雨と夢のあとに (角川文庫)

  • 角川書店 (2008年2月23日発売)
3.57
  • (20)
  • (28)
  • (41)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 332
感想 : 38
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784043437085

作品紹介・あらすじ

カメラマンの父と二人で暮らしていた12歳の少女・雨だったが、ふとしたことで自身の出生の謎を知ってしまう。その後も驚きの事実が明らかになり……現代の家族が抱える不安と揺らぎを描いた長編小説。

みんなの感想まとめ

12歳の少女の視点から描かれる物語は、家族の不安や揺らぎ、そして「死」というテーマを通じて人間関係の奥深さを探ります。主人公の雨は、父との生活を通じて周囲の異常に気づきながらも、その真実を受け入れられ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • キャラメルボックスの舞台と、ドラマを見て、かなり前に原作を買ったけどず~っと積んでおいた本。

    舞台・ドラマとは違って、基本的に主人公である雨の一人称で物語は展開する。
    早川一家との関わりも、暁子さんからの告白も、父親と暁子さんのやりとりも、父親と一緒に死んだと聞かされていた祖父母に会いに行くエピソードも、父親の抱える切なさも、母親の身勝手さも(これは原作にも少しあるが)、全部舞台&ドラマの脚色だったとは。。。
    でも、この原作をそのまま舞台化どころか映像化することなんてとてもできない。
    中盤、一ヶ所だけ話者が違う部分がある。
    暁子さんが恋人に宛てた手紙、そしてそれを読んだ恋人が暁子さんの家に足を踏み入れるシーン。
    もう、グロくてエグくて、まともに読むのが大変だった。
    暁子さんの死因も原作とは違ったけど、これも特にキャラメルの舞台でそのまま演ることなんて絶対にできないだろう。

    【脳内再生キャスト】

    桜井雨:福田麻由子(12歳当時)
    桜井朝晴:岡田達也
    月江:岡田さつき
    暁子:岡内美喜子

    初演の舞台版だなー、これ。

  • 主人公の名前が「雨ちゃん」
    独特の文章だけど、読みやすい。

    お父さんはやはり亡くなってて、死後49日の間だけ雨ちゃんのそばにいてくれた。
    お隣のお姉さんも自殺して亡くなってた。
    婚約者の一度の浮気が許せなかったのだ。
    死体はうじに食い尽され、部屋は悪臭とゴキブリだらけだった。
    生々しく、想像するだけで気持ち悪い。
    あらすじだけだとホラー。だが、少女からみた孤独と葛藤が、静かに伝わってくる作品。

  • 隣人の暁子。
    暁子が婚約者にしたこと、言葉。
    彼女の思考が理解できる。
    自死と、その後の現実。

    父親(朝晴)の無念。
    雨を一人残してしまうこと。
    きっと何度も何度も詫びただろう。
    何としてでもこの穴から抜け出さないと、這い上がらなければいけないんだと思ってもどうする事も出来ない現実。
    確実に迫り来る死、死への恐怖。

    娘、雨の元に帰って来たこと。
    肉体としてはもう叶わないけれど、娘への強い思いで、魂として帰ったのだろう。
    雨はずっとわかっていた。
    父親はもういないのだということを。
    分かっているけれど、いま目の前にいる父親が幻だと分かっているけれど、手離せない。
    きっと手を離したら、二度と会えない。

    全て読み終えて、涙が止まらなかった。
    辛かった。
    亡くなった家族を思い出した。
    そして、自分も歩みを進めていかなければいけないなと思った。

  • ホラーやけど、寂しい・悲しい感じのが強い。。
    後半の一部、描写が少しエグイ感じのところがあって、そこはちょっと...やったけど、全体的には本当に切ない内容。
    ハッピーエンドではないけどすごく心に残る。
    親娘の関係が羨ましいくらいにすごくいい。
    登場人物の話し方とか好き嫌いあるかもやけど、わたしはあーいう感じいいと思う。
    メールの打ち方とかなんかは、自分も昔はあんな感じの文章打ってた時あったなーとか。。
    子どもっぽい、そーいう感じの。

    本当に悲しいけど、親娘の愛がすごく伝わってきました。

    ドラマは、雨ちゃん役の黒川智花ちゃんがすっごくかわいい。

    原作とドラマやっぱりちがうところあったし、もう一回ドラマもみたいな〜。

  • 12歳の女の子視点の物語。奥田美和子さんの雨と夢のあとに、という曲が好きで、曲だけ知っている状態で読み始めた。

    曲の歌詞を知っているだけに、
    ずっと嫌な予感や心にざわつきを感じながら読み進めていた。
    初めは12歳の女の子視点の文体に読みにくさも感じていたが、確かに12歳の頃ってこんな感じだったと思うし、彼女が周囲のおかしさを感じ始める頃には文体も受け入れられたのか、雨のことが好きになっていた。

    おかしさに気づきながらも、それを見ないフリをしている雨を見るたびに切なさを感じたけれど、同時にこの時間がずっと続いて欲しいし、誰も事実を告げないで欲しいと思ったので、電話がかかって来た時、ああ終わりが来たんだと思い泣いてしまった。


    49日を迎えて、お父さんはいなくなってしまうけれど、
    作中にもあった通り、過去と未来、時間は繋がっているのだから、今も12歳の誕生日を迎えている雨と朝晴は一緒にいる。

    思い出はだんだん薄れるかもしれないけど、
    思い出せさえすれば、そこにいないけど、いる。

    大切な人と別れたあとに読むとまた違った感想が得られそうな作品だった。

  • n

  • 初めは主人公のくるくると変わる心の動きや子供らしい言葉遣いに読みにくさを感じましたが読み進めるうちに父と隣人の不可解さから何となく感じている真実を否定しようと頑張る姿に読みにくさは消えていました。
    複雑な家庭環境、交友関係の中での父親との繋がりの大きさは彼女をどれだけ救っていたのか。その父親は彼女を置いて逝ってしまうことをどれだけ無念に思っていたのか。
    切ない物語でした。

  • 150405

  • なんだかいつも柳先生の文章には「引き込まれる」という表現がぴったりきますね。

  • 中学生のときにやってたドラマがすきでした。
    いまさらですが、原作の方をば。
    でも、えぐいシーンがあるから、読んだのは今でよかったなあと思います。中学生のとき読んでいたら、そこにばかり目がいって、怖いお話、という印象になっていたかも。
    ドラマとはだいぶ設定が違うのですね。
    このお話は、雨ちゃんがその年だからこそよりぐっとくるんだなあと思いました。
    ドラマを見返したくなりました(*´`*)

  • 親子の絆、人間の性、愛する者への情、

  • なにかザワザワ感を抱きながら一気読み。ザワザワ・・祈りにも近い気持ちで。雨はお父さんがほんとに大好きなんだってわかる。最後の観覧車の描写はほんとにせつない。

  • 初めてこの作品を読んだのは、もう5年程前。当時大きな衝撃を受け、未だに忘れられない作品。常に雨の空気がまとわりついているような、仄暗い雰囲気が印象的。

  • 父哀しい。
    突然の死はお互いに準備がないから。
    なんでそこに穴が。。

    でも隣の女性はなんで現れたんだろう?
    ゴキブリの件は鳥肌。

  • 海外に仕事で出かけたお父さんが事故死するが、幽霊になって、娘に会いに来る話。これじゃあ娘が救われません。父一人娘一人なのに、海外にしょっちゅう行く仕事をするんじゃねえ、といいたい。

  • 最初の文を読んでから、すぐに嫌な予感はします。ですが雨の視点になってからはそれも消え、普通の小学生やってますね。
    雨と父のやりとりが好きでした。特に終盤のやりとりが、場面が静かで気に入っています。

  • 儚くてもろい。でもしっかりと残る絆

  • 「雨が降ったら、あなたに逢えますか? 夢が終わったら、あなたに逢えますか?――」芥川賞作家、柳美里の描くファンタジーホラー小説です。久しぶりに読み返しましたけれど、やっぱりいいです。

    ここ最近の僕のパワープレイナンバーがドラマと舞台版の主題歌である奥田美和子(現在は奥田みわ名義で活動)の「雨と夢のあとに」であることと、ついにこの間、女優の福田麻由子ちゃんが主演する舞台版を見ることができたので、確かこれをはじめて読んだのが大学時代だったかとは思いますが、こうして今回再読することにしました。

    ずいぶんと昔の記憶だったので、読み返していたときは
    「ドラマ版や舞台版と細かいところが違うなぁ」
    なんて思っていましたが、柳美里の描く独特の世界観に引き込まれてしまいました。ヒロインは小学校6年生の桜井雨。父親の桜井朝晴は台湾に幻の蝶を採集しに行って、穴に落ちて死んでしまう。しかし、雨に対する想いから「魂」だけが幽霊となって彼女の元に返ってくるそれが話の大筋です。

    幽霊となった朝晴と雨の日常もそうでしたが、もう一人の幽霊である暁子の存在が僕の中で非常に残っています。詳しくは自身で確認していただきたいのですが、彼女もまた、業が深い死を遂げていて、婚約者である男性が彼女の部屋を訪れたときの描写が凄惨そのもので、僕が前に紹介した『特殊清掃』と呼ばれる、遺体発見現場そのものの描写は正直言って重かったです。

    しかし、クライマックスのほうで、朝晴が雨に対する最後の別れの場面と、
    『少女は立っていた。ここに在るものと、ここに無いもののただなかに、知ることと、知らないことのただなかに、少女はたったひとりで立っていた』
    という最後の文章が、僕の心の中に舞台版のヒロインを演じた桜井雨役の福田麻由子ちゃんのイメージでしっかりと、心の中に残っています。

  • 切なさが好きです。

  • 【431】

    女の人っぽい文体。
    前ほど嫌いじゃないけど、やっぱりなんかこう気持ちが落ち着かなくなるんだよな、こういう文章。
    たまにはいいけど、読むとすごい疲れる。

    雨ちゃんが、あまりに救われない。
    かわいそうなんて、言えないくらい救いがない。
    いい人生を送ってくれってまじ思った。

    パパと暁子さんの間でどんなやり取りがあったのか気になる。

全29件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柳美里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×