アリス: Alice in the right hemisphere (角川ホラー文庫 57-3)
- KADOKAWA (2003年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043464036
作品紹介・あらすじ
九五年八月、東晃大学医学部の研究棟、通称「瞭命館」で六〇名を超す人間が同時に意識障害を起こす惨事が起こった。しかし、懸命の調査にもかかわらず、事故原因は掴めないままとなった。それから七年-。国立脳科学研究センターに核シェルター級の厳重警戒施設が建造されていた。そこは比室アリスという少女を監視・隔離するためのものだった。世界を簡単に崩壊させる彼女のサヴァン能力とは一体!?前人未到のスケールで、最先端の脳科学の未来を紐解いた傑作長編。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
夏の角川ホラーまつりはじめるよ。ということで、ハズレっぽいタイトルと表紙のを取り上げてみたら…あれ、結構まともだ。
東晃大病院で、医師看護師など68名が死亡または意識混濁し、そのまま回復しなかった事件の中心にいた少女アリス。事件の原因とされ、周囲を危険に陥れるため、房総半島に隔離されていたが、7年の年月を経て覚醒し、それを目にした職員が次々に倒れていく…。
ありがちなパニックSFではあるだけど、それなりに背景の積み上げを頑張って、原因不明で逃げたりしないのは評価できる。例えば以前の事件で効かなかった、または復活した人の脳の問題や、新たな犠牲者のうちで聞く人、効かない人の理由付けなどがされているのは、角川ホラー作品でも珍しい。
ただまあ、9Hz(低すぎない?)で癲癇が起こるから、抗てんかん剤で、とか、右脳左脳など、一応設定したが突っ込まれどころもたくさんある。
で、まあ、いい作品かと言われるとそうでもないわけで、理由の1つは作者の頭の中で作り上げたけど、読者まで伝わっていないメカニズムであろう。9.7次元というちょっと中途半端で想像のつかない世界観を、目で見るのか口から発される(9.7次元を表現する)言葉を聞くことで、その世界に取り込まれてしまって現世を失ってしまうのだが、9.7次元がフラクタルで成り立っているとか、そこにあるものが、モンシロチョウという陳腐なものであるとか、いろいろと疑問が生じる。また、見た目なのか音なのか、それらが次元を超えることによって、遮蔽された空間に届くのかなどなど、設定したは良いけれども、わからないものをわからないまま書いたというところは、読んでいて辛い。
また、人物の設定にも少なからず無理があり、結局誰を中心に読めばよいのかわからないのも辛い。
結局の所、本題が2/3程度で終わってしまい、最後の1/3は本間という、主人公違うんかい?という男を使っての作者の世界観の自問自答、あるいは言い訳がダラダラと続く。世界観の設定と人物の設定がうまく行っていなかったというところではないのか。
単純に、二次災害が起こったまま収束のほうが良かったのだろう。
美少女と千葉の片田舎で、「とあるところの大事件」というスケールの小ささや、出てくる人間が目の前の事件のこと以外はほとんど語れない、世界観の広がらなさが、海外SFと比べてしまって、これが日本SFのだめなとこなんだよなあと思ってしまう部分なのだろう。 -
15/02/20
期待してなかったけど面白かった。
難しい話とファンタジー。今まで考えたことない見方、捉え方に触れられて刺激的だった。 -
なんというか、非常に彼らたちの世界を描いているというか。
-
この世は夢だ ほかに 何がある
好きだ この言葉 -
物語の最初は、一体何が起きるのかワクワクしているのですが、事態は少しずつしか変化しない上に、それに対する説明も不足している気がします。
中井 拓志さんの本は最初のワクワクを返してくれ!って言いたくなる作品が多い気がします。