夜光虫 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.54
  • (34)
  • (62)
  • (89)
  • (11)
  • (5)
本棚登録 : 549
感想 : 40
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (816ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043442034

作品紹介・あらすじ

プロ野球界のヒーロー加倉昭彦は栄光に彩られた人生を送るはずだった。しかし、肩の故障が彼を襲う。引退、事業の失敗、莫大な借金……諦めきれない加倉は台湾に渡り、八百長野球に手を染めた。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 個人的には不夜城より面白かった。
    所謂ノワールであるが殺した親友の妻に手を出すクズが主人公。
    最後にその女性に指輪を渡して去るところで物語は終わる。ピアニストを撃てに似た読後感があった。

  • これが馳さんの最高傑作っていうコメントをどこかで見たので読んでみた。
    確かにこれまで読んだ作品の中では一番面白かったと思うけど、五十歩百歩という気がしなくもないと言ったら悪く言い過ぎかな。

    日本プロ野球界でエース級の活躍をしたものの故障が元で引退し、再起をかけて渡った台湾プロ野球で、己の弱さから八百長に手を染めてしまったのが運の尽き、あれよあれよという間に泥沼にはまり込んでいく男の姿を描いている。
    主人公の男の理性が徐々に崩壊していく様子がきっちりみっちり描き込まれているのが印象的で、常人には理解できないほどの狂気が何とも言えない不気味な魅力を醸し出していると思う。
    また舞台が台湾ということで、日本でやったら絶対嘘くさく思えるようなスピード感あふれるダイナミックな展開になっているのもいい。
    かなり長い(文字が小さいのでページ数以上のボリュームがある)けど、勢いで最後まで読めてしまうだけの力がある作品だと思う。

    弱いのはヒロインの女性があまりにも純真無垢で言動が嘘くさく思えてしまったのと、いわゆる「普通の人」がほとんど登場しないので、どうしても壁一枚隔てた世界の出来事のように感じてしまい(実際そうなんだけど)、あまり感情移入できなかったところは個人的なマイナス点。

  • 野蛮な物語。
    こんな人生は送りたくない!
    けど、物語にひきこまれるんですよね

  • 転落人生、騙し、裏切り、何故そんなことを?というダメな人のヤバい物語が大好き。

  • たまにこういうドロドロ・グチャグチャ・卑怯者や裏切りばかり、ヤクザが好き勝手に暗躍する金と欲に塗れた救いようのない小説を読みたくなる。この小説はその期待を裏切らない途中で本を置けない一冊。一気に読んでしまった。日本球界で華々しい成功を収めた投手が、怪我で野球人生転落。台湾で再起を図るが八百長に手を染め、黒道(ヤクザ)に誘われるままに売春宿の経営や他の選手の勧誘など、これでもかというくらいにどんどん落ちてゆく。他の登場人物も合わせ、救いようのないストーリーで、ほっとすることはひとつもない。このタイプの小説が好きな方にはおすすめ。馳星周さんの小説は初めてだったが、とても面白かった。

  • 台湾の野球賭博に足を踏み入れた主人公の転落。このあたりを書かせると馳星周は本当にうまい。

  • なんつー、重く哀しく辛い話なんだ....。

    人生が狂いどんどん堕ちていくあたりは、もう止めてくれと心は叫ぶが、
    手はページを勝手にどんどんめくってしまい、
    貪るように読んでしまった。
    もー凄まじいインパクトある物語。

    救いはラスト、女性と会うシーン。
    彼女のとった行動と、主人公の対応がこれまた泣ける。
    かっこ良すぎだろ。

    久々に本読んだって気にされる逸品。(話が長いのもある)

  • 【作品紹介】
    馳星周ノワール全開、八百長野球に手を染めた男の破滅
    重たい負の疾走感、とでも言えばいいだろうか。文字通り徹夜の一気読みを強いられたのだ。馳星周が約20年前に発表した『夜光虫』である。
    舞台は台湾。主人公の加倉は日本から同地に渡ったプロ野球投手だが、黒社会の仕切る八百長に手を染め、大金をため込むまでになった。だが彼を慕う青年・俊郎が、その純朴な正義感ゆえに加倉を守ろうと八百長の件を警察に通報しようとしたことで、破滅への転落がはじまる。
    加倉は衝動的に俊郎を殺す。八百長が暴かれることへの恐怖と、美しい俊郎の妻・麗芬(リーフアン)を自分のものにしたいという邪念のゆえだった。俊郎殺しを隠し、麗芬に近づく加倉。俊郎殺しを嗅ぎつけ、加倉に八百長を強いる黒社会のボス。そして加倉の後ろ暗い秘密をすべて知るメフィストフェレスのごとき老人・王東谷。加倉は追いつめられ、同僚を八百長に引き込み、さらに追いつめられる。だが恋慕する麗芬の前では潔白を装わなくてはならない。しらを切れ、ごまかせ、丸め込め。加倉は呪文のようにそう唱え続ける。
    まるで真っ黒い壁が四方から迫ってくるような窒息感。これがページを追うごとに加速する。ここから脱するために邪魔なやつらを殺して殺して殺してしまえ――そんな加倉のデスペレートな精神が、馳星周の異様に熱っぽい文体によって読者にも伝染するのだ。熱帯の禍々(まがまが)しい風土病のように。
    毒々しい糖蜜の中を落下してゆくかのごとき暗い破滅の感覚。それをここまで恐るべき吸引力で描き切った作品はない。魂の暗い底の底に何が待っているのか。見届けずにいられなくなる。徹夜で本書を読み切るまで、私は呼吸を忘れていたような気がする。(紺)
    評者:徹夜本研究会

    【感想】
    「不夜城」依頼久々の「馳星周」の作品。
    安易に人を殺しすぎな感じがするが、期待を裏切らない裏社会ぶりが面白い。

  • 少し長いかな.

  • 2017/12/17読了。

全40件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

馳星周の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×