- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043437016
感想・レビュー・書評
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白水社
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よくわからん
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彼女の作品が結構図書館にあるので、新しい素敵作家さん開発のために借りてみた。台本スタイルの小説は好きじゃないんだけど、これに載ってる作品はなかなか面白かった。彼女の他作品も読みたくなった。
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舞台や戯曲の脚本みたいな書き方なのでちょっと抵抗ありましたが、意外とスラスラ読めました。表題作は面白かったですが、同時所収のはちょっと…という感じですね。
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柳美里の戯曲を読んでいると、音楽が聴こえてくる。台詞以外の気配が濃密なのだ。表題作「魚の祭」は、弟の死をきっかけに集まった離散家族の物語。不在の弟が残したものを一つずつ繋げていくことで、家族に対する歪んだ思いが露にあってくる辺りが見事だ。家族であるのに、ギクシャクする会話。しかし、家族というものが愛情や安心の普遍的象徴であるという思いがこちらにあるから、ギクシャクしていると感じているだけなのであって、この劇の人物たちは、これが精一杯なのだ。精一杯のギクシャクが、この戯曲に命を与えているように感じた。もう一編、「静物画」の方も、ある人にしか見えていない何かの気配が始終付きまとう。最後は、気配のみで場面が終わってしまう。舞台上にこの空気感を出すのは、演出家にとってはかなりの難問だろう。
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静物画がすきです……百合…
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弟の急死をきっかけに集まった離散した家族の感情のすれ違いを描いた表題作。女子高を舞台に少女たちの光と影をとらえた処女作「静物画」を収録した、著者19歳の新しい旅立ちを予感させる第一作品集。
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波山家の次男冬逢が、ビルの6階から足を踏み外して転落死した。このことは、父孝、母貞子、長女結里、長男冬樹、次女留里の6人が、12年ぶりに家族として集まるきっかけとなった。貞子と冬逢の家に一同が会する過程から、通夜、葬式にかけて彼らが交わす12年ぶりの会話が展開される。
柳美里は、あまり好ましくないことで物議をかもしてばかりというマイナスのイメージがあって、著者自身の人間としての抵抗感から、これまでほとんど興味を持ったことがなかった。しかし、偏見なくいろいろな作家の作品に触れることの大切さを実感してから、柳美里も読んでみようという気になったのだった。
この『魚の祭』(うおのまつり)は、戯曲である。柳美里が注目されるきっかけになった作品で、第37回岸田國士戯曲賞受賞作。上記のように柳美里には興味がなかったため、もともとは戯曲作家だったことや、在日韓国人二世であることなど知らなかった。小説を書くようになったのは、戯曲を何作か書いてからエッセイを書くようになり、その数年後からだというので、この意外性から改めて柳美里に興味が湧いた。
全体的に、柳美里の作品のタイトルには「家族」という文字がよく見受けられる。良い意味か悪い意味かはまだわからないが、家族というものによほど思い入れがあるのだろう。「あとがき」に、かつて家族を憎悪していたと書かれているが、この作品には愛と優しさが満ちている。たまに憎悪が見え隠れしているようにも見えるが、家族の会話の裏には常に何か柔らかいものに裏打ちされているように感じていたし、冬逢の真意がわかったときには思わず胸が詰まった。
ちなみに、わたしが読んだのは、図書館で借りた白水社のハードカバーであるが、角川文庫からも出ている。文庫の方は、処女作の『静物画』も収録された作品集になっている。(2005.5.23) -
あとがきの解説に斉藤さんが書かれている
これをよんで「アーサッパリした」とか「アー面白かった」
と思う人間はまずいないだろう。
ほんとうにこの文そのままの感想である。
表題作は、まだ分かる。
けれど、2作目の
ただただ内的に沈んでいくようなこの文章が
柳美里にとっての観客を欲する戯曲で、
そして悲しみで、
それを分ち、世界と繋がる手段だったとしても。
どう受け取れというのだろう。