聖なる黒夜(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.28
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本棚登録 : 1383
感想 : 133
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043428090

作品紹介・あらすじ

刑事・麻生龍太郎と男妾あがりのインテリ山内練。ひとつの殺人事件を通して暴かれていく二人の過去に秘められた壮絶な哀しみとは? ミステリとして恋愛物語として文学として、すべてを網羅した最高の文芸作品!!

感想・レビュー・書評

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  • 未知の作家さんだったので、とりあえず上巻だけ購入。読み始めた日の日付が変わるころ読み終え、あまりの面白さに下巻を速攻で購入した。下巻を読んだ日は、移動日で片道3時間、往復6時間を車の中で読んでいた。

    殺人課+マル暴 vs 暴力団
    暴力団だから、いろんなことで法を犯しているのに加えて、冤罪まで出てくる。

    警察も極道も男社会なのは容易に想像つくが、ここまでBLなのかな。大学の部活も? 私も共学から女ばっかりの短大に入ったときは、女社会を異様に感じた、というのを思い出した。
    ただ自分で意外だったのは、性交シーンもなんなく読めたこと。登場人物が自分の恋愛感情に正直だし、同性愛も両性愛も無理に否定してないのがよかったのかな。自分が若いときに読んでいたら、びっくりしていただろう。自分も進化していたのだろうが、世の中も同性愛を前ほど特別扱いしなくなった・・・というのも大きく影響しているだろう。

    ミステリー要素とか警察小説というより、ラブストーリーの印象が強い。
    一巻目最後に、刑事麻生龍太郎が10年前に行った山内練の逮捕が冤罪で、自白を促したことが明らかになる。ずっとコツコツ、自分のやり方で積み重ねてきた仕事への自信が崩れる。これはショックだろう。おまけに刑事という仕事が自分にあっているか、自問自答しているものだから、余計だ。山内の人生がそれまでと全く違うものになってしまったのは明白だ。
    メインの殺人事件は解決というか犯人が挙がったけど、錬の最初の事件(冤罪)はどこかで謎解きがされるのだろうか?気になる。

    上下巻を3日で読了したが、その後数週間経ってもところどころ読み返している。下巻巻末に主人公のふたりが登場する書籍の紹介があった。同フェアに出ている書籍をあわせて購入した。

  • 上下巻ともボリューミーだけど
    途中から(特に巻またぎのところか)先が気になって一気読み。
    通勤時間中、存分に現実逃避させてくれました。
    三浦しをんの解説がまた良かった。

    再読したい。
    ---
    大火傷してからドライアイスってのはものを冷やすだけじゃなくて火傷もさせられるものなんだって気づいても遅い127

    結婚だけでなく、そもそも人が寄り添うのは互いの不完全さを補い合い、孤独を癒やしたいからではないのだろうか。その意味では、孤独に耐えることを苦痛にせず、最後には自分以外を必要としない人間とは、根本的に、「寄り添う」ということはできないのだ。227

  • ずっと読みたかった本。期待を裏切らない内容。

  • 上巻途中からページを捲る手が止まらず、時間を忘れて読んでしまうくらい面白かった。
    ぼんやりとしか見えてこなかった事件の全貌が、ひとつひとつパズルのピースがはまるように謎が解けていき、最後のピースがはまったときに鳥肌が立った。

    人間が人間を裁くことは可能なのか、
    罪とはなんなのか、
    まさにその問いを本作品で投げかけられたような気がした。

  •  下巻を一気読みし、読み終わった時「ヤバい、今何時だ!」と時計を確認するほど、時を忘れて読んでいた。はやる気持ち、ってこんな感じか…と思った。先が気になる。どんどん進みたい。先はどうなるんだ!と思いながら読んでいた。
     読みながらずっと、練死ぬな、って思ってる自分がいた。麻生と練が深く関わって行くようになればなるほど、二人とも死の匂いがするな、と感じた。麻生が練に対して抱く感情は複雑に絡まってるし、練もまた然り。この物語に出てくる男たちは皆複雑でややこしい感情にまみれて生きている。でもその姿が私は好きだ。感情が入り組んでこそ人間だし!愛ってなんだろうね。恋ってなんだろうね。
     物語がどんどんと佳境になっていく中、何度も泣きそうになった。ここで泣くか?っていう場面でもなんか泣きそうになったり…。ラストシーンは…もう最高でした。
     サイドストーリーが収録されていて、その蝶の物語がまた美しい物語だった。最後に不法侵入してる練がまた可愛い。練の蝶の刺青のエピソード好きだなー。
     貸してくれた友人に感謝。本当に素敵な読書体験だった。ありがとう!!!

  • どうしてもどうしてもどうしても相容れない二人が、お互いがいなければまともに生きられないくらいに求める存在になってしまったらどうしたらいいのか。
    しかも冤罪事件の加害者と被害者。刑事と経済ヤクザ。

    どうしたら………。

    お……及川さんとヨリ戻しちゃえよ、麻生!!
    その方が幸せになれる。絶対。
    あの人も複雑な人だから色々あるかもしらんが…殺されるかもしれんが/汗
    でも練といるよりは楽だよ。

    なんて言ってみるが、それは無理だよね………。

    多分、続編が出ると思うんだけどねえ。
    ちなみにすでに出ている続編のラストで麻生と練は別れてるらしい。

    別れられないでしょ、多分…………。

  • ラブシーンばっかり繰り返し読んですみません。
    麻生さんの恋愛運のなさよ… 是非とも練と幸せになって欲しいが、それは愛なのか性欲なのか償いなのか

  • 下巻は一気読みでした。

    最終的な犯人は、途中から「もしかして…」とわかってしまいましたが。

    「麻生……」「練……」「及川……」などと、ついつい登場人物の名前を「……」付きでつぶやきたくなるような物語でした。

    犯人の気持ち、わかるなぁ。
    もしこれが、犯人側から書かれた話だったとしたら、犯人たちにエールを送ってただろう。

    サイドストーリーもよかったです。
    特に「歩道」。
    「練ちゃん………っ!!」
    って感じで(どんなだ)。

  • ホテルの一室で殺されたヤクザ
    組の幹部で、殺されて当然な男を中心に登場人物は集まってくる
    最後まで、この男の亡霊から逃げられない
    抗争かと思われたこの殺人は、登場人物たちの過去を暴き、複雑に絡み合ってくる

    その組の企業舎弟である会社の社長であり、、男の愛人でもあった山内
    そして、警察の中で、ノンキャリアで警部になった、天才といわれる麻生
    この二人のやり取りがけっこう可愛かったりするw

    昼ドラ並にドロドロでいびつな愛憎劇を繰り広げているようで、人を心から愛して、だからこそどうしていいか分からず憎んでしまったり、嫉妬に駆られたりする登場人物たち
    その心の葛藤や、動きが事件をきっかけに露になっていく


    上下巻とも、巻末についてるサイドストーリーも良い感じ
    とりあえず、今週の寝不足に一役買ってくれました

  • 柴田よしきさんの本は、
    過去に一冊読んだことがあったようなのですが、
    あまりにテイストが違いすぎて、
    それと気づいきませんでした。

    ここ最近の中で、
    一番のヒット作です。

    何かしら心に傷を負った、
    一癖も二癖もある登場人物ばかりが、
    かなりドロドロな関係のまま展開していきます。

    事件の真相究明もさることながら、
    登場人物たちの内面描写がたまらなく切なくて、
    最初から最後までドキドキしっぱなしでした。
    いろんな意味で。

    練、可愛いすぎます。

    ☆☆☆☆★ 4.5つ

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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