玩具修理者 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2841
感想 : 362
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470013

作品紹介・あらすじ

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか-その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 「玩具修理者」と「酔歩する男」の短編2作品です。

    「玩具修理者」
    会話の中での子供の頃の奇妙な思い出話。
    そこで出てくる「玩具修理屋さん」は、壊れた物を親に内緒で無料で直してくれる。
    謎の修理屋の風貌も発言もとても奇妙で、死んでしまった猫も直してくれるというホラー要素満載の短編でした。
    好みのグロで、オチも最高でした。

    「酔歩する男」
    この話がメインでいいんじゃないかと思った程面白かったです。
    時間と波動関数の収束、過去と未来のつながりや、脳と記憶と精神の関係。
    私の大好物な類のSF作品でした。
    この類が、ある意味普通のホラーよりよっぽどホラーだと思っています。

  • 私は、いつの時間を生きているのか?昨日と今日の私は、同じ意識を持った私か? 何の問題もなく生きてきた男が、親友を名乗る男の話によって狂気の世界へと連れ込まれる。連れ込まれた?本当はずっと前からその世界にいたのでは?酔歩する男は、読めば読むだけ不安になる。 とにもかくにも読んでいるだけで気分が悪くなる。自分と世界の境界が曖昧になってじわじわ侵食されていく。時間のなかをうつろうなどできるはずもないが、本当にそうなのだろうか?という気持ちにさせられる。無限ループって怖くね?とかよく聞くけどそんなものは生易しい。


  • 表題作の「玩具修理者」はグロテスクでちょっと目を背けたくなった。

    「酔歩する男」はすごい気持ちが沈む(笑)
    私が今いる世界は大丈夫?昨日と今日は繋がってる?色々考えてしまう。今まで当たり前のようにあった日常や風景がまるで知らないものにみえてしまう。
    どうしても手児奈の存在がよくわからなかった。

    Wikipediaに「手児奈」の項目がある。
    奈良時代以前に暮らしていた女性で男性たちの間で自分をめぐって争いが起こったから入水自殺したらしい。名前は明らかにここからとってるみたい。
    、、と思ったら、小林泰三の「酔歩する男」は手児奈伝説をもとにする、っていう記述もあった。
    でもこの伝説をもとに現代を舞台にこんな突拍子もないホラーが書けるなんて。
    すごい。

  • 積読崩しました。いい感じに気持ち悪かった……。
    にしてもこの作者さんの会話文は独特ですね。倒置法が癖なのかな。あと凄く芝居掛かっているように見える。

    「玩具修理者」
    女の語り口が怖い。人体解体シーンはこうなるだろと流れ的に分かっているのにも関わらずいざ目にするとうぇぇ……と生理的にくるものが。淡々と詳細に描いている感じがよかった。オチもそうくるか! という感じで、珍しくはないんだけど綺麗にまとまっていました。その後がとても気になる話。

    「酔歩する男」
    頭おかしくなりそう~ドグラマグラを読んだ時の感覚と似ている。途中から現れる専門用語の波も相成ってなんだかくらくらしてきます。解釈にかなり頭を使う話なのでそのうち改めて読み返したいな……。自分の立ってる位置があやふやになりそうな不思議な読後感がとても良いので現実を離れて架空の世界にどっぷり浸りたい時にオススメです。

  • 表題作は意外と短かい。
    『酔歩する男』は5億年ボタンが頭をよぎったけど、元となった伝説を知ってしまうと手児奈の呪いみたいだとも思う。
    学会発表をしくじるエピソードが一番生々しい怖さがあったが、もはやそんな心配すらしていられないくらい事態は酷いことになっていた…。

    どちらも海外のスプラッタアニメを見た時のようなシュールさがあって面白かった。会話の噛み合わなさと間が絶妙。そして進行に無駄がない。グロと笑いは両立するんだなぁと。

  • 初めは読みやすくどんどん読み進めたが、途中からは複雑すぎて頭に入って来なくなった。。。

  • ヤバい本に出会ってしまった。
    特に「酔歩する男」。
    この本は私が信じてきたこの世界を、根こそぎひっくり返してきた。
    これはもしかしたら死ぬまで忘れられない本になるかもしれない。
    とにかくみんな読んで。
    グロが苦手な人は「酔歩する男」だけでもいい。
    (「玩具修理者」もそんなにグロじゃないから、少しなら大丈夫って人はぜひ)

  • 「玩具修理者」はグロいショートショート(そこまでショートじゃないけど)みたいな感じ。
    「酔歩する男」は読んでて思考が酔う感じ。理解したようなしてないような。
    小林泰三さんの話はグロさも好きなんだけど、何より繋がってるようで繋がってない、噛み合いそうで噛み合わない、なんとも言えない会話の応酬が醍醐味。

  • 「玩具修理者」は印象としては、「文体がまともな矢部崇」という感じ。気持ち悪い描写とかはまさにそうだった。オチで「えっ?」となり、その意外性かエンタメとしても良作だと。
    「酔歩する男」は読後、頭をフル回転させて解釈をするが最終的に理解できているのかできていないのか分からない、その不確かな感覚にモヤモヤ感や不安感を感じる作品だった。『ドグラ・マグラ』の読後感に似ている。

    解釈メモ(合ってるか分からん)

    一般人
    ・→→→→・→→→→・
    C B A
    それぞれのポイントごとの事象は、時間を逆行することがないので、波動関数が発散することがない。したがって確定した事象は変わることはない。
    小竹田がA地点からB地点に逆行して事象aがなくなったとしても、B地点にいる一般人は事象aを知り得ない。この人たちにとったら、A地点に来たときに生じる事象a'が確定事項となり、波動関数が収束する。そしてこの人たちは時間を逆行することはないので、波動関数が発散することはない。

    小竹田
    ・→→→→・→→→→・
    C B A
    A地点からB地点に逆行した際、A地点で確定していた事象aはなかったことになる(波動関数の発散)。小竹田が再びA地点に戻ってくる、あるいは別の意識の小竹田がA地点に来たときには、事象aではなく別の事象a'が起こる。

    血沼
    ・→→→→・→→→→・
    C B A
    時間を逆行することがないので、時間意識などには異常を感じていない。しかし、波動関数を再発散させない能力が欠落してしまっているため、小竹田がA地点からB地点に逆行すると、血沼にとって確定していた事象aがなくなり、時間意識が連続しているものの事象a'にすり替わってしまっている。そのため同僚との認識にズレが生じたり道が変わってしまう現象が生じる。


    っていうこと????全然分からへん。書いてて頭バグりそうになった。

  • 裏表紙のあらすじを読んで、なんとなく気になって購入。
    読み進めているうちに、あ、ホラーか…と気付くくらい、著者への知識がなかったのですが、グロテスクではあるけれど、ホラーが読みたい方ならこれではないかと思います。
    読みやすくてサクサク読めました。
    一つ目の短編のラストはまぁまぁ気に入っています。
    二つ目の話の方が小難しくはあるけど、それでも引き込まれてあっという間に読了。

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著者プロフィール

小林泰三(こばやし・やすみ)
1962年、京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第二回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー。
98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年に『アリス殺し』で啓文堂書店文芸書大賞、17年に『ウルトラマンF』で星雲賞(日本長編部門)を受賞。
『ドロシイ殺し』『因業探偵』『人外サーカス』『未来からの脱出』など、精力的に執筆していたが、20年に病没。

「2021年 『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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