- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043441020
作品紹介・あらすじ
円を掘りに来る街。それがイェンタウンだ。日本人はこの呼び名を嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを逆にイェンタウンと呼んだ。ヒョウとリンとフニクラは墓荒らしで小金を稼ぎ、グリコは売春で生計を立て、身寄りのないアゲハを引き取った。ある日、客のひとりがアゲハを襲い、隣人のアーロウが客を殺してしまう。すると腹の中からテープが飛び出し、代議士のウラ帳簿が見つかる。飽和状態のイェンタウンで、欲望と希望が渦巻いていった。映画『スワロウテイル』の岩井俊二監督自身によるもうひとつの原作小説。
感想・レビュー・書評
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2008年からの積読です。
当時好きだった人が、岩井俊二監督を好きで、
その影響を受けて買ったと思われます。
裏面のあらすじを読んで、なかなか手が出ずここまで積読に。苦笑
ラブレター、四月物語、花とアリスとかは好きでした。
移民たちは日本をイェンタウンと呼ぶ。
円を堀に行くから。
日本人たちはそれを嫌い、移民たちを円盗(イェンタウン)と呼ぶ。
荒廃した町で、
墓を荒らし、身体を売り生きている。
ヒョウ、リン、フニクラ、そしてグリコ。
そこに身寄りのないアゲハが加わる。
自分たちで判断し、
自分たちがすべてでしかない。
やられたらやり返すし、
力のないものは逃げるしかない。
わかりやすくて潔いけれど、
とても過酷な世界。
人間に上も下もないはずなのに、
金と価値が取引される。
1996年刊行の作品ですが、
今でも通じてしまう部分が沢山あって、
変わらない部分に苦しくなりました。
本作自体は、色々事件が起こって、
理不尽と暴力もあるし、
その余韻は消えないんですが、
読後は青春群像劇のようになぜかさわやかでした。 -
ほんとによかった。アンダーグラウンドな世界観が好きすぎる。映画見るの苦手だけど、岩井俊二監督作品はみたいな。
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映画が大好きで小説も読んだ。面白かったけど、やっぱり映像にしてこそ価値のあるお話だなと思った。
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またしても失礼な物言いなのだけれど、岩井氏は映画を撮るよりも小説を綴る方が向いているのではないかと思っている。
根拠は単なる私の好みなのでごめんなさい、なんだけれど、この作品も全体的には映画より小説が好き。
ラブレターはどちらも同じくらい好き。
リリィ・シュシュは、申し訳ない、映画は嫌いだけど、小説は良かった。
ただ、このスワロウテイルも、Charaが歌う場面や蝶が「空を舞う」場面は映像でなくては叶わない表現で、岩井氏はそれに憧れているのかなと思う。
小説よりも映画の方が、岩井氏が楽しんでいるなと感じるから。
人間とは難儀なものだな、という話。
作品自体から離れた感想で、またごめんなさい。 -
岩井俊二さんの作品は映像も小説も触れたことなかったので初体験。
不法滞在の外国人たちが暮らす血生臭くアングラな街「イェンタウン」が舞台の作品。
そこで人が死んだり駆け引きが生まれたりする。そこに明るい希望は見えづらい。
なのにそこに雨の日の空気みたいに靄がかって優しい異国情緒のような「におい」を感じるのはなぜだろうか。
映画版の劇中歌「スワロウテイル・バタフライ」のイメージのせいなのかしら。
(2016.9.22) -
読んでいてもいまいち入り込むことができなかった。あとがきが一番印象に残ってしまう程度の読書感。映画の設定、登場人物に沿って作られた話ということなので映画を見ることで感じ方が変わるかもしれない。
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「映画の企画書」というだけあって、文章がとても簡潔でシンプルなのだが、過装飾な三島文学かぶれの私にも気持ちよく読めた。これは小難しい文章に食傷気味の脳からの無意識のSOSなのかしら!
著者によるあとがきが好きでした。ツバメと蝶のくだり。本好きで内気な、外見は整っているのに陰気さが滲み出している繊細な少年。というのが岩井氏への身勝手なイメージ。
また映画も観てみよう~ あれはCHARAがすごく可愛かった。そこしか覚えていない。 -
語り手がコロコロ変わるのに加えて話の展開が早くてちょっと入り込みづらかったです。盛りだくさんのあらすじだけ読んだような印象。
グリコが歌手になるのがメンバーにとって大きな転機になるのだけど、いきなりそんな展開になってびっくりした。歌がそんなに上手いならもう少し最初からにおわせておいて欲しかった。
そんな風にちょっと置いてきぼり感を感じたので評価は低めですが
登場人物達の何をしたって生きるんだという、それでいて冷めているパワーは好きです。
いつも一生懸命なグリコ
自由奔放なヒョウ
クールで格好良いリン
優しくて、いつも悲しい役どころのフニクラ
皆に見守られてなんだかんだと強く成長していくアゲハ
皆で幸せになって欲しかったな…。