冬のオペラ (角川文庫)

著者 :
制作 : おーなり 由子 
  • 角川書店
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レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043432059

感想・レビュー・書評

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  • 名探偵と名乗り、普通の事件の依頼は受けない。そんな事務所があゆみの勤める不動産会社の入ったビルの2階に入った。けれど、世に名探偵を必要とする事件は滅多に起きない。だから名探偵は神出鬼没なフリーターとして生計を立てている。そんな名探偵が気になって仕方がないあゆみ。名探偵の記録係に立候補して、数少ない事件を名探偵の耳となり目となりまとめていく。

    短編2つ、中編1つの連作集です。探偵との出会い、最初の事件、さらなる出会い、そして・・・ とつながっていきます。コージーなミステリかと思いきや、最後はとても深いテーマに。切ないというか、なんともやりきれない思いになりました。冬の京都に出かけたくなります。

  • 続編を読んだので久々に本編の方も。大学の時に三回ぐらい読んだはずですが、細部は忘れてましたねぇ。
    高校を卒業後に上京して、叔父の経営する不動産会社の事務員として働く姫宮あゆみ。
    ある日あゆみが働くビルの上階に、奇妙な人物が入った。その名も巫(かんなぎ)弓彦。
    「名探偵はなるのではない、存在であり意志である」という彼は自ら名探偵と名乗り、奇妙な事件のみを扱うという。
    しかしそんな事件は滅多に起きず、普段はフリーターとして生計を立てている。
    あゆみは「真実が見えてしまう」という巫の記録係として名乗りを上げ、彼とともに事件を追うことになる。

    ・三角の水
    研究室で企業スパイの疑いを掛けられ、証拠隠滅のためにわざと火事を起こしたと言われている女性が依頼人。
    水を掛けて火を消していると見せかけて、水酸化ナトリウムを使って火を付けていたというトリック。

    ・蘭と韋駄天
    ああこれ、すごく覚えてる。初読時、ニコライ堂の近くの大学に行っていたので。
    仁科という女性のもとから蘭の鉢植えが盗まれる。容疑者はライバルの女性・小見山。しかし小見山にはアリバイがあり、それを証明するのがニコライ堂。
    蘭が盗まれた時刻に、小見山は椿という女性とともにニコライ堂の傍にいた。ニコライ堂の傍から仁科の家までたちどころに移動するのは不可能。
    しかし状況的に見て、花盗人は小見山しかいない。
    椿から依頼を受けた巫は、ニコライ堂のまわりを歩き、犯人の使ったトリックを解明してみせる。
    国立博物館の表慶館をニコライ堂だと錯覚させるトリックなんですけど、これ、今検索してみると実際にその場所に行って、ニコライ堂に見えるかどうか確かめている方がいらっしゃるようです(ブログに写真が載っています)。
    いやー、本当にそっくり。

    ・冬のオペラ
    前の話に出てきた椿さん再登場。
    京都旅行に訪れたあゆみは、京都の大学で講師をしている椿と再会する。
    翌日、椿と一緒に観光しようと約束していたが、待ち合わせの大学につくなり、椿はあゆみに「授業をしたい」と言い出す。
    授業を終え、外に出ようとすると、建物の下に男物の服が奇妙に散らばっているのを見つける。その服は椿の上司のもの。拾い集めて届けようとしたところ、その上司が死んでいるのが見つかる。
    現場の部屋は、入り口のドアが施錠されていたが窓は開いており、そこからロープがたらされていた。
    さらに、殺されていた教授は二冊のフランス語の本を抱えて死んでいた。
    部屋の前には別の講師がいて、死んでいた教授以外出入りはなかったという。
    犯人は窓から逃げていったのか。教授が抱えている本はダイイングメッセージなのか。そして外に散らばっていた教授の服はなんなのか…。
    椿さんが犯人なのはすぐに分かる。
    椿さんは教授と愛人関係にあり、その関係の清算を迫ったところで裸で監禁されてしまった。たまらず教授を殺害。
    しかしカーテンも外されてしまっていたために、教授の服を着て外に出るしかなかった。
    教授が抱えていた二冊の本が暗示しているのは「椿姫」。犯人の名前である。

    いくらでも続編が作れそうな気がするけどここで終わっているんですねー。
    円紫さんシリーズ同様、探偵役と助手役は年の差のある男女で、しかも恋愛関係にはない。
    円紫さんは既婚なのでまぁないけど、この場合はあってもよさそうなのにない、この感じ、ニクい。

  • 名探偵 巫(かんなぎ)弓彦。人知を超えた難事件を即解決。
    いったいどんな難事件を扱うのかしらと思いきや、初めの事件がわりと平和というか盗難だったので安心していたら、表題作『冬のオペラ』はガッツリと殺人事件でした。もの哀しい事件でしたが、きっと引導を渡すのが巫で犯人も良かったと思っているはずです。
    そして作者の北村さんはどうして若い女性目線で書くのが上手なのでしょう。とても読み易くて一気に読んでしまいました。

  • 自称名探偵の巫だが、知識も豊富で洞察力にも優れ事件を見事に推理し解き明かしていく。
    好奇心旺盛なあゆみは、名探偵には記録者がつきものだという妙なこじつけで記録者としての立場を手に入れる。
    科学が絡む事件あり、視覚の錯覚を利用した事件あり。
    そして、情状酌量がされればいいと祈りたくなるような哀しい事件あり。
    バラエティに富んだ短篇がそろっていた。
    軽やかで湿り気のない物語ばかりで、読んでいて単純に面白い。
    ちょっとした雑学が入っているところも気に入っている。
    重く暗い物語も好きだけれど、明るく軽やかな物語もやっぱりいい。

  • ちょっと変わったミステリーで楽しめました。登場人物と文章の雰囲気も好きです。読んでいて、のんびり京都旅行に行ってみたくなりました。

  • 主人公は姫宮あゆみ、北国の高校を出て叔父さんの経営する不動産会社の事務に就職した。ある日、会社のビルの二階に探偵の事務所が入ってくる。「名探偵、巫弓彦」人探しや素行調査はお断り。手がけた事件はまだ零だが、探偵は実績ではなく存在であり意思であると説く巫にあゆみはワトソン役ならぬ記録者を買って出る。あゆみと巫が出会う三編の事件。まだ18.9の娘なのに、あゆみの品の良さ、人間としての存在の輝きにはっとさせられる。北村薫の描く女性はわたしの憧れ。

  •  遠い唇を読んでから読み返す。たぶんこれは再読じゃなかろうか。
     名探偵の巫の名探偵すぎる生き方と、書き手のヒロインの距離感がすごい。

     そして、物語が描かれなくなったとしても、シリーズが続かなくても、彼らは生きているのだなぁと、遠い唇を読んで思う。作者の中にはどれだけの人が生きているのだろう。

  • 真実が見えてしまう名探偵・巫弓彦と彼の記録者に志願した主人公が出逢った事件を描く中短編集。
    表題作の京の景色とともに進む物語と最後の謎解きの雰囲気、そして名探偵としての容赦のなさが大変良くて好きです。

  • タイトルや表紙から想像していたのと少し違った。文章から「私、こんなに色んな言い回しができます。喩えもこんなに多彩に。どう?すごいでしょ?」というのがにじみ出ていて気持ち悪かった。

  • 当初から狙っていた構成なのか
    プロローグがあって伏線があって
    すべてが繋がって本編へ…という
    読み方をしました。

    少し物足りないですけど「名探偵」
    という天職があるという考え方には
    共感しました。

    本編はどうにもやるせない結末でした。

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