的な話。
    狙いはホラー・サスペンスラインだと思うけど、まだまだ遠い感じ。
    じわじわ迫り来るミトコンドリアの恐怖=ホラーになるはずだと思うけど、正直ミトコンドリアの恐怖って・・・ねぇ。進化したミトコンドリアが人間に取って代わる新生物を誕生させるらしいけど、人間が新生物に駆逐されるってあまりに現実離れしすぎて恐怖感ない。しかも相手がミトコンドリア。それだったらまだ目に見える物のほうが想像しやすい。イカを食べた人が寄生虫に操られてイカを飼いだして、そのうち地球が知性を持ったイカ大魔王に乗っ取られるとかさ。ミトコンドリア・イブの肉体がグチャグチャしたりドロドロしたりも、表現力の限界か想像力の麻痺か、全然グロくない。
    着々と進行するミトコンドリアの陰謀と気づかない研究者、迫り来るイヴと腎臓移植患者ってのがサスペンスチックだったけど、とにかく話全部が長いから、「来る来る」の恐怖より「早く来て。そして終わって」の大きい。クライマックスの戦闘シーンなんてもう表現が長くて単調で、見せ場なのに盛り上がりもなくサクサク読み飛ばしてしまった。

    バイオテロなんてどの人間にも危険がある、ある意味万人に等しい恐怖を与えられるテーマなのに、全然怖くもドキドキもハラハラもしなかったのは、偏にミトコンドリア=みんなの体にあるよ、怖いよ。って関連付けが成されなかったからだと思う。この長い物語の一部をその関連付けに回してたらあるいはめちゃ怖い話になったのかも。腎臓移植手術の詳細とか聖美の生い立ちとかさ、そこまで必要なくね?

    10/5/2012

  • 専門用語多くて難しい。
    そしてグロい。でも発想はすごいと思う。

  • 莫大な量の専門知識には驚かされるが、ストーリーが・・・・。
    特に後半がぐだぐだ。

  •  ホラー?。専門知識を分かりやすく使ってよく出来た話の構造を作ったと思います。エンターテイメントにおもしろい。ホラー?

  • ミトコンドリアに可能性をみた!
    きっと実際にはないだろうと思いながら、どこかでもしかしたらと思ってしまう。

著者プロフィール

■瀬名 秀明(セナ ヒデアキ)
1968年静岡県生まれ。仙台市在住。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。薬学博士。
1995年に『パラサイト・イヴ』で第2回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。
1998年には『BRAIN VALLEY』で第19回日本SF大賞を受賞。
SF、ホラー、ミステリーなどさまざまなジャンルの小説作品に加え、科学・ノンフィクション・文芸評論など多岐にわたる執筆活動を行っている。
2011年に藤子・F・不二雄作品のノベライズとなる『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』を手がけ、大きな反響を集めた。
ほかの著書に『大空のドロテ』(双葉社刊)、『月と太陽』(講談社刊)、『夜の虹彩』(出版芸術社刊)、『新生』(河出書房新社刊)、『この青い空で君をつつもう』(双葉社刊)などが、また近著に『魔法を召し上がれ』(講談社刊)がある。

「2019年 『小説 ブラック・ジャック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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