エリザベート 愛と死の輪舞 (角川文庫)

著者 :
制作 : ミヒャエル クンツェ  Michael Kunze 
  • KADOKAWA
3.51
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本棚登録 : 183
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043445011

作品紹介・あらすじ

十九世紀、公爵家令嬢エリザベートはその美しさゆえ、黄泉の帝王トートに魅入られてしまう。一度はその命を奪いかけたトートだが、「生きたお前に愛されたい!」と、黄泉の国から彼女を還してやる。しかし運命の歯車は回り、エリザベートはオーストリア・ハプスブルク皇帝フランツ・ヨーゼフの后となる。恋に苦しむトート、彼に惹かれながらも拒み続けるエリザベート。二人は終わらない「愛と死の輪舞」を踊っていた…。皇妃エリザベートの生涯を幻想的に描き、本場ウィーンと宝塚で驚異的ヒットとなった舞台の小説化。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台からだけでは読み取れない背景やシーンが、翻訳・演出に携わった小池氏自身により加筆されているので、宝塚版を観劇する上でイメージを補強したいという方にはおすすめ。
    「エリザベート」は割と史実に忠実なお芝居だと思っているが、バイエルンのポッセンホーフェンというところで、ヒロイン・エリザベートは少女時代を過ごした。緑深いその土地をいきいきと走り回る様子、フットワーク軽く変わり者の父との関係など、彼女の生涯を語る上でのバックグラウンドが本書では少し補足されている。
    他にも、読んでよってほぉーーとなったところがいくつか。例えば結婚翌朝、早くも婚家の窮屈さに耐えきれずエリザベートが自身にナイフを向けるくだりがある。結局思いとどまるのだが、そのあとに狂言回し・ルキーニのこんな台詞が入る。「またしても閣下は、エリザベートを生きながらえさせた」ーーーー私にはエリザベート(以下シシィ)が一人で、強い意志を持って生き抜く決心をしたように見えていた。したがってこの台詞にはややひっかかりがあったのだが、実はここでも、トートとシシィの間には夢うつつでの交流があったらしい。これは舞台を観ただけでは一切わからないことだが、それも本書では描写がある。
    また晩年、苦悩するルドルフを突き放したのも、台詞のやりとりだけでは解りづらいがただ冷たいだけではなく、彼女は彼女で思うところがあったようだ。親子間のすれ違いを意識すると辛かった。

    トートという存在に対する解釈は諸説ある。見る人によっても違うし、ウィーン版や東宝版、各国の演出によっても趣きが異なるという。「黄泉の帝王」という設定は、宝塚が大人の事情で後付けしたものだ。トートもキャラの名前というわけではなく、ドイツ語で「死」を意味する単語である。彼は事実上、死という事象そのものの権化、擬人化だ。
    トートはシシィの人生の節目や、彼女が絶望に突き落とされた時、身近に死を意識した時などに出現し、誘惑しようとする。セオリーに従って見れば、トートとシシィのやりとりは、シシィ自身の内面の葛藤と解釈するのが自然に思える。
    宝塚版はこれまた事情で、トートが「生」の権化のような少女に禁断の恋をし、その愛憎によってストーキングし続けるという展開に主軸を置いた。黄泉の帝王は概念に止まらず男性という性別を与えられ(ドイツ語のTodはそもそも男性名詞だが)、人のように意思を持ち、一人の女を振り向かせるために能動的に行動する。
    本書を手に取る前、レビューで「トートが情熱的だった」「恋に苦しむ姿が印象的だった」などのコメントをよく目にした。だから読めばトートとシシィ、二人の登場人物はより独立したもののように感じるのだろうかと思っていたが、意外にもむしろ逆だったように思う。
    恋愛仕立てにはなっているが、「死」そのものであるトートと「生」を諦めないエリザベート、対極にあるようであり、彼らはやはりコインの裏表のような存在なのだなという思いが強くなった。不思議と自然にそう思った。

    最後に。他の方が既におっしゃっているように、小説として楽しもうとすると肩透かしをくらう本書。後半やや失速してきて、先生自身の後書きからも察するように執筆がちょっとしんどかったのかなというのがなんとなく伝わってくる。歌詞がそのまま台詞になっていたり、流石にこの言い回しを面と向かって吐かないだろ……と面白かったですが。情景描写もミュージカル上の演出が入り混じっているのでト書きっぽく感じてしまう部分もあるかも。

  • 宝塚の公演を観た後に読んだ。
    死んでしまいたいと思っているエリザベートに死神のトートが手を差し伸べる。
    トートはエリザベートの死=愛が欲しい。
    すごく切ないストーリーだけど、実話を汚すことなく、違和感なくトートが入り込んでるなぁと思う。

  • ウィーン版、東宝版、宝塚版のすべての舞台を観ていたからこそ、楽しく読めたのかな、という印象。舞台未鑑賞なら、わかりづらいであろう部分が多かった。
    後半がやはり尻すぼみ。
    2015.08.12

  • 宝塚の「エリザベート」を見て原作を読んでみた☺
    この本ではミュージカルでは理解できなかった情景なども細かに書かれており、楽しんで読めました。

  • 花組公演に向けて予習。観劇したら印象も変わるだろう。

  • 企画倒れ。前半は頑張っていたけど後半は舞台の脚本そのもの。残念すぎる。

  • ミュージカル「エリザベート」のノベライズ。
    舞台も見たことはないし、内容も知らなかったので、どんな話だろうと読んでみた。
    小説としては?というところもあるけれど、見たことのない舞台が目にうかぶようなところもあって、楽しめました。
    去年舞台やってた様で残念。舞台もみてみたいな。

  • 生きているエリザベートの愛を手に入れようとするトートが想像以上に感情をさらけ出していて、黄泉の帝王だけれどどことなく可愛らしく感じた。
    最終的に辿り着く結末は決して可愛らしくはないけれど、それだけに切なかった。

  • ミュージカル「エリザベート」大好きです。でも活字にするとなんだかラノベを読んでいるかのよう(笑)トート様好きです。

  • 黄泉の帝王トートに魅入られたエリザベート。ハプスブルク家の皇后となったエリザベートにトートは次々と困難をぶつける。確固たる意思をもち死へ反抗してきたエリザベートが最期に選んだ道とは。

    宝塚舞台の小説版だそうで。
    宝塚大好きな友達にオススメされました。
    まあ、私も好きだけどね、宝塚。
    所々映像が想像できて不思議な気持ち。
    小説として目立った違和感はないけれど、やはり舞台の様子を想像できる。
    なんとも不思議な感覚です。
    舞台が見てみたくなったね。

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