- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043410040
感想・レビュー・書評
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「キリンの解剖」という話のわたしと守衛さんのやりとりが心地よかった。
工業地帯?をランニングするわたしの姿とそれを見守る守衛さんの画を思い浮かべながら読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死の匂いや狂気がひっそりと織り込まれた短編集。
筆者の初期作品にも触れてみようと手に取った。
一番気に入ったのは、喘息の少女と宝石商の『第三火曜日の発作』。
『刺繍する少女』『ケーキのかけら』『トランジット』も好き。
<収録作品>
刺繍する少女/森の奥で燃えるもの/美少女コンテスト/ケーキのかけら/図鑑/アリア/キリンの解剖/ハウス・クリーニングの世界/トランジット/第三火曜日の発作 -
短編はやっぱり苦手だなぁ…
ふんわりしててなんとなく内容がつかめないまま終わってしまう
読解力が足りないだけなのかもしれないけど -
怪談がかった話が大半の短編集。表題作なんかは」純文学なんだけど。
あいかわらず、特にこれというでもない言葉を取り上げてそこからどんどん想像して、大体の場合怖い方に持っていく小川洋子流の言葉の昇華方法が素晴らしい。
本作の場合、言葉というよりも、キリンや寄生虫というような生物が多いのだけれども。ぼろ屋の王女様なんてのは、小川洋子らしいなーというファンタジーでもある。
角川から発売されており、表紙もかわいらしくされているのは、内容も割と軽いタッチが多いのを表しているのではないかと思う。
芥川賞などと気負いせず読めるので、若い人にも勧めやすい1冊だ。 -
いろいろな短編集。
共通点は心のひだが言葉にされている点。
個人的にはこの作家さんは短編じゃないほうが良い。 -
善人として生きるのは、限界がある。誰もが両義的で、言葉にしてはいけない闇を抱えている。そういう短編集。
どれも心に強い染みを残していった。 -
小川さんの小説に出てくる人たちは男性も女性も老いも若きもみんな清潔感と品格のある美しい話し方をしているので読んでいて気持ちが洗われます。穏やかでありふれた日常のようでいて垣間見える狂気や別世界、とてもきれいでした。
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とても怖いはずなのに恐怖よりも違う感情が湧きあがってくる。美しすぎる作品は恐怖を薄めてしまうのだろうか。それとも誰もが隠し持っている狂気だからだろうか。不思議な作品であることは間違いない。
あらすじ(背表紙より)
これは記憶の奥深くに刺さった棘。そこから始まる、愛と死の物語――終末期を迎えた母の入院先のホスピスで、僕は12歳のひと夏を高原の別荘でともに過ごした少女と再会する。彼女はそこで刺繍をしていた。小さな針先に自分を閉じ込め、虫を一匹一匹突き刺すように――表題作ほか、日常のすぐ隣にある死、狂気、奇異を硬質な筆致で紡ぎだした、震えるほどに美しく恐ろしい十の「残酷物語」を収録。解説・飯島耕一 -
【美しい孤独と死と華と虫】
小川洋子のある世界。
1日置いて解説を読んだ。そこには、本当に本書を読んだとは思えない事ばかり書いてあった。この刺繍する少女を含め本書は「残酷物語」ではない。死、狂気、奇異、恐怖などという、表面上の表現では表せない言葉がここにはある。見るだけでは読むだけでは聞くだけでは言うだけではわからない。よく冷えた生クリームのような美しさが本書にはある。多くを語る必要の無い素晴らしい作品だと思ったが、あまりにも解説が稚拙だったため追記させて頂いた。