家族の標本 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 194
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043437023

作品紹介・あらすじ

家族ってなんだろう。社会の最小単位、万人のルーツでもある家族という名の病とぶつかり合い。それでも、今そこにある人々の心。淡々とした語りかけが深い共感を呼ぶ、芥川賞作家によるエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいてすっごく面白いか、という評価軸はおいておいて。



    形態様々な家族を標本のようにして、その本質に迫ろうとしている本。というか、サンプルも多く、その本質が結局見つからないことを示唆していたり。

    家族というものは、少なからず皆がその一部として関わってきたルーツであり、ある部分からは一定レベルの直接的理解ができるもの。万国共通であり、それが人間社会の発展を支えていたシステムそのものだったから。関わらざるを得ない束縛的な。ただ、その直接的理解を勝手に拡大させ、自己解釈の範囲を増やしてしまうと、説明的理解が必要な他者にまで敷衍してしまう可能性がある。その可能性は、人類共通だからこそ大きくなるもので、さらに経験値が上がる年嵩と比例して上増させるのではないか。「家族」の話はそれが可能なのだ。
    それは一言で経験の傲慢というのでしょう。
    「家族」のエピソードをポロポロと読んでいて、その傲慢さが私にはあるな、と反省させてくれた。
    テーマが違えど通ずる話題は数多見つかるでしょう。よく覚えときます。
    まあそれを望んで柳さんがそれを狙って書いたかわからないのですが。

    渡辺万里の解説も好き。

  • エッセイというジャンルなので読み始めた時「違うじゃん!」と思ったのですが、エッセイというより観察記録に近いですね。でも星新一先生なみのショートリアルストーリーで「耳袋」並みの怖さで良かったです。最後はちゃんとしたエッセイになってましたし、構成も凄い良かったです。

  • 初の柳美里。様々な家族の一場面の切り取り。まさに標本。
    他者を、中でも他者の家族を受け入れるには、自分の経験や感受性では足らない。

  • エッセイの感想って・・・と思ったのですが、思うところがあって感想を書くことにしました。

    この本に出てくる話は作者が見聞きしたことだと言うのですが、それっていいのかなぁ?という疑問が常につきまといます。作者の妹の友達の話を載せ、妹と喧嘩したエピソードなども書かれています。
    もう一度言いますが、それっていいの?と私は思ってしまうのです。


    作者は「石に泳ぐ魚」という著作で、モデルにした女性から出版差し止めの裁判をおこされたりしています。私のあいまいな記憶で申し訳ないのですが、何かのエッセイで、「あなたのことをバカにしてるわけではない、むしろ尊敬の念と愛情を持って書いている」みたいな事を言っていました。

    私は、上記の場合、作者がどう思って書いてるかはあまり関係なく、当人が嫌だと言えばそれでアウトじゃないかなと思うのです。例えば私が同じ事をされたらやはり嫌だと思います。


    と、言いながら、他方面では「みんなそれぞれなんかあるなぁ」という感じ。
    帯によると、作者はこの国の家族の実態を憂いてるようなことが書いてあるのですが、私は「みんな、いろいろありながらけっこう頑張ってるんだ~」なんて思って励まされたような気になったりヾ(▽^;)ゞ

    いろいろ考えたエッセイでした。

  • 冷静な観察眼と筆致に読ませられたが
    個人的には読書は楽しい方が良い

  • 家族にまつわるエッセイ集。
    そのほとんどが世間の理想像、
    もしくは「普通」と呼ばれる家族の体をなしていない。
    悲しみや苦しみ、怒りに満ちた家族像である。
    そういった家族を取り上げ、
    自らの家族をも取り上げ、
    家族を切り取る。
    そこに余分な考察を加えないのも、
    「標本」と題名に記したところなのだと思う。

    作品に記されたように柳美里さん自身が幸福な生い立ちとは遠い。
    しかし、この作品では世間の家族の虚像を暴きながらも、
    「普通」の家族を追い求めているように見える。
    そんな「普通」を実際に見てみたいという欲望を感じる。
    家族という宇宙に夢を見たいと感じるのだ。

  • 簡潔に感情を交えずに淡々とたくさんの家族の話を描いているエッセイで、小説よりもとても印象に残る。読後にいつまでも考えてしまう。

  • こんな形のエッセイもあるのか


    アイゴー

  • 家族ってなんだろう。社会の最小単位、万人のルーツでもある家族という名の病とぶつかり合い。それでも、今そこにある人々の心。淡々とした語りかけが深い共感を呼ぶ、芥川賞作家の第一エッセイ集。

  • 電車の中で読んでて、少しなきそうになった
    自分と置き換えたり、家族の誰かを思い出したり。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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