聖母の深き淵 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.69
  • (94)
  • (143)
  • (186)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 960
感想 : 103
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043428021

作品紹介・あらすじ

一児の母となり、下町の所轄署で穏やかに過ごす緑子の前に現れた親友の捜索を頼む男の体と女の心を持つ美女。保母失踪、乳児誘拐、主婦惨殺。関連の見えない事件に隠された一つの真実。シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • りこシリーズ第2弾。
    何ていうか、悲しすぎる。
    負の連鎖。

  • 『あたし自身を、これ以上にないくらいに「母親」という既定のものとして決定づけてしまった「子供」という存在に対して、心のどこか深いところ、あたしの中に広がる密かな闇の奥底て、静かに憎んでいるような気がする。

    確かに愛しているのに。

    この上もなく、可愛いのに。』

    まさに、LGBT小説だな。性的人間としての美しいもの醜いもの全てを詰め込めようとしているのかな。美しいものと醜いものが見る人によって反転する矛盾した世界を見事に描いている作品。
    相変わらずエグかったなぁ〜。

  • 緑子の人物像がより鮮明に深まった今作。
    彼女はタフだ。それはダイヤモンドのように傷つけられることがない、というものではなくて、生身の肉体を持ち傷つき、倒れながらも何度も立ち上がる強さを持っている。
    LGBTの勉強にもなった、メディアに出てるフィルターをかけられたイメージではなく、彼ら自身の声を聞きたいと思った。

  • この小説はミステリーという括りだが、事件解決がメインではない。
    メインはLGBT、男尊女卑、育児など社会問題と、登場人物の複雑に絡み合う人間関係。
    「都合の良い人物」など出てこない、それぞれが意思を持ち、物語の中で生きている。
    スーパーヒーローなんかではなく、私たちと同じく醜い部分を持ち、ときには選択を誤ることもある、そんな人物ばかりだ。

    主人公の緑子だが、母親になり変わった。
    無鉄砲で感情的なところは変わらないが、身の危険を感じた時に第一に子供のことを考えるようになったことで、人の気持ちにそっと寄り添うことができるようになった。
    私は今の彼女の方が好きである。

  • 麻生が語る「女」を知っていなかったら、おそろしく騙されたんだろう。第二弾。母親になっても仕事に必死で、なんだかたくましくなった緑子。麻生や静香や及川やもろもろ、のちの「聖なる」の人物たちを違う目で見るのってすごく面白い。スピンオフは逆だ。クライマックスは疾走感あふれて一気に読んだ。かっこいいー。そして本当の本当の真実。ここを読むと何百ページ乗り越えた甲斐があったと思う。ほどいてほどいてほどききったものが弾丸になって消えた。

  • RIKOシリーズ第2弾
    リコは母親になってもやっぱり奔放なのね
    でもやっぱり面白かった
    そしてやっと麻生と練がいた
    探偵になった麻生はやっぱりかっこよく
    若頭になった練はどこまでも残忍で脆かった
    次も早く読みたい

  • やっと麻生と錬に再開。麻生が探偵に、錬が若頭になっている。でもこの本では脇役だ。
    緑子に子供が生まれている。新宿から辰巳署に移動。って、門前仲町に4年も住んで、6年も勤めたけど、警察署がどこにあるのかは、知らないな。用がなかったもんな。
    最初からトランス・セクシュエル、トランス・ジェンダーなんて20世紀最後になって話題になったことが盛り込まれている。緑子も豊の話を聞きながら、「混乱」してきた・・・とあるが、私も読みながら混乱した。読み物でよかった。読み返せる。
    麻生は本筋に関わったけど、錬は2年前に行方不明になったドラッグを探しているから、完全に別件。
    女性の刑事って大変だ。セクシーな話になるのは仕方ないかもしれないけど、この話でも一日に男ふたりを相手に・・・最初のは自分から、2回目は暴力で。
    緑子が自分で経験したから解ることもある。出産直後のマタニティー・ブルーとか、同性愛への理解とか。シリーズ一冊目もそうだったけど、いろんな事件がもつれている。売春と麻薬、主婦売春、売春婦殺人、幼児誘拐・・・読み応えはあった!

  • リコシリーズ、えげつないけど面白くて、ついつい夜更かししてしまった。
    同性愛やトランスジェンダーの人物が多数出てきて、両者の明確な違いもやっとわかった。しかし本書の初版が96年、今ではLGBTが一般に広がったが、その当時はまだまだ知られていなかっただろう。作家の先見の明を感じる。

    リコ個人に関しては共感出来ない部分も多々あるし、他のキャラも皆割と好感度が低いけど、なんだろう、ダークな登場人物ゆえに感じる面白さがある。そんな中で私立探偵の麻生はなかなかのナイスキャラ、麻生探偵シリーズが別にあるらしいので、そちらを読んでみたい。

  • RIKOシリーズ第2弾。錬、麻生、オリンピックの人がでてきてそういったリンクが楽しい。RIKOから入ってないためRIKOに感情移入ができないのはしょうがない。

    ただ、第1弾より確実によくなっててほっとした

  • リコシリーズ どれもこれもいい
    何度よんでも その都度 発見がある
    柴田よしきって 緻密な仕事するなぁ
    ただただ感心するのみ

全103件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柴田よしきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×