妖精が舞い下りる夜 (角川文庫)

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感想 : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043410026

作品紹介・あらすじ

人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、生きることそのものの哀しみを心の奥から引き出すことが小説の役割ではないだろうか。書きたいと強く願った少女は成長し作家となって、自らの原点を明らかにしていく。

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんの小説、エッセイ、声、語り口、外見…小川洋子さんが大好き。

  • あの「博士の愛した数式」を書いた作者の駆け出しのころのエッセイ。
    どんな風に言葉を紡いて小説を書くのだろうと思って読んでみました。
    真摯に言葉に向き合うひたむきな姿勢と、書くことが好きという想いが伝わってきた。
    印象に残ったのは「小説は言葉によってしか表現できないものだが、それだけですべてを表現しつくしてしまうことも、またできない。言葉が持っている目に見えない模様を見せたい」。そう、小説って言葉で表されているもの以上にその裏に感じる情景や思いや手触りといった諸々のものを感じさせる。私は一読者としてそれらを感じられる読書が好き。
    あと印象的だったのは、出産した時に感じた哀しさの話。産声に切ない哀しさを感じたって。人は哀しさを抱えて生まれてくる。手付かずの純粋な哀しさ。曰く「人の心を掘り起こしていって、一番奥の髄にある哀しさを表現することが、小説を書くということではないだろうか」。私が彼女の小説に心を動かされる訳がわかったような気がしました。
    読み飛ばしたところも多々あったけど、印象に残る箇所のあるエッセイでした。

  • 綴られる日常にも小川さんの小説の世界観が密やかに棲んでいるようだった。同じ景色を見ていても、どう感じて、どう捉えて、どう大切にしていくか、それは人それぞれだけれど、小川さんの穏やかな感性はそれらのあらゆる面、光も影も傷も淀みも、丁寧に掬い上げている。だからこそ、小川さんの小説はこんなにも哀しくて愛おしい。感じる手触りが、わたしも持って生まれたはずの純粋な哀しさの色だったらいいな。

  • 再読です。小川さんの「書きたい」という思いをあらためてしみじみと強く感じるエッセイでした。初期の頃のエッセイなので、あの小説はこんな思いで書かれたのだ、というところが興味深いです。出産と子育て、阪神タイガース…阪神タイガースの応援日記が、なんだか小川さんを身近に感じました。日々の切り取り方が、エッセイという形でも、小川さんだなと思わされます。面白かったです。小川さんはやっぱり、物語を紡ぐために生まれてきたのだなと思いました。これからも読みます。

  • どこかに忘れ去って来た思い出たちを、ふっと思い出す。

  • 書くことに対する情熱のある方なんだと感じた

    同じ内容が繰り返されるのは気になった

  • 30歳前後のときに書かれたエッセイ集。
    『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、子供が生まれて数年という期間。

    自省的な文章であり、書くことがいかに小川さんにとって大切でかけがえのないものなのかがひしひしと伝わってくる。
    早稲田に通いながら小説を書き始めた頃の思い出が印象深い。
    決して芽が出ない作家志望者が大勢いる中で、ずば抜けた才能を持っている人ではあるけれど、ひたむきに書き続けることが一番大切だと感じられた。

    後半に出てくる熱狂的な阪神ファンならではのエピソードも面白い。
    阪神の勝利と読売の敗北を何よりののぞみとしながら、暗黒時代の阪神の戦いに一喜一憂する健気さであるよ。

    作家としてだけでなく、母としての姿が垣間見れるのも新鮮である。

  • やっぱり好きな小説家のエッセイなんて読むもんじゃない。
    神様の日記なんて読みたくない。

  • 衒いのない自然体の小川さんを垣間見れました。さりげない日常も小川さんの無垢な心の目で捉えればそれは珠玉のシーン。ステキなエッセイ集です。

  • 古書店で買ったために帯がなく、タイトルからは、てっきり小説だとばっかり思っていた。もっとも、読後の今は、ぴったりなタイトルだと思っているのだが。小川洋子という人は、生き方においても誠実で、小説に向かう姿は真摯そのものだと思う。彼女の小説作法は、本人も述べているように、最初に枠組みや構想があるのではなく、1つ1つの言葉を紡いでいくことによって、そこに立ち現れてくるものであるようだ。感受性もまた、きわめて細やかで、そして豊かだ。例えば、『想い出の歌』などを読むと、エッセイならではの面白さが伝わってくる。

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著者プロフィール

1943年 鹿児島県生まれ
1974年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位
取得退学

主な訳書
テオプラストス『植物誌1』(京都大学学術出版会)
フィンレイ編著『西洋古代の奴隷制』(共訳、東京大学
出版会)
クラウト編著『ロンドン歴史地図』(共訳、東京書籍)
ストライスグス『ギリシア』(国土社)

「2015年 『植物誌2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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