玩具修理者 (角川ホラー文庫)

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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470013

作品紹介・あらすじ

玩具修理者はなんでも直してくれる。
どんな複雑なものでも。たとえ死んだ猫だって。
壊れたものを全部ばらばらにして、奇妙な叫び声とともにあっという間に組み立ててしまう。

ある暑すぎる日、子供のわたしは過って弟を死なせてしまった。
親に知られずにどうにかしなくては。
わたしは弟を玩具修理者のところへ持っていくが……。

これは悪夢か現実か。
国内ホラー史に鮮烈な衝撃を与えた第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

■解説・井上雅彦

感想・レビュー・書評

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  • 「玩具修理者」と「酔歩する男」の短編2作品です。

    「玩具修理者」
    会話の中での子供の頃の奇妙な思い出話。
    そこで出てくる「玩具修理屋さん」は、壊れた物を親に内緒で無料で直してくれる。
    謎の修理屋の風貌も発言もとても奇妙で、死んでしまった猫も直してくれるというホラー要素満載の短編でした。
    好みのグロで、オチも最高でした。

    「酔歩する男」
    この話がメインでいいんじゃないかと思った程面白かったです。
    時間と波動関数の収束、過去と未来のつながりや、脳と記憶と精神の関係。
    私の大好物な類のSF作品でした。
    この類が、ある意味普通のホラーよりよっぽどホラーだと思っています。

  • 玩具修理者:女がサングラスを掛ける理由を語る。幼少期,玩具修理者に死んだ弟を治して貰った話。淡々と語る怖さが良い。
    酔歩する男:菟原処女伝説をもとにした話。タイムトラベル。難解。


  • 短編の『玩具修理者』と中編の『酔歩する男』の2編からなります。


    『玩具修理者』は、お洒落なカフェで読むものではなかった…!グロテスクな描写があるので、食事の合間に読むのはおすすめしません。
    よく分からない素性の者が、よく分からない言葉を叫びながら修理する。たとえ死んだ猫でも。

    あらすじだけでもとても興味を惹かれますが、面白いのが、玩具がたくさん集まらないと修理しないこと。すべての玩具のパーツを外して、なんと別の玩具のパーツとごちゃ混ぜにして修理するんです。…怪しいニオイがぷんぷん。

    また、玩具修理者は正確だけど馬鹿正直すぎるところがあります。どんな風に直して欲しいか伝えるのですが、言われたことはその通りに。言い忘れたらやってくれません。
    オチが綺麗にまとめられていて、短編だけど満足感があって良かった◎


    『酔歩する男』は、ホラーよりもSF要素が多め。
    パブで、自分の「大学時代の親友」と名乗る見知らぬ男と出会います。自分は見覚えがないのに、親友とまで言われる…。意味不明ですね。
    男の話がちぐはぐでモヤモヤ。呼び出したタクシーをキャンセルしてまで、男の話を聞くことに。

    科学の専門的な話が出てきたりと、内容は難しめですが、何となくで読み進めても楽しめました。
    SFは苦手意識があって避けがちでしたが、冒頭部分からは想像できない不思議な世界に、すっかり惹き込まれてしまいました!

  • 『玩具修理者』と『酔歩する男』の2編。『玩具修理者』のほうは、何語だかわけのわからない言葉を言う玩具修理者がグロくて怖くて気持ち悪い。そしてテンポよく進む会話は不気味で、最後の1頁、驚きと共にかなり怖い。
    『酔歩する男』は、読んでて脳がぐるぐる回る感じ。タイムトラベルにまつわるSFで全部が夢だと思いたいような…。さほど怖いというのはなかったけど、こちらも最後のオチに衝撃受けた。『玩具修理者』のほうが面白かった。こんなに短いストーリーでここまで恐怖なのはさすが。

  • ホラー小説の中でも特に好きな一冊です。表題作の玩具修理者もそうですが、酔歩する男が最高に面白い。高校生のときに読んで衝撃を受けた本。

  • 表題作の『玩具修理者』と『酔歩する男』の二部構成。前者は引き際の潔いキレイな一撃、後者は短いながらプロットの作り込まれたおぞましいSFサスペンスで、どちらも文量に対して満足度が高い。
    小林先生って理系なんですね。機会があったら長編にも手を出そう。

  • 「玩具修理者」「酔歩する男」の2篇。
    全体的にはホラーだが、後者はSF色が強く、気質が合わない読者も多く出そうである。
    しかし2篇ともに理屈の恐怖を味わえる名作である事には間違いない。

    特に「玩具修理者」は、グロテスクと耽美は相性が良い事を示してくれている。
    良い読書体験でした。

  • 面白い。玩具修理者(短編)と酔歩する男(中編)の二本から構成されている。グロテスクな表現が食欲を失うほどリアル。どちらも最後のページで鳥肌が立つ後味の悪い(褒めている)ラストが待ち受けている。ぜひホラー、ミステリー好きに薦めたい!

  • 死なせてしまった弟を修理してもらう『玩具修理者』とタイムトラベルものの『酔歩する男』の二編。それぞれに出てくる<ようぐそうとほうとふ>と<てこな>の名前が世にも奇妙な物語に出てきそうで忘れられない。最初の話は少しグロテスクだったし、二つ目は延々と続く地獄だったけど面白いSFホラー小説でした。

  • なんだろ……よくわからなかった…

    玩具修理者はまぁわかったけど、終わり方も「へー……」くらいで…

    酔歩する男は全くわからん_( ┐ノε:)ノ
    がんばって最後まで読んだけど…わからなかった…

    ホラーだとしても怖くないし…SFでもないよーな…なんだろ…狂気は感じたけど…うーーん…

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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