日本殺人事件 (角川文庫)

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著者 : 山口雅也
  • 角川書店 (1998年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043455010

日本殺人事件 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 誰も見たことがない日本が物語の中にあった。
    外国人がイメージする間違った日本の姿、それが物語の舞台である。
    妙なところで感心してみたり、言葉の意味がわからずに戸惑ったり、憧れの国日本でサムは刺激的な生活を始めた。
    早々に出逢ったセップク事件では、外国人なりの推理を働かせ真相を見破る。
    しかし、それはサムライ魂を知る日本人にとっては無粋なこと。
    「武士の情け」を知らない行為だと思われてしまう。
    とにかく読んでいて面白い。
    「えっ?」と突っ込みを入れたくなるような場面もあるけれど、それもサムから見た日本なのだから仕方がない。
    外国人にとっては理解しがたい独自のお約束が日本にはあるのだ。
    極上のエンターテインメント小説といった感じがした。
    特別目新しいトリックがあるわけでもない。
    派手な展開があるわけでもない。
    それでも、綿密に作り上げられた「日本」での物語は最高に楽しませてくれた。
    たまにはこんな軽やかなミステリーもいいものだ。
    オイラン見立て殺人事件で語られる愛。
    真実の愛を証明しようとするオイランがいる。
    けれど、エクボは「愛は証明なんてできないもの」と言い切る。
    確かにそうだ。どこかへ行って証明書でも出してもらえるのなら別だが、そんな証明書はないし、何をもって真実の愛だというかも定かではない。
    10人いれば10種類の、100人いれば100種類の真実がある。
    人によってその表し方も変わるだろう。
    真実の愛かどうか。それは当事者しかわからないことだし、そもそも証明などする必要なんてないだろうと思う。
    心の中で自分だけがわかっていればいいことなのだ。
    そして、それがもし真実の愛ならば、きっと相手にもその気持ちが伝わるはずだ…と信じたい。

  • 間違った日本のイメージの世界で、様々な事件に遭遇し、その世界観ならではの展開にニヤリとしました。しかし内容は「本格」です。ただし「侘びの密室」は無理があります。

  • 1998年に文庫発売。多分その頃買ったんだな。
    しかし、あまりに特異な設定と文体についていけず、途中で投げ出してしまったもの。それを10年以上経ってようやく読むことができました。

    日本に来たことのない外国人が書籍などで得た無茶苦茶な情報をもとにして、日本を舞台にした探偵小説を書いたものを山口雅也が翻訳した、という何ともひねくれた設定。初めて読んだときはその面白さが分からず、話が一向に頭に入らなかったのですが、今回はすんなりと読めて、楽しめました。前には理解できなかった、こんな訳の分からない設定にもかかわらず、登場人物がいきいきと動

    構成は連作中短編集といったところで、特に半分ぐらいの分量を占める「不思議の国のアリンス」は、落語を聴いてきたお陰で実にイメージがしやすかった!落語の廓噺、つまりは遊郭を舞台にした「居残り佐平次」「付き馬」「品川心中」「お直し」「紺屋高尾」などが読んでいる最中にちょくちょくちらつきます。

    まぁ楽しめる人ならすぐに楽しめたんでしょうけど、私のような無知蒙昧な人間には10年以上必要だったわけですな。でも生きているうちに読めて本当に良かった。

  • 評判からすると、忍殺みたいなネタが既にあったのですよ、というつもりで読み始めたんだけど、忍殺ほど世界観は変じゃないというか、普通に日本だし(あれ?ボクって変?)その中で起こる事件の謎解きを通して、主人公の、憧れていた日本という虚像と、目の前の現実からもたらされる実像とのコントラストを際立たせる、比較文化論的風味付けの本格推理小説。でも、まあ、日本というものの実像というのが、若干、実際のものとは違って、小説世界なりのイマジナリーな設定がなされてるというだけでしょ。
    そういう、我々が普段目にしている現実と同じものであるかのような名付けをしておいて、実際はファンタシー世界(でも、この現実と同じものであるという設定の故に、この世界からの往還はありえないという、ハイファンタシー世界となっているのはなかなか気が利いている)が舞台になっているのは、たぶん、そういう世界ならではのドラマが展開できるメリットを享受するためだろうなという印象。すなわち、実際に、サムライが今も帯刀して歩いてたり、切腹してたり、ニンジャが暗躍してたり、郭には花魁がいたり、そういったヒトモノコトを、当然に舞台装置や登場人物の形でストーリーに参加させうるからですね。
    さて、そんな風に言っても、イロモノにしか思われないだろうな、とは感じつつも、じゃ、イロモノじゃないと実感して貰うためには、あ、そうだ、エクボかわいいよエクボ。
    逗留先の旅館の仲居が女子大生のバイトなのは別に驚かなくても良いんだけど、なぜか縁のある、しかも警察署長の娘だなんて、もちろん、殺人事件の起こる推理小説ではよくあることかも知れないけれど、でも、これがなぜか、主人公が縁者のつてで漸く参加できたはずの高名な茶人のお茶会に、参加する若手カリスマ茶人のおっかけ風情の立場でなぜかちゃっかりはいりこんでたり、芸者に化けて岡場所に潜入してたり、八面六臂の大活躍は、ハットリ姓じゃなくても、主人公をして、この娘実はニンジャじゃあるまいか(ばんばん!?)と疑わせるに十分。もっとも、ニンジャがニンジャとばれちゃ意味がないんですがね。
    と言いながら、そうじゃないんですよ。ヒロインだもの。八面六臂は、彼女こそはカンノン様である証左。八面六臂どころか、十一面だったり、千手だったりするのであります。ついでに、目からビームとか、あ、これは彼女じゃなかった。

  • 世界観が安定しないというのは、これほど興味を妨げられる物なのか。
    本書は、日本に来たことがない外人が書いた本の翻訳物という扱いになっている。そのためか、世界観がまったくと言っていいほど理解できず、ふわふわして落ち着きがなく感じられる。書かれていた当時ならば安定していたであろう部分も、現在の時勢とのズレが発生しているから、昭和時代を想像しながら読み取らねばならない。
    要するに疲れるのだ。
    普通の人間が刀を挿している世界のイメージを想像するだけで労力がいる。それが、日本の現在のことであるからなお混乱する。それも、現在というのも書かれた当時の現在のことであり、2013年の現在ではない。
    つまり、2013年の現在に使える便利アイテムはほとんど使えない。携帯電話とかインターネットとか存在しないのだ。それでいて、電話は存在しているようである。なのに、花魁道中があったりして……。
    推理部分は面白いのだが、それも、どんなインチキだってあるんじゃないか?そんな風に捻くれて考えたりしてしまって、どうしてものめりこめない。
    確かに、こんな世界観にしなければ書けなかったと思うので、本書の方向性は正しいとは理解できるが、個人的には引き込まれなかった。
    ロジックの組み立て方は緻密さが感じられ好感を持てたので、他の作品を読んでみたい。そう感じさせられた。

  •  いや、なんつーか。再読だけど。
     うん、スバラシイ感性だぁね。
     謎解きの部分に関しては、なんかあんま印象に残ってないっていうか。特に問題はなかった気はする。(第二話はどうかと思うが。)
     それよりも世界観に圧倒。
     どこの世界にそこまで腹を切りたがる日本人がいるんだ。
     帯刀するなって。銃刀法違反だ。
     吉原なんかないって。公序良俗法違反だ。(多分)
     間違った日本観に万歳。
     面白すぎて、どこの文章を抜き出していいのかも分からない。
     とりあえず。
    「……おお、ハッピー!」
     法被(はっぴ)と幸せ(ハッピー)じゃ、だいぶ違う。
     文庫版解説は宮部みゆき。初っ端から野球のたとえ。読む気をなくす。

    03.12.19

  •  いかにもこの作者らしい趣向にあふれた短編集。間違いだらけの日本観をそのまま現実にしたような、サラリーマンが帯刀し、町には茶の湯を楽しむ喫茶店があり、ゲイシャガールがもてはやされる現代日本が舞台である。すごく妙なんだけど、その中で活躍するのがアメリカから来た探偵で、起きる事件はちゃんと本格ミステリなのだから、そのミスマッチがおもしろい。

     さらりと読んで楽しい本なんだけど、最後の方になるとちゃんと、ちょっといい話っぽくなるのが憎いけど、まあ決して重くなく、趣向を楽しむ本。

  • 3編収録だが1編めがベスト。異世界もので、特殊設定を生かしきった異様なロジックが展開。はったりが効いていて良い。

  • ちょ、これはないだろうと言いたい。

  • ガイジンから見た日本を体現した奇妙な世界。
    ハラキリ、ニンジャ、ゲイシャ…笑いながら読んでたはずが、いつのまにか当たり前のようにその世界観に嵌ってた。
    不思議の国のアリスのような…

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