- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043437085
作品紹介・あらすじ
蝶の撮影で海外に出かけたきり、10日間も音信不通だった写真家の父が帰ってきた。ひとりで留守番していた12歳の少女・雨は喜びも束の間、右手に火傷を負ってしまう。手当てをしてくれたのは隣室の女性・暁子だった。父との楽しい毎日が戻ったかに見えたが、雨の周りでは奇怪な出来事が次々と起こる。そして、突然現れた実の母親が、雨に衝撃の事実を告げる-。精緻な筆致で家族とは何かを問う幻想ホラー小説。
感想・レビュー・書評
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12歳の女の子視点の物語。奥田美和子さんの雨と夢のあとに、という曲が好きで、曲だけ知っている状態で読み始めた。
曲の歌詞を知っているだけに、
ずっと嫌な予感や心にざわつきを感じながら読み進めていた。
初めは12歳の女の子視点の文体に読みにくさも感じていたが、確かに12歳の頃ってこんな感じだったと思うし、彼女が周囲のおかしさを感じ始める頃には文体も受け入れられたのか、雨のことが好きになっていた。
おかしさに気づきながらも、それを見ないフリをしている雨を見るたびに切なさを感じたけれど、同時にこの時間がずっと続いて欲しいし、誰も事実を告げないで欲しいと思ったので、電話がかかって来た時、ああ終わりが来たんだと思い泣いてしまった。
49日を迎えて、お父さんはいなくなってしまうけれど、
作中にもあった通り、過去と未来、時間は繋がっているのだから、今も12歳の誕生日を迎えている雨と朝晴は一緒にいる。
思い出はだんだん薄れるかもしれないけど、
思い出せさえすれば、そこにいないけど、いる。
大切な人と別れたあとに読むとまた違った感想が得られそうな作品だった。 -
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初めは主人公のくるくると変わる心の動きや子供らしい言葉遣いに読みにくさを感じましたが読み進めるうちに父と隣人の不可解さから何となく感じている真実を否定しようと頑張る姿に読みにくさは消えていました。
複雑な家庭環境、交友関係の中での父親との繋がりの大きさは彼女をどれだけ救っていたのか。その父親は彼女を置いて逝ってしまうことをどれだけ無念に思っていたのか。
切ない物語でした。 -
150405
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なんだかいつも柳先生の文章には「引き込まれる」という表現がぴったりきますね。
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中学生のときにやってたドラマがすきでした。
いまさらですが、原作の方をば。
でも、えぐいシーンがあるから、読んだのは今でよかったなあと思います。中学生のとき読んでいたら、そこにばかり目がいって、怖いお話、という印象になっていたかも。
ドラマとはだいぶ設定が違うのですね。
このお話は、雨ちゃんがその年だからこそよりぐっとくるんだなあと思いました。
ドラマを見返したくなりました(*´`*) -
親子の絆、人間の性、愛する者への情、