長恨歌 不夜城完結編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043442072

作品紹介・あらすじ

残留孤児二世として歌舞伎町に生きる武基裕。麻薬取締官に脅され引き合わされた情報屋、劉健一が、武の精神を蝕み暴走させていく――。大ヒットシリーズ、衝撃の終幕!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ三作目完結。

    90年代の歌舞伎町の裏社会を舞台にした不夜城シリーズの完結編。

    歌舞伎町の闇を治めていた台湾人から、日本人と台湾人の半々へ王位は譲られ、いや、奪われる。

    そして、本作で登場する主人公は中国残留孤児二世。

    死することが唯一の救い。

    シリーズ全てを通して見え隠れするテーマ「救済」
    今際の際で懇願する、神や仏への祈りも何も救いにはならない。万人に共通する救いは死ぬことのみだと。

    昭和から平成にかけた歌舞伎町の中国人闇社会。
    歴史を紐解けば、戦前のある掟から現在に繋がる。

    闇の底辺で生きるものの声がリアルさを感じさせる。

    シリーズ終わってしまったか。
    続けようと思えば続けられる終わり方ではあるが。

  • 「不夜城」と「不夜城Ⅱ」を足して二で割ったような内容。

    • 池さん
      おっしゃる通りですね。
      おっしゃる通りですね。
      2021/10/27
  • 不夜城三部作すべて読了。三部作における劉健一の立ち位置は、表、裏、闇になるだろうか。最後も劉健一がすべての望みを果たして暗い高笑いを見せるかと思いきや…。主人公の武基裕も出だしから、偽の戸籍で日本人になりすまし、故郷に残してきた幼馴染との約束は弊履のように捨て去り、しかしそれを悔いてもいるという半端さ。小文に、その半端な保護者気取りを冷たく指摘された後は、読んでるこちら側にも、なんのために動いているのかわからず、すべてが無為に思えるはずが、小文にこだわり続け…。惚れた女を自らの手で殺すという前作、前前作のモチーフも反転し、と。もう続編を書けないぐらいに完膚無きまでの終わらせ方だった。疾走感と暗澹とした読後感は健在。この巻の劉健一の存在感、人というよりは、魔法使いか化け物かといった趣だった。その目的は、武を走らせかきまわし、麻取、日本のヤクザ、福建人、東北人、かつての仲間、台湾人、すべてひっかきまわさせ、何人も何人も巻き込んで、まわりくどいやり方で仇敵を追い詰めたのその目的は…と。/解説であげられていた志水辰夫「尋ねて雪か」徳間文庫、ジェイムズ・エルロイ「ホワイト・ジャズ」文春文庫にも手をのばしたくなった。/だれにも他人のことはわからない。わかったつもりになるのは危険だ(167)/人間ってのは、決して手に入らないとわかってるものを手に入れたがる。あるいは、すでに手のうちに入れているものを、そうとは気づかずに手に入れたがる(178)/人っていうのは、だれよりも自分のことがわかっていないのさ。(148)/おまえが何をしたって、だれも救われない。救いなんかどこにもない。ただ、過去を悔い、自分を呪って生きていくしかないんだ(380)/自分以外は信じるなといっただろう。自分で見たもの以外信じるな。他人の心になにも期待するな。(527)

  • 不夜城3部作目、完結。
    勢いで読んだ。
    3部作にする必要があったのかな。

    • 池さん
      私もそう思います。
      私もそう思います。
      2021/10/28
  • 完結させるならそうなる。のかな。
    不夜城を読んだときの衝撃はまだ覚えている。あのまま新宿でざわざわし続けてほしかった。

  • 久々に不夜城を読みたくなりました。
    虚無感、凄いです。

    誰も幸せにならない結末。。
    だけれどもついつい引き込まれてしまいます。

  • んもーーー!
    むかつくー小文

  • 再読

  • 劉健一の話が終わる
    前二つの話から人間関係や伏線をちゃんと引き継いで閉じたのは好印象
    ただし主人公が最後ヒロインに殺されるのは字面だけなら納得感があるが、結局劉健一は後継者を作れなかったということでもある。裏で糸を引いて完璧な絵を作りあげる虚無の男の最期としてはやや物足りないかな……という印象

  • 少しでも闇に触れたらどこまでも飲み込まれていき、そしてもう戻れない。一瞬の夢と永遠に続く悪夢のはてには、結局ただ虚しさだけが口を開けて笑っているのでしょう。誰一人として報われることのない暗い闇。まともな死に方なんて誰もできやしない。
    不夜城、鎮魂歌、長恨歌と3部にわたって、闇の街での健一の生き様、しかと見届けました。
    不夜城、鎮魂歌に比べると薄味かもしれないけれど、完結編として良かったのでは。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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